ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカルベジタでヘルシーごはん…帯広 『十勝農園』の十勝産の野菜料理あれこれ

2014年09月15日 | ◆ローカルベジタでヘルシーごはん
農林水産業と食をテーマに地域を盛り上げる、「フードバレー」を推進している十勝・帯広地方。特に農産品は収穫量が全国屈指の品目が目白押しで、産地ならではのとれたて野菜や乳製品と出会えるのが、この地への旅の楽しみである。

そんな十勝の食材を扱う料理屋として一押しのレストランが、駅から5分ほどの繁華街に位置する「十勝農園」。料理長によると、メニューはまず食材を並べ組み合わせ、そこから五味を加味しながら組み上げるとのこと。あくまで食材のもつ力が主で、中でも野菜料理はこの地の野菜の強靭で雑味のない旨さが、そつなく引き出されていて嬉しくなる。

新ジャガのラクレットチーズ添えの焼き物は、乳製品甘ったるさがホクホクな芋との出合いもの。北海道ではジャガイモは越冬させて甘みを出して食べるもので、とれたての新ジャガはそれがないから仕方なく、というものだとか。とはいえほぼまんま味わうことで、十勝の農産物の実力に迫る料理でもある。

続く品はマッシュルームと聞いて、穀倉地帯の十勝でキノコとは、意外と感じる方もいるのでは。ツブ貝とマッシュルームのエスカルゴバター焼きは、シコシコの歯ごたえに特有の木屑香が炸裂。潮の香りがあっさり目のケツブというツブ貝が、山の香気のマッシュルームと相性がいい。丸ごとのフライは、熱で活性化された香りが衣で封印されていて、ひと口でいくと口の中ではじけ広がっていく。

十勝マッシュとの銘柄のこのマッシュルーム、そもそもは香川の醤油醸造会社である鎌田醤油が、だし醤油に使うのに当地に支社をつくり栽培したのが起源という。一般的にマッシュルームは稲わらを堆肥にして栽培するのだが、帯広では本場のフランスと同様に麦わらの堆肥を使っている。供給元は何と、ばんえい競馬の馬の厩舎。工場のそばを流れる札内川の清流も生かしているそうで、帯広の地に根ざしたこれから期待のローカルベジタといえる。

地場野菜の実力をダイレクトに思い知るひと皿が、色とりどりの野菜ののバーニャカウダだ。ニンジン、セロリ、キュウリ、パプリカなどを、もろみ、マヨネーズ、黒ニンニクのアンチョビソースなどをつけ、パキッとひとかじり。どれも雑味のないピュアな瑞々しさで、体の中がスッキリ浄化されていく。パプリカは店用に栽培したもので糖度が8度と、まるで果物のような甘さがする。

「どの料理にも、当地の食材をひとつは加えたい」との、料理長の思いが詰まった品々を味わうごとに、ああ十勝にいるのだなとの実感が沸き起こってくる。料理の「理」も見事だが、それに生かされる「料」の素晴らしさを堪能できる、十勝を食でいざなってくれる一軒である。

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