あきおくんは、とてもわすれっぽいおとこのこ。
おもちゃをかたづけるのをわすれて、いつもおかあさんにしかられます。
あんまりしかられてしまうので、あきおくんもわすれないようにきをつけています。
それでもやっぱり、すぐにわすれてしまいます。
おかあさんはあきれていいました。
「このこはばかにちがいないわ。」
あきおくんはかなしくなりました。でも、それもすぐにわすれました。
そとにあそびにいったらいつもくつをはくのをわすれます。
おうちにかえるときはぼーるをこうえんにわすれます。
あきおくんは、あたらしいぼーるをいくつかってもらったのかもわすれてしまいました。
それでもあきおくんは、まいにちたのしくくらしています。
あるとき、おともだちがあきおくんにいいました。
「あした、またあそぼうね。」
あきおくんはよろこんで、「うん。」と答えました。
つぎのひ、あきおくんはおともだちとやくそくしたのをわすれていました。
おともだちはかんかんで、「もうあきおくんとはあそばない。」と言いました。
あきおくんはかなしくなりました。でも、それもすぐにわすれました。
あるとき、おともだちがあきおくんにおもちゃをかしてくれました。
「おきにいりだから、すぐにかえしてね。」
ずっとほしかったおもちゃをかしてもらえて、あきおくんはおおよろこび。
それでもいつのまにか、おもちゃはどこかにいってしまい、あきおくんもおもちゃをかりたことをわすれました。
おともだちはわんわんないて、それからあきおくんとしゃべってくれなくなりました。
あきおくんはだんだんひとりになっていきました。
みんな、あきおくんにあきれてはなれていってしまったのです。
それでもあきおくんは、まいにちかなしくくらしています。
どうしてひとりぽっちなのか、あきおくんはわすれてしまいました。
そんなあきおくんのところに、ようせいがやってきました。
ようせいは、「おもいだしのせい」らしいのです。
あんまりわすれっぽいあきおくんをしんぱいして、おかあさんがよんでくれたのだとようせいはいいました。
「おもいだしたいことをいってごらん。なんでもおもいださせてあげるよ。」
あきおくんは、くびをかしげていいました。
「きみはだれ?」
「ようせいさ。」
「ようせいってなあに?」
「きみのねがいをかなえる、ふしぎないきものだよ。」
「ぼくのねがいってなあに?」
「あきおくんはわすれっぽいんだろ。ぼくのちからは、なんでもおもいだせるんだ。」
「ぼくはわすれっぽいの?」
「おかあさんや、ともだちもそういっていたよ。」
「それは、だれのこと?」
あきおくんは、どうやらおかあさんのこともわすれてしまったようでした。
おもいだしのせいは、あきれていいました。
「これはぼくのてにはおえないよ。あきおくん、きみはもうだめだ。」
そんなことをいわれても、あきおくんはなぜようせいがあきれるのかがわかりませんでした。
「どうしてぼくはだめなの。どうすればいいの。」
「しらないよ。ぼくはおもいださせるだけなんだ。しかたないな、せめておかあさんとおともだちのことはおもいださせてあげるよ。」
ようせいさんがえいっとちからをこめると、あきおくんのあたまのなかで、やさしそうなおんなのひとや、あきおくんとおんなじくらいのおとこのこやおんなのこがみえました。
そしてあきおくんはおもいだしました。
それは、おかあさんとおともだちだったのです。
「おもいだした。おかあさんと、おともだちだ。」
あきおくんのことばに、ようせいもまんぞくそうにうなずきました。
それからあきおくんは、ようせいをちからいっぱいぶちました。
ふわふわとんでいたようせいはしたにおちて、それからまたあきおくんにぶたれ、けられました。
「いたい、いたい。あきおくん、どうしてぼくをぶつんだ。」
ようせいはたまらずさけびましたが、あきおくんはかまわずようせいのはねをむしりました。
「おもいだした。おもいだした。どうして、おもいださせたんだ。いまのぼくには、だあれもいないのに」
あきおくんはなきました。なきながらようせいをけりつづけました。
ようせいはこたえませんでした。もううごかなくなっていました。
さいごにあきおくんは、おおきなあしでようせいをふみつぶしました。
それでもあきおくんのなみだはとまりません。
あきおくんはじぶんのあたまをぶちました。
ちからいっぱい、したにたたきつけました。
でも、わすれることができませんでした。
おかあさんとともだちのわらっているかおが、ずっとあたまからはなれないのです。
あきおくんはひとりぽっちでした。それでもまいにち、すこしだけかなしくくらしていたのは、おかあさんたちのことさえわすれていたからでした。
あきおくんはいつまでもいつまでもあたまをぶちつづけ、ないてくらしました。
わすれなくなったのに、あきおくんは、まえよりずっとつらいままくらしました。
