話を纏めておくと。もしHikaruがEntertainment BusinessやPop Music Sceneに興味があるなら日本から始めずに米国や英国から始めて、その人気を日本に逆輸入すべきだ、という事。確固たるファンベースのない日本で、こうやって世代の入れ替わりを経た後に十分な支持を得るのは難しい。そのうち、"渇望"すら失われていくだろうからだ。
ただ、何をもってして日本の"市場"が失われたのか、というと難しい。減っているのはCDの売上であって興行は依然活況だとは何度も述べてきたし、各ジャンルのファンは何不自由なく暮らしている。
例えば私はHR/HMファンだが、1991年から1994にかけての時期にこのジャンルは完全に"終わった"と言われた。実際、それまでよりチャート実績は落ちたし、大半のロックファンはオルタナ世代に流れた。そして、シーン全体からみても、ロックというジャンルは完全にヒップホップ/ソウル世代に対抗出来なくなっていった。Nickelbackが"孤軍奮闘"状態になる2001年頃以降、つまり21世紀に入る頃には、従来からビッグだったベテラン以外はまるでビッグヒットを飛ばす割合が減ってしまった。その中のいちジャンルでしかないHR/HMなんぞ、もう推して知るべしである。
だが、個人レベルではまるでこのジャンルは衰退していない。それどころか、LOUDPARKの定着によって見られるバンドの数が増えた。カップリング公演やフェスティバル形式も定着、OzzfestにKnotfestと後続まで現れている(いや歴史はOzzfestの方が長いが)。購入形態も、配信販売やネット通販によって手に入れられるケースが拡大に増えた。輸入盤や中古盤もクリックやタップひとつである。昔よりずっと恵まれた環境にいる。"終わった"と言われたジャンルのファンをそのあと20年以上も何の不自由もなく過ごせているのだ。関東在住、ってのがいちばん大きいのですがね。
兎に角、別にジャンルとして、シーンとして"終わった"からといって、ファンは嘆く事はないのだ。新曲が聴けてライブに行ければそれで事足りる。ラジオやテレビの出演がなくてもいくらでも音声や動画が配信できるしインタビューもWeb媒体で十分だ。何の問題もない。売れないとかメジャーじゃないとかは大した問題ではないのである。ファンの方からすれば。
シーンが小さくなって収益が少なくなった時に困るのはファンの方ではなくて制作側だ。制作費が低くなる。これが痛い。というか、まさにこの一点に絞られるといっていい。
そこで、Hikaruの場合である。制作費はどれ位必要なのだろうか。それ次第だ。制作費がそんなに要らないのであれば、使わない方がいい。使えば使うほど、広告宣伝に力が入り、Hikaruの体力が削られていく。2002年にしろ2009年にしろ倒れたのは制作途中ではない。プロモーション活動中だ。勿論疲労は蓄積されているだろうが、それがなければ倒れる事もなかった。Distance制作後のように三週間でも幾らでも休養をとってから復活すればよかった。結局、問題はそこなのだ。制作規模と宣伝規模。ここを勘案しながら進んでいかなくてはならない。
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