暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

孤独

2010-12-10 | -2010
悲しみというにはあまりにも稚拙なものが
薄い胸の内側にしみこんでいく
ひたひたと肺を満たしていく
それは細胞の奥深く
それぞれに根付いた精神にまで深く行き渡り
もしもわたしが息を吐いたとして
ただ窒素が抜けでていくだけ

灰色に染まったひとたちの
何気ない言葉がまたわたしの肺を犯すだろう
それは被害妄想と定義することもできるし
感情がもたらすのであれば真実だと言うこともできる
そのどちらかを否定することで
あのひとたちは灰色へ変わっていったのだろうか

わたしの足先は肌色に見える
それでも肌色ではないのかもしれない

枯れた呼吸がただよって
宙をさまよい迷っている
どこからか辿りついてきた夕飯の香りが
美味しそうだと感じるのであれば
すべての感覚に肯定を示すきっかけになるのだろうか
わたしも、かれらも

確定というひとことがどこかで揺れている
けれど不確定さえもどこかへ隠れてしまった
肺に染み込んだ感情が血管をめぐり
全身に広く深くしみ渡る

わたしは灰色ではない、
わたしは空気の腐敗をかんじている、
わたしは決して灰色ではない、

枯れた呼吸をまた吸い込んだ
枯れない肺の感情はどこからやって来るのだろう
きっとあのひとたちがわたしに送りつけている
(ならば私も?)
双眼鏡をのぞいたようにかれらの目は寒々しい
わたしを見る目は寒々しい
わたしもまたかれらを
解剖されるカエルのようにしらじらしく見ている

かれらの肺にも満たされるものがあるのだろうか
それならばわたしのように
いくら息を吐いても出て行かないのだろうか
それならばわたしのこの気持ちは
どこからあらわれわたしを犯すのだろうか

足先はまだ肌色のままだ
凍えて青白い肌色のままだ
全身をめぐる悲しみは
やがて溶けていくだろう
確定されず、不確定というには確定に近く
わたしはしあわせの匂いを求めて歩く
また新たな悲しみがこの胸を満たすとしても

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