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韓国ドラマ「ガラスの靴」④

  
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  ガラスの靴」 2002年SBS 全40話
 
 制作 キム・ジョンハク・プロダクション
 
 監督 チ・ユンソク
 
 脚本 カン・ウンギョン
 
 
 韓国ドラマは2002年頃までは、ストーリーだけでなく、全体的に映像がしっとりとしています。カット割もゆっくりで、カメラがだんだんと遠くから近づいていくのでセリフだけでなく映像全体で、ドラマを観ることができます。昨今のカメラ・ワークはショットが早すぎて息着く暇もないほどで、人間の自然な生理に反したドラマ作りをしています。2000年代前半までの撮影監督の仕事は素晴らしいと思います。特に夜の蒼い風景が印象的イメージ 2です。
  名作「ガラスの靴」を見直すと、テンポは今のドラマの2分の1ですが、2倍の面白さがあります。
 ただ、一つだけ不満があります。ラストの終わり方には、私だけでなく多くのファンがブーイングしていると思います。
 なぜハッピー・エンドにしなかったのか。確かに暴力の世界は描いていますが、最後まで、引っ張る必要は全然なかった。脚本のカン・ウンギョンはハッピー・エンドで終わらせるつもりだったそうですが、暴力の世界にこだわったソ・ジソプが、この終わり方で演出して欲しいと、申し出たのだそうです。非常に残念でした。それなら他のドラマでやってほしかった。
 
 そして「ガラスの靴」を面白くしたのは、名脇役の力も大きかったと思います。
  ソン・オクソク(スンヒの母、ユニの養母) 「冬のソナタ」ファンなら誰でも驚いたことでしょう。ペ・ヨンジュンの母親役カン・ミヒ、クールなピアニストです。それが品のない、いじわるな食堂のおばさんを演じていて、憎っったらしい悪役です。凄いお芝居をしています。ユニ(ハ・スンリ)をつれて逃げる2話ではソン・オクソクの出番に本当にびっくりしました。ソン・オクソクはインテリや金持ちの役から、貧しい母親や、性格の歪んだ役まで幅の広い演技ができる女優です。出演作は多く「いとしのソヨン」「いばらの鳥」「善徳女王」「美しい時代」「ファッション70s」「第五共和国」など
 
 イメージ 3イ・ヒド(スンヒの父、ユニの養父) もともとあくの強い顔なのに、さらに顔をくしゃくしゃにした演技は、きれいな「冬のソナタ」を観たあとでは、刺激が強すぎました。「イサン」では良い役でしたが、ほとんど、悪役が多いかと思いますが、「青い霧」では普通の人で、「白夜」では通訳でした。
 出演作「砂時計」「チャングムの誓い」「商道」「ホジュン」「守護天使」「トンイ」など
 
 イメージ 4ヒョン・ソク(チョルンの父) チェハグループの会長の運転手。スンヒの秘密を知って大変なことになります。このシーンも見逃せません。大好きな俳優ヒョンソク。ヒョンソクのお父さん役は安心して観ていられる。ホームドラマにもっとたくさん出演して欲しい俳優です。「幸せは我々の胸に」「彼女の家」「ガラスの靴」この三作品で大ファンになりました。出演作「イヴの総て」「美しい誘惑」「ファンジニ」「君は僕の運命」など
 
 イメージ 5キム・ボッキ(チョルンの祖母) キム・ヒョンジュが大ピンチのとき助けてくれたクッパ屋の隣のおばあさん。おばあさんがいなかったら、キム・ヒョンジュはどうなっていたのでしょう。キム・ボッキは「ガラスの靴」「彼女の家」のようにやさしい、上品なおばあさん役も出来るし、「あなたそして私」「青春の罠」のような、田舎の図々しいおばさん役もできる女優です。出演作「火花」「チャンヒビン」「情熱」他にちょっとだけ顔を出す「カイスト」など
 
