ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

帯広てくてくさんぽ8

2014年09月15日 | てくてくさんぽ・取材紀行
日中はまとめをする間もない、ハードワークな北海道めぐり。今夜は「残業」での情報整理につき、北海道ローカルな夜食も用意した。「やき弁」ことやきそば弁当はスープつきで、戻した湯を使うエコな品だ。

さて明日は帯広最終日、じっくり市街を攻めよう。

ローカル魚でとれたてごはん…十勝川温泉 『ホテル大平原』の、サケ料理あれこれ

2014年09月15日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
十勝が丘展望台からの眺めは、まさに十勝を一望できるパノラマだ。パッチワークの畑のど真ん中を横断して、左右に悠々と流れる十勝川。この季節はサケの遡上風景もまた、十勝の自然の風物詩である。展望台にいたガイドさんによると、今年は遡上がやや早く、左方面の橋のたもとにある千代田堰堤では、もう川面にサケの姿がたくさん見られるそう。人工孵化用に捕獲され、札内などにある孵化場で授精、稚魚の育成がされるという。堰堤や孵化場の場所を指差して教えてくれるのは、十勝いちの展望台ならではか。

自転車で河岸を20分ほどの千代田堰堤では、水が流れ落ちる堰堤にピョンと跳ねたり、正面の流れに浮いてくるサケの姿が。動きが緩やかなのは、遡上で疲弊しているからか。捕獲作業が行われる対岸では、大網をクレーンで上げ下ろしする作業が見られる。網に数十匹のサケが跳ね回り、捕らえては箱へ放り、と何とも豪快なサケ漁である。作業の親父さんによるとほとんど白ザケで、オスもメスも人工孵化用という。採卵した身は乾物など加工に回すものもあるが、遡上して来たサケは食用に捕らえることはないそうである。

対岸を温泉街へ戻る途中には、人工魚道の脇に見学スペースを設けた施設「ととろーど」があり、水槽越しにサケの遡上の様子が観察できる。今年は同時期で例年の三倍以上の数で、急な水流を次々と越えて行く様は力強さを感じる。澱みで溜めてから一気に行く者、水面部をスパッと泳ぎ抜く者。流れ戻されるのも結構いて、力尽きる寸前、最後の力を振り絞っているようだ。鼻は白く禿げ身は茶がかったりと、見た目もボロっとして気の毒なような。ここを越えてもプールで捕獲され人工孵化に回され、千代田堰堤と同じ運命をたどることになる。

先の親父さんの話の通り、遡上してくるサケは「ほっちゃれ」と呼ばれ、疲弊して味も脂もなく食用にはしない。食用には十勝川に入る前のを、河口付近で沖獲りしている。広尾付近の沿岸が主な漁場で、漁期になると回遊ルートを読み、隙間もないほど細かく定置網が仕掛けられるという。十勝川温泉「ホテル大平原」の夕食バイキングには、そんな旬のトキシラズの料理が並んだ。トキシラズの竜田揚げが、身がサクサクと軽くつまみにもってこい。サケを揚げるのは珍しく、旨さが内にしっかり封じられている。

そして調理コーナーでいい匂いを漂わせているのが、ローカルサケ料理のちゃんちゃん焼き。大きな鉄板で身を丸ごと、白菜やニンジンなどの野菜と一緒にザッと炒め、まぜてほぐして出来上がり。「豪快でしょう」とコック帽の兄さんによると、使っているのは広尾で上がったトキシラズで、味付けは味噌ほか酒、しょうゆと、秋ザケをシンプルに味わえる味付けである。身がしっとりホクホクと味がよく、甘い味噌味がサケも野菜も包み込むよう。両方の味が染みた白菜がジューシーでうれしく、こちらは飯にのせてかっ込みたいおかずだ。

命懸けで遡上しても堰堤で捕らえられ、人工授精に回されるもの。万全元気でさあ川を上るぞ、という前に定置網に掛かり、食用に回されるもの。十勝川をぐるり巡りサケを追いかけたら、それぞれの命の活かし方に畏敬の念が湧いたような思いである。

ローカルミートでスタミナごはん…帯広 『十勝農園』の、ジビエ料理

2014年09月15日 | ◆ローカルミートでスタミナごはん
帯広・十勝農園の料理を「ローカルベジタ」で推しまくったが、肉類も当地の食材が豊富だ。ジビエ料理も扱っていて、鹿肉のローストの鹿肉は狩猟でとれた天然のものを使っている。脂身が少なくほとんどが赤身で、野生の肉だがくせがなくほどよい歯ごたえの柔らかさ。野生のシカは季節や食べている餌で味が左右され、草を食べている時期は獣臭がやや強いほう。食用に飼育もされているそうだが、野性味のある味わいはやはり野生のならではた。

