暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

ライラック

2013-06-19 | 暗い
望む時に雨は得られず
望まなければ降り続き
土の下に伸びる根は
とうの昔に腐ってしまった
なおのこと花を咲かせるそれは
幽霊とでも呼ぶのだろうか

茎の内側には虫が棲み
貪っている、ゆっくりと
なおのこと花を咲かせるそれは
美しいと呼べるのだろうか
コンクリートの隙間に芽吹き
肉を裂かれて成長を続け

種を呼ぶこともなく
ただただ花を咲かせている
意固地になったそれのそばで
いつかの種が流される
腐ってしまった根でもなお
場所を遺すわけでもなく

花はいつかに倒れ伏し
大きな獣が踏みつける
住み着いた虫は出て行ってしまった
隙間は埋まることもなく
新たな石灰が流される

雨は弾かれ、傷も塗られ
腐った根だけがあるじを見放し
深く深くへ潜りながら
新たな芽はそれでも、やはり、
居場所を奪って花を咲かせる

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