無意識日記
宇多田光 word:i_
 



で映画観てきましたよっと。

いやなんでこのオファー受けたの!?

私ゃ御存知のように結局キングダム原作漫画の予習をしてきてなかったんで、ヒカルにオファーがあったのは、多分なんか回想編的なものがメインで結構しっとりした回なのかな、だから宇多田にバラードが発注されたのかなとか思ってたんですが、いや確かに前半にしっかり回想編はあったんだけどその半分がアクションシーンで、更に映画後半は、とことん戦いっ放しだった前作「遙かなる大地へ」をも上回る戦争しまくりし放題で、更にその一戦の渦中で「続きはまた次作で!」ってぶん投げる展開でな。いや待ってよ、これでラストにバラード流そうと思ってたのかキングダム制作陣は!? もっとこう、リリーフ的な、「俺たちの戦いはこれからだ!」みたいな…ってそれは打ち切られるヤツか、「次の映画もまた観に来てね」っていう繋ぎのエンディング・テーマ曲が要るヤツじゃん。あたしゃてっきり『Eternally』みたいな『戦いに出かける前の一休み』なパワーバラードが合うストーリーだと思ってたのに、全然違ったんだわ。うへー。

あれだわ、映画観るまでは『Gold ~また逢う日まで~』は「ヒカルも随分自由にやったねぇ」とか思ってたけど、逆だったわ。これヒカルはそう語ってないけど、このストーリーのエンディングにバラード発注してきた頓珍漢さを諫める為に「いや一応バラードで始めてはみましたけど、連作映画の流れとしては(少なくとも4部作以上ではあるらしい)、ここでアップテンポなリリーフ曲が要るんじゃないですかね」っていうかなり寄り添って譲歩した提案としてこの曲を作ったんじゃないの? だから第4作が公開される事を見込んで副題を『また逢う日まで』にして、更にこの台詞で曲をカットアウトで終わらせて余韻を次回作へと繋いだ、と。

映画を観るまでは「ヒカルさんも大胆というか不遜というか、気分で曲作りやがって」だなんて私も思ってたんだけど、違ったですね。音楽職人として、相手のオファーのいたらなさをカバー&フォローしまくった、めっちゃ優しさと慈しみに溢れた仕事だったんだわ。ほんま、ようこんなオファー受けたよねぇ。あたしが思ってたよりずっとヒカルさんの心は広かったのでした。凄いよホント、この包容力は!

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7月28日という日付は大変困りものでありまして。19年前の2004年には『誰かの願いが叶うころ』と『ヒカルの5』のDVDが発売になり、17年前の2006年には『UTADA UNITED 2006 One Night Magic in Osaka』というシークレット・ライブハウス・ギグが敢行され、6年前の2017年には『Forevermore』がリリースになり。こんななので元々「7/28」という数字の並びには他の日付より過敏に反応してしまう方だったのですが、本日『Gold ~また逢う日まで~』のフルコーラスを聴いたことで更にその過敏さに拍車が掛かる結果と相成りまして。いやもう12/9や1/19に肉薄する勢いですわ。

何度聴いても、いいねぇ。いいわねぇ。というか、この曲って展開が奇抜なんだけど、奇抜さが魅力というよりは、聴き慣れてある程度曲展開が頭に入って全景を眺められる位になって漸くその魅力を把握し始められるタイプの楽曲だと思うので、「よくわからんなぁ」という人は何度も聴いてみるのも1つの手かもしれません。

一方で、最初のワンコーラス約80秒を聴いてピンと来なかった人は全編聴いてもそこまで響かないかな?とも思ったり。なんだかんだでそこまでの時点である程度材料が揃っているといいますか、そこで敷かれた下地から大きく外れる訳ではないのです。

