暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

泥濘のプリズム

2013-01-31 | -2013
ガラス色の水玉が
ふわりふわりと落ち転ぶ
仲間がかれを呼んでいる
おいで、おいで
われらと一緒に泥になろうと
仲間がかれを呼んでいる

踏みにじられるこの世など
這いつくばらねば生きられぬ
業火を潜って時には浴びて
されども後退などは許されぬ

透き通った木の幹が
ざわりざわりと葉をのばす
仲間をかれは呼んでいる
おいで、おいで
わたしと一緒に屍になろう
仲間をかれは呼んでいる

聖らかな歌声を尊ぶ男たち
あらぶる神とまぐわう女
祈りと浄化の名の許で
撒き散らされる不浄のかたまり

照らされ虹は空を駆ける
されど目覚めは訪れず
透過は落ちて泥となり
透過は揺れて灰となり
無数の腕は手を招く
おいで、おいでと手を招く
水玉は泥の烏合と成り果て
木々は灰の堆積と化し
這いつくばってしまえばよいのだ
どのみち水は土に落ち
枝も灰も業火に燃える

後退すればかれがいる
顔もわからぬかれらがいる
虹は空を駆けてはいるが
空などくすんだ青い色
そ知らぬ顔をする衛星は
紛れもないほどまやかしだ

這いつくばればそれで良い
浮上を頭に被ったとして
また水玉は落ちてくる
右も左もわからぬ顔なら
中央もまた烏合にすぎぬ

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