Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

平安の古色(クチバイロウミウシ)

2021-07-13 19:36:04 | ウミウシ

梅雨が明け、カーチバイが止み、今週はベタ凪のコンディションになってるやんばるです。

風が緩すぎて灼熱~で、スコール系の一時雨が心地良い感じです。

雨が上がるとまたすぐに灼熱~になりますけど…。

この先もこんな感じの日が続きそうです。

風は弱い南東。晴れ、一時雨。

■■

『水底の朽葉にありぬ鯉の影』

昭和初期の俳人、西東三鬼の句です。

この句の季語は『朽葉』。冬の季語です。

字面から察しがつくかもしれませんが、『朽葉』とは枯れ落ちた葉、落ちて腐った葉、落ち葉のこと。

または朽葉色の略。

朽葉色は日本の古い色の名前の一つ。この色は、平安時代と江戸時代以降では違う系統の色をさすのだとか。

平安時代には、朽葉は多様な樹木の紅葉に由来し、黄朽葉、赤朽葉、青朽葉(なんか早口言葉みたいですが)等々、『朽葉四十八色』と言われるほど派生が存在したのだそう。

平安時代の貴族は明るい黄赤を非常に好み、朽葉はイチョウやカエデなどのもみじと同義で、朽葉色は鮮やかな黄赤系統の色だったよう。

それが江戸時代になると、朽葉色は黄枯茶色の別名になったのだそう。

この色は当時の女性の着物の地色としてよく使われていたのだとか。

この緑褐色や現在の朽葉色は、いわゆる枯葉色の茶褐色系統なのだそうです。

一つの色が、時代と共に大きく変化してしまったというわけですね。

■■

さて…

〈イロウミウシ科シノビイロウミウシ属クチバイロウミウシ Thorunna purpuropedis 21年5月7日 沖縄島新里〉

学名種小名は『紫の足の』の意。

腹足の地色は薄紫色です。

〈同種別個体 同日 同ポイント〉

外套膜周辺部が、橙色から赤色の色帯で縁取られる本種。

黄赤系統の色ですよね。

平安時代の古色を纏ったウミウシです。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする