暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

愛とは与えるもの

2019-09-02 | つめたい
私の穴を埋めてくれ
大きく開いたこの風穴を
元のように綺麗さっぱり
一切の隙間もなしに埋めてくれ

ひゅうひゅう抜ける穴を見て
あなたは小さな人形をくれた
その心臓は私の穴へ
宛てがうのには小さすぎた

腕いっぱいのお菓子をくれた
隙間なく詰めたそのはしから
砂糖はぼろぼろ崩れて落ちた
トンネルは未だ続いている

あなたはあなた
たとえどんな姿でも
優しい腕で抱きしめてくれた
空洞をまるで避けるように

代わりのものなどありはしない
詰めたはしからぽろぽろ落ちて
風が体を突き抜ける
あなたを嘲笑うかのように

「心臓を肺を失くしたのなら、
人は生きてはゆけぬでしょう。
代わりのものなどありはしない、
元の臓腑を戻したとしても。」

私の穴を埋めてくれ
私の肉を返してくれ
私の肉を元の通りに
私の穴を返してくれ

ひゅうひゅう抜ける穴を見て
こぼれて落ちる菓子を見て
その腕でどうかこれに触れて
あなたが後ろに持っている

私の肉を返しておくれ
他のものなど要らないから
あなたは微笑んでやってくる
大きな大きな 愛を連れて

コメントを投稿