マガジンひとり

自分なりの記録

世間とキャラ

2020-05-26 18:06:48 | メディア・芸能
サッカー界のゴキブリ、出版界のゴキブリ、ワイドショーのゴキブリ、大阪のゴキブリ、コロナ禍に伴って各地にゴキブリ大増殖。なかでも特大のゴキブリはやはりアメリカの金髪の。未承認の薬を飲んで自慢するとか、視察先の工場でわざわざマスクを外す、記者を喜ばせないためとか、次々とくだらない話題が流れてきて見苦しいことこの上ない。

ゴキブリよばわりする相手は選んでいるつもりだが、そもそも私はゴキブリよばわりはゴキブリに失礼だという考え。ゴキブリは不潔なところに湧く。動きが素早くてゾッとさせる。でもあちらは人類よりはるか昔から同じ姿で生きている。にわかに大増殖したのはわれわれなのだ。アメリカの金髪のゴキ…トランプにしてもツイッターを始めるまではあそこまでヒドイ人格ではなかったという話がある。

当初いわれていた白人貧困層だけでなく、あらゆる界隈に虚栄や乱行を好む者が。バカホとSNSがそうした人をトランプを介して結び付け、自分大好きのトランプも喜んでそちらの方向に言動を寄せ、ついには大統領に。彼の幼児性やヘイト・差別は支持者の鏡であり人気の源泉なのだからこれからも改まることはないだろう。


統合の失調(てすら) @Kohler_volnt 5月20日
現代の高度な消費文化では「○○が好き」なのではなく「『○○が好き』な私が好き」という消費によるアイデンティティの形成に主眼が置かれる。マイナーバンドを好きな私が好き、というようなサブカル好きを思い浮かべればわかりやすいと思う。

統合の失調(てすら) @Kohler_volnt 5月20日
更に卑近なところでは、ツイッターのプロフィールに趣味や好きなものを書き連ねるのがあるけど、あれは同士(仲間)を見つける以外にもその人のアイデンティティとして作用しているのがわかると思う。

もち米 @outdoorhassaku 5月21日
人が金を得るために他の人を脅かさないような世の中になってほしいんだよな。SNSが加速してから広告があらゆるところから狙撃してくる感じあるし。今よりもっとのんびりとした気持ちで生活できる世の中に変わってほしい。


先駆的な名著とされるボードリヤールの『消費社会の神話と構造』を読み始めたところ、冒頭に現代消費社会の象徴としてドラッグストアが。女はドラッグストアが好き。もちろん毎日の化粧・家事・子育てなどの必要もあるし、それ以上に「きれい・かわいい・清潔・健康的」などのイメージに自分を重ね、自分自身を演劇的に消費して心を満たしている面があるようなのだ。

自分らしさを表す記号。トランプのように自分からそちらへ寄せていく。丸文字や黒ギャルはそうして生まれる。私が高校のころにベストセラーになった田中康夫の小説『なんとなく、クリスタル』ではたくさんのブランドものの固有名詞が登場人物のアイデンティーを形成。そもそもアイデンティティーという言葉が日本語化されたのも同じ頃で、辞書には「自己同一性」というものものしい訳が。芝伸太郎という人の『日本人という鬱病』『うつを生きる』によれば、自己同一性の「自分らしさ」をより病的にさせる「役割同一性」という考え方があり、たとえば仕事で融通の利かない完璧主義の人がうつ病患者に多くみられるのは「職務こそ自分らしさの唯一の証明」であるようなのめり込みのためだという。

役割は自分が決めるだけでなく常に他人からの承認を必要とする。とんねるず石橋さんに番組コントでセクハラされた(最もきれいだった頃の)宮沢りえさんはうれしそうだった。でも卑屈なおやじはお金や権力で若い女の関心を買わねば。なので若者はとんねるずに憧れ、支持し、おやじたちはコンパ芸だとこき下ろす。同じセクハラがとんねるずならテレビの売りになり、おやじなら下手すると訴えられる。「役割」はお金だけでは買えない。

とんねるずの時代、若者人口は増え、個別には貧しくてもバブル経済の余禄が若者文化にも届いていた。いまEXIT兼近さんは「貧しい生い立ちのため未成年で犯罪加担せざるをえなかった」文春砲を同世代からの支持によってはね返した。いまコロナ禍で営業激減中かも分らないが彼ら「お笑い第7世代」は多忙を極めて疲弊していたようだ。「本当はいい人」キャラでも若者層マーケティングのため吉本興業などから利用されているとすれば実質トランプと同じで分断と格差を助長。日本の「世間」は対人関係と利害関係が不可分に連なったタペストリー。お金・時間・義理と人情・学校と会社・バカホとSNS。きみのゆく道は果てしなく遠い—
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