そもそも、ツアーも終盤に差し掛かってきたこのタイミングで新しいトラックが届けられると思ってなかったのでそれだけですでに嬉しいサム・スミスの"Stay With Me (feat. Hikaru Utada)"、実際に聴いたらますます嬉しい。
まさか先にヒカルが歌い始めるとはね! 予めメアリーJとのデュエットを聴いていた偏見がこんなに真っ先に現れるとは。しかし結果、なんかヒカル主導のトラックになっててそれがいちばんの驚きだわ。
今までのこういうゲスト出演というのは、大抵相手を立てるというか、役割を弁えてというスタンスだったように思うけど(なりくんとのは自分も作詞作曲に携わってるから別)、今回はかなり自分の領域に引き込んだというか、「お姉さんのこの胸に飛び込んできなさいな」とでも言われてるかの包容力…抱擁力?を感じられて、いやこれどっちが大物かわからんね。
確かに、数字を調べてみるとサムが1992年生まれで、日本基準で1982年度生まれなヒカルからすれば10学年も歳下ってことになるんだな。デビューアルバムもヒカルが1999年、サムが2014年てことで15年の開きがある。サムからすれば、キャリアの長さからしたら大先輩を迎えてという感覚になるんかな。
昨夜リリース直前にヒカルのインスタストーリーにそのサムとの会話が1分弱掲載されたのだが、それをみてもまぁサムの嬉しそうなこと。舞い上がってると言ってもいいような。英欧米では君の方がずっと有名やねんで、ってこれで言い挟むのは野暮極まりないですかね。
ここらへん、英語圏のメディアはどう報じるのかな。「なんか極東の名も知らぬ歌手がサムに対して随分偉そう」みたいな感想になるのか?? 知らんけど。好きにやってくれたらええか。
サムがどのタイミングでヒカルのことを知ったかは、まだわかってない?? 時系列的にはサムが2014年にデビューして全世界のチャートを席巻、その音楽性とクォリティに注目した三宅彰プロデューサーと沖田英宣ディレクターが時を同じくして「次のヒカルの作品のプロデュースはこのサムを手掛けたスティーヴ・フィッツモーリスに依頼しよう」と決意(ここらへんのことはSpotifyのアーティスト・クロニクルで語られてたね)、ヒカルに引き合わせた後に今の『Fantôme』以降の「英欧米のミュージシャンをメインにしたレコーディング&ライブ体制」が出来上がっていったので、サムがヒカルの名を知るのは2016年以降になるか。前回この日記に書いた通りサムからすれば自分のレコーディングを支えてくれてる面々が悉くヒカルの作品に参加しているので、すぐに話は行ってた可能性も高いわ。
…という背景が仮にあったとすれば、サムからすれば「満を持して」「念願の」コラボレーションが実現したのかもしれない。日本では「あのサム・スミスと共演するなんて宇多田ヒカル凄い!」という報じられ方をしそうだけど、トラックを聴く限り「ヒカルを迎えられて嬉しい!」「うふふ、安心してお姉さんに委ねなさい」という関係性に聞こえるのよな。つまりヒカルさん、レコーディングでもまさかのくま子先生モードだったのかもしれません。寧ろこのレコーディングがあったからくま子先生のキャラが爆誕したのかも!? どうなんでしょうねぇ。ニヤニヤしながら今日一日、この絶品の歌唱を堪能させて貰うと致しましょうか。ホントありがとね。
| Trackback ( 0 )
|