Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

人蔘とニンジン(コウライトラギス)

2018-11-20 19:42:34 | トラギス科

風は乾いた涼風、空からは燦々と陽光…

両者のバランスが丁度良かった本日のやんばるです。

だんだんと夏日を記録する日が減ってますが、今日みたいな感じならとても過ごしやすく感じたり…。

風は北東。晴天。

■■

『人蔘』

何と読むか分かります? 『にんじん』です。

もし今、オレンジ色のニンジンをイメージされたなら、それではありません。そのニンジンはセリ科の根菜。

それに対して、この人蔘はウコギ科の多年草。薬草としても知られ、標準和名はオタネニンジン。

オタネニンジンは、漢字だと御種人蔘と書きます。これは徳川吉宗が朝鮮から入手した人蔘の種(つまり御種)を各地の大名に与えて、栽培を推奨したことが由来なのだとか。それ以前の日本では、人蔘は朝鮮半島からの輸入品しかなかったわけです。

くどいようですが、この人蔘はニンジンではありませんよ。つまりもともとただにんじんといえば、この朝鮮由来の人蔘の事だったわけです。

ところが江戸時代以降に舶来野菜としてセリ科のニンジンが知られるようになり、やがてにんじんといえばそちらのニンジンを指すようになったのだそう。

そこで区別するために、人蔘のほうは『朝鮮人蔘』と呼ばれるようになったのだとか。レトロニム(再命名)ですね。パンダとレッサーパンダみたいな。

戦後は輸入元が韓国になったので、『薬用人蔘』と呼ばれるようになったそうですが、『薬用』の名称が薬事法に抵触すると行政指導を受けたため、『高麗人蔘』に名称が切り替えられたのだとか。

そう漢方の生薬、『高麗人蔘』のことです。この人蔘には、時代と共にいろいろな名前の遍歴があったわけです。

『高麗人蔘』は日本で生まれた名称ですが、今は韓国に逆輸入されているそうです。

■■

さて…

〈トラギス科トラギス属コウライトラギス Parapercis snyderi 18年9月19日 沖縄島安和〉

学名種小名は『Snyder氏の』意。

アメリカの魚類学者、ジョン・オッターバイン・スナイダー氏への献名です。

高麗(コウライ)は、朝鮮半島古代の国名のこと。または名詞の上について、それが高麗から伝来したものの意。

本種も朝鮮半島周辺でとれ、韓国で初めて報告されたのだとか。

 


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