北京体育学院(現大学)正門近くのベンチに私は座っている。
前日私は一通の手紙を受け取った。差出人は Miss Yuan 。見知らぬ人である。開封すると中国語で大体こう書かれていた。
「私は先日のパーティーに参加していた中国人女性です。一度お会いしてお話がしたいと思っています。つきましては、12月〇日〇時に北京体育学院・毛沢東像近くのベンチで待ち合わせしましょう。」
確かに先日、パーティーがあった。。参加者が多くて(外国人・中国人あわせて60人くらいはいただろう)、とても全員とは話もできず、顔も憶えていない。
顔は憶えていないが悪くない話である。翌朝早く目が覚めた私は、部屋の掃除をしたりした(こういうところはマメな男である)。
寮で隣に住んでいるTomとHiroが近くを通りがかったので手を挙げて挨拶をした。
しばらくすると、中国人女性が現れた(なかなかカワイイ)!そして「ニイハオ・・・」
このとき、突然先ほどのTomとHiroが草むらの陰から飛び出して来た。そして謝りながら「実は・・・」
そう、私は見事に引っかかったのだ。この二人にまんまとしてやられたのだ。しかしこの二人、やることが細かい。手紙は中国の女性に書いてもらい、別の女性(カワイイ娘を探したらしい)に当日待ち合わせ場所に来てもらうように頼んでいた。
今気が付いたことだが、Yuan という名前も「猿(中国語ではYuanと発音する)」から採ったのではないだろうか。猿のことを中国語では「猴子」というが「猴」には「いたずら」という意味もある。
Tomが写真の裏に書いてくれたメッセージも参考のために載せることにする。
1990年の出来事だ。