で。私がまだ「キングダム 運命の炎」を観ていない今のこのタイミングで書くしかないのですが、次のように思うのです。歌詞が、もうちゃんと完全に独立していて、タイアップ相手に気を遣って入れたと思しきフレーズや単語が見当たらないのよね。例えば『Can You Keep A Secret?』で言えば『迷宮入りさせたくないなら』とかは、相手方のドラマ「HERO」の内容(事件解決型)に合わせて入れた一節であるように思うのだけど、今のところキングダムのモデルである「昔の大陸の戦国時代」に合わせた箇所がこの『Gold ~また逢う日まで~』見当たらない。強いて言えばタイトルかなぁ?という程度。寧ろ「いや待てBGM?? アンドロメダ??」みたいに「これエンディングで流れたら場違いなんじゃないの?」というフレーズの方が目立つ。これがエンドロールをバックに流れてちゃんとハマるのだろうか?という不安は、映画を観る前の身としては、抱かざるを得ないのでありました。

なので、ちょっと今から観てきますねノシ

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宇多田ヒカル2023年新曲第1弾(2弾目以降もきっとある!)、『Gold ~また逢う日まで~』がリリースされた。待ちに待ち望んだフルコーラスにやっと邂逅し、目が点になって朝を迎える。


なんちゅう曲作ってるんやろうね。どこからツッコんでいいか迷いに迷う4分14秒。一聴後このランニング・タイムを目にしてまた目が点になったわ。これだけの旅を味わわせておいてそんだけしか経ってないの!? わけがわからないよ。

ここまで散々、「このまま裏の裏をかいてシンプルなピアノバラードだったりして」と「でもやっぱり奇天烈な展開が待ち受けてるのかなA.G.Cookとだし」の2つの間で揺れ動いてきたが、なるほど後者でしたね。それも、全くこちらの予想通りに……と言っても「事前には全く予想の出来なかった曲展開になっているだろう」という予想の通りに、ではありますが。

今夜コレが映画のエンディングを飾るのを目にするという事実にまた目が点になる。初めて聴く人はどれだけ油断をしているだろう。なるほど、確かに「最初のワンコーラス」をトレイラーに使ったのは正解だわ。もうあれからして奇天烈な曲展開に驚いて楽しんで貰う為の「フリ」だったのね。

そういう意味では、周囲がヒカルの奇抜さに慣れてきたというか、それを前提にして話が進んで作られている感も出てきているのかも。今回は初っ端からドルビーアトモスでの配信があったのだが、ミックスのみならず編曲時点からアトモスフェリックな視座が感じられていて、A.G.Cookであれ誰であれ、周囲のスタッフがサウンド・メイキング時点でヒカルの独創性と空間的な編曲術を新しい技術で活かそうという意図を持っていたように見受けられる。

そしてプロモーションも、タイアップ相手及びレコード会社双方「フルコーラス初邂逅のインパクトを演出しよう」という意図の元でこの数週間動いてきたんだろうな。お陰様で寝て起きた今でも目が点のままです本当にどうもありがとう。

ただ、どうしても奇抜さにばかり耳が行くが、なんだかんだで最初から公開されている部分の持ってる魅力をそのままキープして展開させているので、楽曲としての一貫性にブレはない。ハッシュタグを辿ると早速「これは移調や転調ではない」旨を指摘する呟きに辿り着くが、用語用法の是非はそれとしてこれらは重要な点だろう。奇を衒ったというよりは、歌詞のテーマに沿った順当な内容ではあるのだ。事前にそれを予想するのは全く不可能であるとはいえ、一度以上聴いた後なら徐々に合点がいくかなと思う。

なので、「こんなことになってたの!?」という驚きはありつつも「何が何だかわからない」ということまではあんまりなかった。「こんな曲を作れる頭脳だなんて何が何だかわからない」とは思うけれども、曲の持つメッセージは明解だ。そこらへんは追々触れていこう。


『プラチナもダイヤモンドも
 アンドロメダも勝負にならぬ』

それにしてもこの歌詞な。今後再生回数でRIAJに「ゴールド認定」(5000万回再生)されるとこまではそのものの曲名と歌詞に擬えて素直に称賛していけるけど、そこから先、「プラチナ認定」(1億回再生)や「ダイヤモンド認定」(5億回再生)に辿り着いた時に気まずくならないんでしょーかね? 「こんな奇天烈な曲がそんなに再生されることなんてないってば!」って意味だとしたらちょっと笑みを浮かべてしまうわさ。さてどこまで人気が出るですかな?

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