たまには詩でも 2021-07-11 07:13:28 | 詩 「跡」 子供の頃 なにげなくつかんだ葉の裏に 大きな芋虫がついていた 驚いて振り払うと 重たく空を飛び 壁にぶつかり つぶれた しばらくすると その場処に 影のような跡がついていた それから数年間 そこを通るたび 私の眼は その跡に吸い寄せられた 強い雨や風が何度もそれを洗い流そうとしたが 消えることはなかった 跡は何も訴えない 罪の意識を催促しない ただうっすらと黒く在るだけ その道を再び通ることがあれば 私の眼は それを探そうとするのだろうか 有機体ではない その跡を