朝から雨…お昼も雨…、そして午後もずーと雨…な本日のやんばるです。
雨の強弱に変化があるくらいです。
あと数日で梅雨明けの平年値なのですが、週間予報に晴れマークが見当たらないなぁ…。
風は南東。雨、断続的に強雨。
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東の果てにあるその都市は、何もかもの幅が広いのでございます。
そびえる建物はもとより、道路も線路も橋も港も、すべての幅が広いのでございます。
疾走する車も列車も船舶も、そして人々が手にするすべての商品も、幅が広いのでございます。
目に見えるものだけではございません。
見ることも触れることもできない〈情報通信網〉さえ、途轍もなく幅が広いのでございます。
ただそのせいで、人々の心だけが、狭量になっているようだと申しておきましょう。
さらには、想像力まで狭量にする法が制定されたそうでございます。
そもそもその場所では、東という方位そのものの幅が広いのかもしれません。
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イタリアの作家、イタロ・カルヴィーノの『見えない都市』のパロディ。
この作品は『東方見聞録』のマルコ・ポーロが、モンゴル皇帝フビライ・ハンに様々な都市の報告を行うというストーリー。
マルコ・ポーロもフビライ・ハンも実在の人物で、この二人が出会っているのも事実です。
しかしこの作品の内容はもちろんフィクションで、マルコ・ポーロがフビライ・ハンに語る報告は、奇妙奇天烈な都市の物語…という幻想小説で、すごく難解ですがすごく面白い作品です。
〈幅の広い東〉というキーワードから、この物語を連想したのです。
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ところで、そもそも何故〈幅の広い東〉なのかというと…
〈ハゼ科ハゼ亜科イレズミハゼ属フトスジイレズミハゼ Priolepis latifascima 17年5月15日 沖縄島安和〉
本種の学名種小名が『幅の広い東』の意味だったから。
種小名前半の latus がラテン語で『幅の広い』の意、そして後半の fascima が『東』の意。
なのですが…
実はこの fascima は fascia に m が混入して記載されてしまった誤植。
fascia は『帯・紐』の意で、つまり本当は『幅の広い帯』なのだそう。
後方の横帯が前方のものより太いという本種の特徴を表しているわけです。
まあ『幅の広い東』から、いろいろと自由なイメージをするのも面白いですけど…。