ほか、十勝牛も店で力を入れている食材で、素牛から肥育、取引まですべて道内で行われるという、地域内の完全生産なのが銘柄肉にしては珍しい。ワインに合わせたオードブルは牛頬のゼリー寄せ、牛と豚と鶏のレバーのテリーヌ、自家製の生ハム。冷製にすると牛肉の香りがよく、3種をミックスしたテリーヌは、かみしめるうちにそれぞれの味が全部してくる。しっとり柔らかな生ハムもかむごとにきつめの塩から肉の味が染み出てくる。

カスベ(エイ)のフライとかローカル魚もちらほらあったが、やはり十勝は農畜産地区。帯広に泊まられる際は、ぜひに。

ローカルベジタでヘルシーごはん…帯広 『十勝農園』の十勝産の野菜料理あれこれ

2014年09月15日 | ◆ローカルベジタでヘルシーごはん
農林水産業と食をテーマに地域を盛り上げる、「フードバレー」を推進している十勝・帯広地方。特に農産品は収穫量が全国屈指の品目が目白押しで、産地ならではのとれたて野菜や乳製品と出会えるのが、この地への旅の楽しみである。

そんな十勝の食材を扱う料理屋として一押しのレストランが、駅から5分ほどの繁華街に位置する「十勝農園」。料理長によると、メニューはまず食材を並べ組み合わせ、そこから五味を加味しながら組み上げるとのこと。あくまで食材のもつ力が主で、中でも野菜料理はこの地の野菜の強靭で雑味のない旨さが、そつなく引き出されていて嬉しくなる。

新ジャガのラクレットチーズ添えの焼き物は、乳製品甘ったるさがホクホクな芋との出合いもの。北海道ではジャガイモは越冬させて甘みを出して食べるもので、とれたての新ジャガはそれがないから仕方なく、というものだとか。とはいえほぼまんま味わうことで、十勝の農産物の実力に迫る料理でもある。

続く品はマッシュルームと聞いて、穀倉地帯の十勝でキノコとは、意外と感じる方もいるのでは。ツブ貝とマッシュルームのエスカルゴバター焼きは、シコシコの歯ごたえに特有の木屑香が炸裂。潮の香りがあっさり目のケツブというツブ貝が、山の香気のマッシュルームと相性がいい。丸ごとのフライは、熱で活性化された香りが衣で封印されていて、ひと口でいくと口の中ではじけ広がっていく。

十勝マッシュとの銘柄のこのマッシュルーム、そもそもは香川の醤油醸造会社である鎌田醤油が、だし醤油に使うのに当地に支社をつくり栽培したのが起源という。一般的にマッシュルームは稲わらを堆肥にして栽培するのだが、帯広では本場のフランスと同様に麦わらの堆肥を使っている。供給元は何と、ばんえい競馬の馬の厩舎。工場のそばを流れる札内川の清流も生かしているそうで、帯広の地に根ざしたこれから期待のローカルベジタといえる。

地場野菜の実力をダイレクトに思い知るひと皿が、色とりどりの野菜ののバーニャカウダだ。ニンジン、セロリ、キュウリ、パプリカなどを、もろみ、マヨネーズ、黒ニンニクのアンチョビソースなどをつけ、パキッとひとかじり。どれも雑味のないピュアな瑞々しさで、体の中がスッキリ浄化されていく。パプリカは店用に栽培したもので糖度が8度と、まるで果物のような甘さがする。

「どの料理にも、当地の食材をひとつは加えたい」との、料理長の思いが詰まった品々を味わうごとに、ああ十勝にいるのだなとの実感が沸き起こってくる。料理の「理」も見事だが、それに生かされる「料」の素晴らしさを堪能できる、十勝を食でいざなってくれる一軒である。

帯広てくてくさんぽ7

2014年09月15日 | てくてくさんぽ・取材紀行
十勝川巡りのお題の一つが、サケの遡上を見ること。千代田堰堤まで足を伸ばすと、そこかしこで跳ね回るサケで賑やかなこと。クレーンで網を上げる、豪快なサケ漁もやっていた。

また、遡上の様子を横から見られる「ととろーど」という施設では、人工魚道の激流を懸命に上るサケの様子が涙を誘う。がんばれ、がんばれ。