Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

あかねさす(アカネダルマハゼ)

2020-01-14 18:35:35 | ハゼ科

本日は、というか本日もぽかぽか陽気な空模様になったやんばるです。

インターバルもスーツのままのんびり過ごせますが、油断してると顔がヒリヒリすることに…。

もう冬は終わってしまったのかな、とか思えてしまう感じの日が続いてます。

まあ、次の週末にはこの冬一番の寒気が沖縄地方にやってくるそうですが…。

風は東。晴天。

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『あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る』

万葉集のなかの有名な一首。額田王が詠んだ歌です。

茜色の、紫の野を行き、天皇の御料地を歩いているときに、そんなに袖を振らないでよあなた、野守が見ているかもしれないのに。って感じの歌。

『標野』っていうのが御料地(天皇の直轄地)ですね。『野守』はその御料地の番人。御料地は一般人の立ち入り禁止ですから。『君』というのは大海人皇子のことで、後の天武天皇のこと。

つまり額田王が、当時の天皇である天智天皇の御料地で、「私に向かってそんなに袖を振らないで」と大海人皇子に言っている、という歌なわけです。

どうしてそんなことを言うのかというと、『袖を振る』という行為が、ただ腕を振るという動作のことを指しているわけではないから。この時代、袖を振るという行為は恋しい人の魂を自分の方に引き寄せるという、ある意味呪術的な行為でして、つまりは熱愛の仕草なのです。今でいうところの投げキッス的なことでしょうか。

そしてこの二人の関係が実に微妙でして、額田王は大海人皇子の元妻なのですが、しかしながらこのときは天智天皇の妻になっています。ということは、元旦那が今の旦那の直轄地で自分に向かってまだ熱愛してるよ~ってアピールしているということですね。そりゃあ野守に見られたくないかも、と思えたり。あと付け加えておくと、大海人皇子は天智天皇の弟です。

この日は御料地で薬狩の行事が行われ、二人ともそれに参加していたわけです。で、その夜の宴でこの歌は詠まれました。公式行事ですから、当然天智天皇も参加しています。つまり天智天皇の前で、この歌は詠まれたわけです。さらには大海人皇子が返歌として、「まだあなたのことが好き好き大好き~」的な歌を詠んだりしています。もちろんこれも天智天皇の前で。

何というか、万葉の人たちは非常におおらかな恋愛観を持っていたのでしょうか。この三人の関係性はどうなっていたのでしょうね…。

茜色は太陽の色。明治政府が制定した日の丸の旗の赤は、茜色だったのだそう。つる性多年生植物のアカネの根を染料に染めた色です。その根は赤く『赤根』が転じて『茜』になったのだとか。

夕焼けの空や赤トンボをイメージしてしまう色ですね。

ただしその花の色は、白や黄色なのだそうですよ。

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さて…

〈ハゼ科ハゼ亜科ダルマハゼ属アカネダルマハゼ Paragobiodon xanthosomus 19年11月18日 沖縄島新里〉

学名種小名は『黄色い体の』の意。

学名はまあその通りですね。

和名の方は、染料の茜色ではないですよね。

花の色なのでしょうか…。

 

コメント
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