 イメージ 6キム・チョン(テヒとユニの叔母) 出だしから派手なファッションで、「アラソ」を連発していました。「パリの恋人」で、キム・ジョンウンの高校の先輩で、豪華なディナーに招待するお金持ちの奥様。キム・チョンは、お金持ちが似合っていますが、口うるさい母親役なども演じています。出演作「ただいま恋愛中」「黄金の新婦」「怪傑春香」など
 
 
 イメージ 7キム・ミョンヒ(会長の家のお手伝いさん) 信仰の深いお手伝いさん。「ガラスの靴」中盤からいい味を見せてくれて、楽しかったです。キム・ミョンヒの一番印象的な役は「チャンヒビン」の巫女「マンヒ」です。相当妖しい役でした。「あなたそして私」や「彼女の家」などちょっとした役ですが、彼女が出る出ないでドラマが違います。お手伝いさんやお店のおばさんなどですが、最近はあまりみかけなくなっています。もっとドラマに出演してほしい名脇役俳優です。出演作「グッキ」「真実」「火花」「英雄時代」など
 
 イメージ 8キム・ミンソン(テヒとユニの従弟) ソ・ジソプの妹役の手ごわいキム・ジョンファを相手に恋愛騒動。チェハグループの後継者にと母は考えているが、本人は全くその気なし。「白夜」のキム・ミンソンはかわいそうでした。北朝鮮から、恋人のイ・ウンジェと共に脱出しようとしますが、キム・ミンソンだけ捕まり、激しい拷問を受け、殺し屋として人間改造されてしまいます。チェ・ミンスの青年時代を演じていました。ほかの作品は観ていませんが、この「白夜」のキム・ミンソンは印象的でした。出演作「アヒョン洞の奥様』「彼女のスタイル」
 
 採点 10点(ラストだけマイナス1で9点)
 
 
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韓国ドラマ「ガラスの靴」③

 
 
 
   
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   「ガラスの靴」の成功はキム・ジホとキム・ヒョンジュの配役だと思います。
 「切ない」という言葉は恋愛でよく使われる表現ですが、この二人の姉妹のすれ違いは本当に辛く、切ない。二人はお互いに姉妹と気づかずに出会います。15年間妹を探し続けているキム・ジホ。キム・ジホを姉のように慕って「本当のお姉さんだったらいいのに」というキム・ヒョンジュ。
 
 
キム・ヒョンジュ(ユニ)は記憶喪失のまま大人になりますが、このドラマでは記憶の戻り方が感動的なので、そのシーンは一イメージ 1番の見所になります。視聴者の多くは感動し、温かな美しい涙を流したことと思います。素晴らしい「記憶の扉」の開き方は脚本を書いたカン・ウンギョンの勝利です。
 
 
記憶喪失は韓国ドラマの定番とも言われますが、私はこのシチュエーションは大好きイメージ 3です。記憶を失った原因は事故によるものが多いのですが、記憶を失って家族と離れ離れになってしまったその後の人生や、あきらめきれない家族の葛藤、記憶の糸のほどけ方、ぼんやりとした記憶の表現の仕方がそれぞれのドラマによって違うし、家族や恋人との再会、記憶を取り戻したことで生じる苦悩などが、脚本家の創意によってドラマティックに展開されていきます。
 キム・ジホとキム・ヒョンジュの姉妹だからこそ、切ないすれ違いの繰り返しから、再会したときの喜びは、私たち視聴者に大きな感動を与えてくれたのだと思います。
 
 キム・ジホ(テヒ) きっぱりとして温かなテヒ役は、キム・ジホ自身のような気がします。「ガラスの靴」で大大好きになり、「愛の挨拶」「ローファーム」「涙が見えないように」を観ました。「ローファーム」では、まじめでやさしく正義感の強い弁護士で「ガラスの靴」のイメージとぴったりでした。チンピラ役が多い、「この世の果てまで」のキムホジンと結婚したときはとてもびっくりしましたが、キム・ホジンが愛妻家と知ってほっとしました。出演作「女を知らない」「帰ってきたシングルそれでも好き」「愛は誰でも」など
 
 キム・ヒョンジュ(ユニ) 正義感が強くて、頑張りやを演じていました。キム・ヒョンジュは同じドラマでも環境の違いで明るい娘から、寂しくて暗い役を演じることが多々あって、がらっと雰囲気が変わります。上手い女優だなあとつくづく感心させられます。 「ガラスの靴」でキム・ヒョンジュの虜になり、主演の「土地」(2005年)が放映されるというので、KNTVにも入りました。
 普段のキム・ヒョンジュは可愛い人であっけらかんとしてしています。ボランティア活動もして、善行をしていますが、それが、見栄とか名誉欲ではなくて、自然体なのでやっぱり、キム・ヒョンジュは良い人なのだなあと、ファンで良かったと思うのです。  キム・ヒョンジュの出演ドラマは結構観ています。出演作「きらきら光る」「パートナー」「彼女の家」「商道」「私が生きる理由」など
 
 
 
 
 
 「ガラスの靴」のエンドタイトルの曲です。泣きのギターがたっぷり聴けます。
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韓国ドラマガラスの靴②

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 「ガラスの靴」は日本で今一つ知名度がないですが、アジア特にベトナムでは80%の視聴率を誇る超有名な韓国ドラマです。日本のように女性や、コアな韓国ドラマファンだけが観るのではなく、アジアでは家族で観るドラマなのです。1960年代に日本がテレビの時代になって、アメリカのドラマを一家団欒で観ていたのと同じように、学校で同級生どうし「昨日の”ガラスの靴”は面白かった」とおしゃべりしたのでしょう。
 ベトナムにキム・ヒョンジュやキム・ジホが国賓待遇で招待されたそうですが、いかにフィーバーしたかがわかりますね。
 
 物語はソウルの財閥チェハグループの御曹司でありながら、結婚を反対されて勘当され、貧しく生きてきたテヒとユニの父。父の死を境にソウルの祖父(ペク・イルソプ)を頼ってソウルへ向かう途中、姉テヒ(カ・ンボギョン)と妹ユニ(ハ・スンリ)は市場で離れ離れになります。ユニはある夫婦(ソン・オクソクとイ・ヒド)の運転するトラックにぶつかり、記憶喪失になり、その夫婦に連れて行かれて夫婦の娘として育てられます。
 少年ジュヒョク(チェウ・ヒョク)はテヒがチェハグループの孫と知り、祖父と父を死に追いやった仇の孫として、復讐のためにテヒに近づき一緒にソウルへ行きます。
 15年経ち、テヒ(キム・ジホ)はチェハプループの後継者として育ち、ジェヒョク(ハン・ジュヒョク)はチェハグループの幹部として働きます。夫婦のクッパ屋で働くユニ(キムヒョンジュ)は、一緒に育った娘スンヒ(キムミンソン)にいじめられながらも、たくましく生きています。クッパを配達に行った店で、同じ町内のチンピラのチョルン(ソジソプ・)に出会い、チョルンに気に入られ愛されるようになります。ユニの困ったときは、チョルンが助けてくれます。一方テヒははぐれた妹ユニを15年間ずっと探し続けています。
 
