ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

カレ・ブラン ーフランスの暴力ー

2013年12月22日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 フランスの暴力的で暗示的なSFを鑑賞しました。

 フランス製の暴力を描いた映画が持つ残虐性は、他国の比ではないことを、何度もこのブログで指摘してきました。
 この映画も、それに連なる作品かと思います。

 「カレ・ブラン」です。
 を現す言葉だそうで、にも繋がるそうです。



 近未来。

 いくつもの高層ビルが立ち並ぶその都市の風景は、現在の世界のそれとあまり変わりません。
 違うのは街角のスピーカーから流れる住民たちの妊娠及び出産の報告とセックス奨励のアナウンス、そして木槌でボールを叩いて競い合うスポーツ、クロッケー試合の結果報告です。

 十代の少年フィリップは、人肉加工場で働く母親と共に高層住宅で暮しています。

 しかし今の仕事と生活に絶望した母親は、ベランダから飛び降り自殺を図ります。

 そしてその死体は、回収業者にトラックに乗せられ、人肉加工場へと運ばれていくのです。
 一人残されたフィリップは車に乗せられ、たどり着いた先は、フィリップと同じような年令の孤児が集められた教室でした。

 施設で孤独な日々を送るフィリップは、自殺を企てます。
 チェーンで首を吊り、縊死寸前のフィリップを救ってくれたのは、同じ教室の少女、マリー。
 
 同じように自殺未遂を犯し、手首に包帯を巻かれた少年と一緒にフィリップは、広い部屋の中に連れて来られます。
 目の前には死体を入れて運ぶシートが敷かます。
 「袋の中に入ってみたい人は?」と女性教員に尋ねられ、手首に包帯の少年が手を挙げ、袋の中に入ります。
 すると部屋に入って来た男がフィリップに棍棒を握らせます。
 躊躇していると激しく叩かれ、その激痛に耐えかねたフィリップは自ら棍棒を握り、袋の中の少年を撲殺してしまいます。

 成人したフィリップは、組織の管理職として働いています。
 就職希望者たちを家畜とそうでない者を仕分けするゲームに立ち合うのが仕事。

 妻になったマリーとは不仲。

 普通の人々の獣姓が見えてしまうマリーと、自ら怪物となったフィリップの、ラブストーリーとして観ることも可能でしょう。

 こう書いてしまえばどうということもありませんが、暗い画面に重たい雰囲気、転がらない物語と、かなり観る者を戸惑わせる作りこみになっています。

 そしてもう一つ、人肉マークがついた食品ばかり出回っているわりに、システマティックに人肉用に人間を飼育しているシーンがありません。

 偶然殺された者、ゲームに敗れて殺された者、自殺者などを食肉としている風情ですが、そんなことでは足りるはずないと思うのですが。

 好悪がはっきりと割れる作品だと思います。
 私としては、わずか80分ですが、疲れる映画だと感じたしだいです。

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