おもちゃをかたづけるのをわすれて、いつもおかあさんにしかられます。
あんまりしかられてしまうので、あきおくんもわすれないようにきをつけています。
それでもやっぱり、すぐにわすれてしまいます。
おかあさんはあきれていいました。
「このこはばかにちがいないわ。」
あきおくんはかなしくなりました。でも、それもすぐにわすれました。
そとにあそびにいったらいつもくつをはくのをわすれます。
おうちにかえるときはぼーるをこうえんにわすれます。
あきおくんは、あたらしいぼーるをいくつかってもらったのかもわすれてしまいました。
それでもあきおくんは、まいにちたのしくくらしています。
あるとき、おともだちがあきおくんにいいました。
「あした、またあそぼうね。」
あきおくんはよろこんで、「うん。」と答えました。
つぎのひ、あきおくんはおともだちとやくそくしたのをわすれていました。
おともだちはかんかんで、「もうあきおくんとはあそばない。」と言いました。
あきおくんはかなしくなりました。でも、それもすぐにわすれました。
あるとき、おともだちがあきおくんにおもちゃをかしてくれました。
「おきにいりだから、すぐにかえしてね。」
ずっとほしかったおもちゃをかしてもらえて、あきおくんはおおよろこび。
それでもいつのまにか、おもちゃはどこかにいってしまい、あきおくんもおもちゃをかりたことをわすれました。
おともだちはわんわんないて、それからあきおくんとしゃべってくれなくなりました。
あきおくんはだんだんひとりになっていきました。
みんな、あきおくんにあきれてはなれていってしまったのです。
それでもあきおくんは、まいにちかなしくくらしています。
どうしてひとりぽっちなのか、あきおくんはわすれてしまいました。
そんなあきおくんのところに、ようせいがやってきました。
ようせいは、「おもいだしのせい」らしいのです。
あんまりわすれっぽいあきおくんをしんぱいして、おかあさんがよんでくれたのだとようせいはいいました。
「おもいだしたいことをいってごらん。なんでもおもいださせてあげるよ。」
あきおくんは、くびをかしげていいました。
「きみはだれ?」
「ようせいさ。」
「ようせいってなあに?」
「きみのねがいをかなえる、ふしぎないきものだよ。」
「ぼくのねがいってなあに?」
「あきおくんはわすれっぽいんだろ。ぼくのちからは、なんでもおもいだせるんだ。」
「ぼくはわすれっぽいの?」
「おかあさんや、ともだちもそういっていたよ。」
「それは、だれのこと?」
あきおくんは、どうやらおかあさんのこともわすれてしまったようでした。
おもいだしのせいは、あきれていいました。
「これはぼくのてにはおえないよ。あきおくん、きみはもうだめだ。」
そんなことをいわれても、あきおくんはなぜようせいがあきれるのかがわかりませんでした。
「どうしてぼくはだめなの。どうすればいいの。」
「しらないよ。ぼくはおもいださせるだけなんだ。しかたないな、せめておかあさんとおともだちのことはおもいださせてあげるよ。」
ようせいさんがえいっとちからをこめると、あきおくんのあたまのなかで、やさしそうなおんなのひとや、あきおくんとおんなじくらいのおとこのこやおんなのこがみえました。
そしてあきおくんはおもいだしました。
それは、おかあさんとおともだちだったのです。
「おもいだした。おかあさんと、おともだちだ。」
あきおくんのことばに、ようせいもまんぞくそうにうなずきました。
それからあきおくんは、ようせいをちからいっぱいぶちました。
ふわふわとんでいたようせいはしたにおちて、それからまたあきおくんにぶたれ、けられました。
「いたい、いたい。あきおくん、どうしてぼくをぶつんだ。」
ようせいはたまらずさけびましたが、あきおくんはかまわずようせいのはねをむしりました。
「おもいだした。おもいだした。どうして、おもいださせたんだ。いまのぼくには、だあれもいないのに」
あきおくんはなきました。なきながらようせいをけりつづけました。
ようせいはこたえませんでした。もううごかなくなっていました。
さいごにあきおくんは、おおきなあしでようせいをふみつぶしました。
それでもあきおくんのなみだはとまりません。
あきおくんはじぶんのあたまをぶちました。
ちからいっぱい、したにたたきつけました。
でも、わすれることができませんでした。
おかあさんとともだちのわらっているかおが、ずっとあたまからはなれないのです。
あきおくんはひとりぽっちでした。それでもまいにち、すこしだけかなしくくらしていたのは、おかあさんたちのことさえわすれていたからでした。
あきおくんはいつまでもいつまでもあたまをぶちつづけ、ないてくらしました。
わすれなくなったのに、あきおくんは、まえよりずっとつらいままくらしました。
違ったらとんだ恥ずかしい人ですがありがとうございます。
もっと明るくしようと思っていたはずでした。