ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

怪物

2023年06月24日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 今日は映画館に足を運びました。
 観たのは是枝監督の「怪物」です。

 

 この映画は小学5年生の息子が教師から暴力をふるわれたと信じ、学校に抗議を繰り返す母親の視点、暴力をふるったとされた教師の視点、小学校5年生の息子の視点の3者の視点から描かれています。
 当然、3者の語る話は食い違い、誰かが、あるいは全員が嘘をついているか、事実誤認が起きていることが示されます。

 芥川龍之介の「藪の中」(黒沢明監督作品では「羅生門」)と似た構成になっています。

 

 観る者は混乱せざるを得ません。
 
 そして豚の脳を持った人間というフレーズが多用されます。

 少年の同級生である親友は同性愛の傾向があり、ガチガチの保守主義者である父親は、同性愛者である息子は豚の脳を持った化け物であり、治療が必要だと信じています。

 二人の少年は互いに魅かれあいます。
 少年愛の予感が濃厚に描かれます。

 ラストでは、二人の少年が明るい朝日のなか、自然豊かな森を笑顔で駆け回る姿が描かれます。
 台風の朝に姿を消した二人が生き残って互いを寿いでいるのか、あるいは土砂崩れなどで亡くなり、死後の世界ではしゃぎまわっているのか判然としません。

 この映画を観て、人間は全員怪物でありながら実は怪物ではない、というメッセージを感じました。
 いずれにしろ、重層的で、何とでも解釈できる描き方が魅力的です。


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