暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

楽しい毎日

2010-11-22 | 狂おしい
雨が降る日に血をながした
行き場のなくなった細胞たちが
こわされながら溶けていった

雪が降る日は肉も落ちた
軽やかに落ち込む血と肉は
きっと腐らず凍っただろう

晴れた日には何をしようか
生きているのは馬鹿らしい
晴れた日には何をしようか
それ以外でも生き永らえて

何にも失っていやしない
総数はいつだって変わらない
わたしという精神はいつもいつも
決して変わることはない
分母が減っていたとしても
何にも失っていやしない

血と肉が流れていくのは
ぜったいに晴れた日なんかじゃない

雨と雪なら
なんとなく許してくれる気がする

曇りは一番嫌いな日
じっとり空気に押し込められて
不慮の事故で失われる
ぜったいにかくじつに失われる
そして二度と戻ってこない
だってそれはうしなわれた

曇りの日には腕がなくなる
曇りの日には目がなくなる
曇りの日には爪がはがれる
曇りの日には脳がけずれる
曇りの日には血がふきとぶ
曇りの日には骨がとけさる
流れていかずにとどまって
ぷるぷる流れずとどまって
ぼくの前で腐っていくんだ
わたしの前で腐ってしまう
そんなのいやだそんなのは
曇りの日にはうしなわれる
いっこずつうばわれていく
わたしという精神のかたち
あるいは私の精神の細胞が
分母が減れば分子も減るの
たいせつですかそんなにも
晴れていたなら失わない?
雨や雪でも消えていくの?

血肉はたしかに
からだの中で作られて
あずかりしらずに死んでいる
知覚できないことがらは
何もないのと同じこと
わかってやっていたとして
何もないのと同じこと
あずかりしらずに死んでいる
ただし偶発をともなって
あずかりしらずに死んでいく
それは何かがあるのだから
何かがあるのにありやがったのに
このわたしにことわりもなく
それが起きてしまったのなら
失われていく失われる
初めて在ったと気付いてなおも
失われていく失われる
曇りの屈折はわたしの目をくるわせ
けれど要因はけして
あってもよいとはならないから

曇りの日は失わないものになろう
雨に溶けても減らないもの
雪に落ちても凍らないもの
晴れてそうだねと言えるような
ならば曇りに減ってはいけない
その前になくしてしまわなければ

コメントを投稿