帯広名物の豚丼で昼食を済ませ、店を出たら列車の出発時間まで街を少し歩いてみることにした。飲食店が立ち並ぶ帯広銀座通りから、駅から左斜め方向にのびるメインストリートの西二条通りへ。このあたりが街の中心部らしく、藤丸デパートの周辺にショップが集まりかなり賑わっている。北海道でおなじみの菓子店・六花亭の店舗もあったので、何かおみやげを買っていこうと立ち寄ってみることにした。主な観光地や駅、空港など道内の各所で売店を見かけるが、ここは大きなビルの1階に広々した売り場があり、かなり大規模だ。今では北海道屈指の製菓会社である六花亭の創業は1933(昭和8)年。和菓子と喫茶の「帯広千秋庵」がルーツで、かつてその店があった場所に建てられたここが本店なのである。当時から農業や酪農が盛んだった十勝地方の素材を生かし、質が良く値段が手ごろな菓子作りを目指していたという。
店内狭しと揃う様々な菓子の中でも、六花亭の看板商品といえばやはりチョコレート。ホワイト、モカホワイト、抹茶ホワイト、ビタスウィート、ミルクの5種類の板チョコが、おなじみの坂本直行画伯による花の包み紙で包装され、売り場の一画にどっさり積まれている。日本で初めてホワイトチョコレートを製造したのは、実はこの六花亭なのだ。時は昭和43年、旧国鉄の「ディスカバージャパン」キャンペーンの全盛期で、バックパック旅行で北海道を訪れる若い人たちの口コミによって、全国的に知られるようになったという。そのそばには最近人気のストロベリーチョコも、赤いバケツ風のかわいい小箱に入って並んでいる。ホワイトチョコレートの中に、フリーズドライのイチゴを丸ごと入れたこのチョコは、社員がオーストラリアで見つけたお菓子をヒントにしたもので、イチゴの爽やかな酸味とホワイトチョコの優しい甘さが相性抜群。トラディショナルな板チョコ5枚セットと、ニューウェーブのストロベリーチョコのバケツを2つ、それぞれおみやげに決定。
チョコレートがいっぱい入った篭を片手にレジへ向かう途中、もうひとつの名物であるマルセイバターサンドにも目移りしてしまう。ホワイトチョコレートをベースにしたクリームを、厳選した粉を使ったクッキーではさんだだけのシンプルなお菓子で、現在の社名に変更した昭和52年の発売以来の人気商品。今では売り上げの4割を占めるヒット商品だ。レトロなパッケージは、帯広開拓の祖である依田勉三の牧場で、明治30年につくられた十勝最初のバター「マルセイバタ」のラベルをデザインしたそう。依田勉三といえば、さっき豚丼の店の前でその言葉が書かれた看板を見かけた。開拓時代にゆかりがあるのは、豚丼もこの店の菓子も同じようで、ほかにも開墾ゆかりのネーミングのお菓子が結構多い。
結局バターサンドもひとパック衝動買いして、支払いをすますともう少し時間がある。2階に喫茶室があるのでそこでお茶を飲もうとしたら、売り場の1画に簡単な立食コーナーがあり、ケーキなどは店内で頂くこともできると店の人。手軽なのでここで豚丼の食後のデザートとして、新栗モンブランのケーキを選んで一息つくことにした。自然でやさしい甘さで、上にのったマロングラッセの爽やかな甘味もうれしい。無料のサービスのコーヒーをおかわりして、頭もおなかもスッキリしたところでいざ駅へ。今日泊まる日本最東端の街・根室へ向けて、あと4時間の列車の旅が待っている。(2005年10月28日食記)
※根室では北海道ナンバー3のカニが登場。さらに日本最東端の街の思わぬ洋食に遭遇…。以下次号。
店内狭しと揃う様々な菓子の中でも、六花亭の看板商品といえばやはりチョコレート。ホワイト、モカホワイト、抹茶ホワイト、ビタスウィート、ミルクの5種類の板チョコが、おなじみの坂本直行画伯による花の包み紙で包装され、売り場の一画にどっさり積まれている。日本で初めてホワイトチョコレートを製造したのは、実はこの六花亭なのだ。時は昭和43年、旧国鉄の「ディスカバージャパン」キャンペーンの全盛期で、バックパック旅行で北海道を訪れる若い人たちの口コミによって、全国的に知られるようになったという。そのそばには最近人気のストロベリーチョコも、赤いバケツ風のかわいい小箱に入って並んでいる。ホワイトチョコレートの中に、フリーズドライのイチゴを丸ごと入れたこのチョコは、社員がオーストラリアで見つけたお菓子をヒントにしたもので、イチゴの爽やかな酸味とホワイトチョコの優しい甘さが相性抜群。トラディショナルな板チョコ5枚セットと、ニューウェーブのストロベリーチョコのバケツを2つ、それぞれおみやげに決定。
チョコレートがいっぱい入った篭を片手にレジへ向かう途中、もうひとつの名物であるマルセイバターサンドにも目移りしてしまう。ホワイトチョコレートをベースにしたクリームを、厳選した粉を使ったクッキーではさんだだけのシンプルなお菓子で、現在の社名に変更した昭和52年の発売以来の人気商品。今では売り上げの4割を占めるヒット商品だ。レトロなパッケージは、帯広開拓の祖である依田勉三の牧場で、明治30年につくられた十勝最初のバター「マルセイバタ」のラベルをデザインしたそう。依田勉三といえば、さっき豚丼の店の前でその言葉が書かれた看板を見かけた。開拓時代にゆかりがあるのは、豚丼もこの店の菓子も同じようで、ほかにも開墾ゆかりのネーミングのお菓子が結構多い。
結局バターサンドもひとパック衝動買いして、支払いをすますともう少し時間がある。2階に喫茶室があるのでそこでお茶を飲もうとしたら、売り場の1画に簡単な立食コーナーがあり、ケーキなどは店内で頂くこともできると店の人。手軽なのでここで豚丼の食後のデザートとして、新栗モンブランのケーキを選んで一息つくことにした。自然でやさしい甘さで、上にのったマロングラッセの爽やかな甘味もうれしい。無料のサービスのコーヒーをおかわりして、頭もおなかもスッキリしたところでいざ駅へ。今日泊まる日本最東端の街・根室へ向けて、あと4時間の列車の旅が待っている。(2005年10月28日食記)
※根室では北海道ナンバー3のカニが登場。さらに日本最東端の街の思わぬ洋食に遭遇…。以下次号。