 「ガラスの靴」の魅力のひとつは子役のカン・ボギョン、ハ・スンリの絶品の演技です。しっかり者の姉と、おおらかでちゃっかり妹。二人の性格の違いが良く描かれていて、このドラマのヒットは子役二人の力も大きかったと思います。
 日本ではソ・ジソプファンが多いでしょう。お洒落なソジソプ。チョルン役のソ・ジソプは演技がとても上手い俳優です。「ごめん愛してる」で大ブレイクしましたが、ブルース・リーの決めポーズの「ガラスの靴」や「ただいま恋愛中」の親しみやすいソ・ジソプのほうが私は好きです。「ガラスの靴」はキム・ジョンハクプロダクションの作品で、暴力の世界も描いていましたが、ソ・ジソプが軽く演技していましたので、残酷さは軽減されています。
 二人(テヒとユニ)の女性に愛されるジェヒョク役のハン・ジェソク。初めに振られ役の「純粋」や「イヴのすべて」を観ていればハン・ジェソクに愛着を持てたのに、「ガラスの靴」が最初だったので、役柄もあって少々違和感を感じてしまいました。今では「ガラスの靴」を見直すと良い演技してると思います。
 同情の余地なしの悪役を演じたスンヒ役のキム・ミンソン(キム・ギュリに改名)。悪さがどんどんエスカレートしていき、緊張と歓喜でわなわな震える演技は最高でした。本人はクールでインテリジェンスを感じさせる女優です。よくぞここまで悪役を演じられたと賞賛したいです。最近の韓国ドラマはロボットのような冷たいだけの悪役ばかりですが、キム・ミンソンは弱さとコンプレックスをもった人間として描かれています。
 暴力団や人の一番大切なものを奪う悪人たちが登場しますが、希望を見失わないでひたむきに生きるキム・ヒョンジュが光ります。
 
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韓国ドラマ「ガラスの靴」①(2002年SBS)


 韓国ドラマが生活の多くを占めるようになった私を、最初にこの世界へいざなったのは「冬のソナタ」です。そして韓国ドラマ・ファンとして確立したのが、何といっても「ガラスの靴」でした。ですから、この両作品は、ベストテン番外、殿堂入りになります。
 
 予告編を観たとき、どうしてもこのドラマを録画しなければと、DVDレコーダーを買いに走ったのも、「ガラスの靴」を観るためです。そして1年中、昼夜問わず韓国ドラマを予約録画しているので、おかげで今のDVDレコーダーは4台目になります。
 
   UPした画像は1話の真ん中から後半部分です。
 
 やさしい父親(ハ・ジェヨン)と姉テヒ(カン・ボギョン)と妹ユニ(ハ・スンリ)の貧しいけれど仲良しの家族に訪れる不幸。大家は家賃が払えなければ、家を出ていけと言います。父の穴のあいた靴をみたユニは、貯金箱を持って靴を買いに行くのですが、お金が足りなくて、靴屋の手伝いをして父の靴をもらいます。夜遅く帰ったユニを叱ってぶつ父。父の病気を知って心配するテヒと父の会話。父に叱られた妹ユニを優しくなだめるテヒ。ユニのプレゼントの靴を履き、父はソウルへ向かいます。
 姉妹の子役、カン・ボギョンとハ・スンリが上手で、1話から引き込まれてしまいます。1話ラストのカン・ボギョンの名演技に涙が止まらず、父が亡くなり,仲良し姉妹が離れ離れになってしまう2話から怒涛の展開にもう私はノックアウトでした。。
 
 両親の形見の指輪が物語りのキーワードになって、親子、姉妹の情愛、事故、記憶喪失、貧乏、病気、三角関係、すれ違い,嘘、復讐、愛と希望とドラマを構成する、すべてがてんこ盛りの「ガラスの靴」。このドラマを多くの人に観てもらいたいと思います。
 十数年後、離れ離れの姉妹は、まったく違う環境のなかで育ちます。姉テヒをキムジホ、妹ユニ(ソヒ)をキム・ヒョンジュが演じていて、二人の配役がピッタリです。キムジホはしっかりした女性、キム・ヒョンジュはけなげで貧しさやいじめにも負けないで、希望を持っている娘。キム・ヒョンジュのくちぐせは、ケンチャナヨ(大丈夫)でした。
 姉妹と知らずに二人は切ないすれ違いを繰り返し、三角関係の恋愛でも悩みます。二人とも名演なのでどちらか一方の応援は出来ず、早く姉妹ということがわかってほしいと思いながら、観てしまいました。
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