ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

それだけ

2024年01月25日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 今日は空気が冷たいながらきれいに晴れ渡って風もなく、自宅に籠っているかぎり小春日和と呼んでも良い日となりました。

 こんな日に特別急ぎの仕事が無いのに出勤する気が湧くはずもなく、休暇を取りました。
 夕飯の買い物に出かけた以外、自宅でのんびり過ごしました。

 わが家はマンションの低層階ながら南西の角部屋に所在しているため、陽当たりは極めて良好です。
 ほとんど日向ぼっこをして一日を終えてしまいました。

 一人でぼんやり寛いでいると思考はあまり良い方に向かいません。

 じつは同じ部署で働く30代後半の女性が1月いっぱいで退職することになりました。
 がん治療のためです。
 今まで休み休みながら働いていたのですが、抗がん剤があまり効いてくれなかったそうです。
 残念です。

 
 日本人の平均寿命は80歳を超えているそうですが、私にはそうは思えません。
 毎年毎年、知り合いの誰かが現役世代で亡くなっているからです。
 その中には、多くの後輩も含まれます。

 病気で亡くなる人、事故死する人、自ら命を絶つ人、じつに様々な理由で彼ら彼女らとお別れしてきました。

 そのたびに、生き物の儚さと世の無常を感じます。

 ある後輩はもともと酒が弱かったためか宴会に出て眠ってしまい、可哀そうだから寝かせておいてやろうと放っていたところ、そのまま亡くなってしまいました。
 もし就業時間中であれば突然倒れたにせよ、救急車かドクターヘリを呼んでいただろうと思います。
 そうすればもしかしたら助かったかもしれません。
 宴席というのが禍いのもとでした。

 またある先輩は勤務時間中にクモ膜下出血で倒れ、救急車で運ばれて緊急手術となり、一命は取り留めましたが、わずか2年後に再び倒れ、そのまま逝ってしまいました。

 そうかと思うと100歳を超えてなお矍鑠としているご老人もいるやに聞き及びます。
 おぎゃあと生まれた時はみな同じ0歳児ですが、亡くなる年齢や原因は人それぞれです。

 そうした事どもに触れていると、嫌でも自分自身の健康や寿命について考えざるを得なくなります。

 私は今年の8月で55歳になりますが、おそらく定年は65歳まで延長になると思いますので、まだ11年働かなくてはなりません。
 そんなに働けるか心配です。
 そしてまた定年を迎えた後、どれくらい健康で生きられるのでしょう。
 老いそして死は、人類全員の永遠の悩みなのでしょうね。
 例え宗教に深く帰依したとしても、根源的な不安は無くならないと思います。

 近頃人の名前が出てこないことが多くなりました。
 ほら、あの人、あれに出てた人、なんてノーヒントです。
 若い頃はそういう世代の人たちを嘲笑っていましたが、私が笑われる側になってしまいました。
 順番、でしょうか。

 「万引き家族」という寄せ集めの偽家族を描いた映画で、偽家族を作り上げたゴッド・マザーというべき老婆が亡くなった時、偽の娘は「こういうのはほら、順番だから」なんて言いながら庭に埋めてしまうシーンが心に残ります。
 樹木希林が老婆の役を、安藤サクラが娘の役を、リリー・フランキーが安藤サクラの夫役を演じて、それぞれに個性的な演技が光る名作でした。
 名前は分かりませんが子役らも見事でした。

 偽家族は泥棒を生業にしているために逮捕され、庭から遺体が掘り起こされて日本中を震撼とさせることになるのですが、安藤サクラ演じる娘は取り調べに対し「落ちていた物を拾っただけ」と嘯きます。
 生活の糧となるべき盗品も、家族でさえ落ちていた物を拾っただけだと言うのです。

 冷たい真実の言葉と言えましょう。


 そう考えると私たち人間の命でさえ、拾っただけの物なのかもしれません。
 死にそうな目に会いながら助かった時、「命拾いした」なんて言いますし。

 それに何らかの教訓やオチを着けようとは思いません。
 ただ生まれ、生き、死ぬだけのこと。
 それだけのこと。


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