蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

CHANGE!

2018年05月16日 | 本の感想
CHANGE!(アレックス・ラミレス KADOKAWA)

プロ野球ベイスターズのラミレス監督が、自身の経歴や野球観、ベイスターズの展望について語ったエッセイ。

著者がベイスターズの監督になった時、(失礼ながら)前監督に続くネタ路線なのかと思いました。
しかし、1年目いきなりAクラス、2年目はクライマックスを突破して日本シリーズ、という成績もさることながら、素人目にも明らかな選手起用の妙を見せつけられると、頭を使う野球のレベルも相当に高いことが理解できました。

チーム指揮の前提としてデータを非常に重視し試合前にも時間をかけて当日のゲームプランを緻密に練る過程が、本書でも具体的に書かれていて、その手腕が決してフロックではないことがよくわかります。

それ以上に感心したのは、自身のキャリアに対する方針を明確に持ち、かつ、それを確実に実現していく意思の強さです。
来日してすぐに日本のプロ野球がメジャーのそれとは別物であることを理解し、キャッチャーの配球を詳細に分析しはじめたこと
ジャイアンツからベイスターズに移籍したのは、将来監督になれるとしたらベイスターズが有望だと思ったためで、選手時代から(将来ベイで監督になるための)布石を打っていたこと
などが、それを伺わせました。

クライマックスや日本シリーズでは投手起用のうまさが目立ったような気がしたのですが、本書によると、著者は(チーム指揮では)打撃重視とのこと。
そういえば、著者が監督になってから急激に打撃成績を上げたように見える桑原と宮崎のうち、桑原は(本書の中で)ベタ褒めなんだけど、宮崎に関する言及は少なめだったような。成績自体は宮崎の方が上なんだけどねえ。

(蛇足)本書ではプライベートにはほとんど触れておらず、現役時代の(見た目は)お茶目なラミちゃんのことを知らない人が今の姿を見れば、知的で冷徹な司令官にしか見えないかもしれません。
しかし、ちょっと前の日経の日曜版(2018.4.1)のインタビュウによると、前妻とは離婚して日本人と再婚し、その人との間にお子さんもいらっしゃるとか。
今はその幼い息子を溺愛していて、遠征に連れていくこともあるとのこと。
さらに、お孫さんもいらっしゃる(前妻の子の子ではなくて、昔つきあっていた女性の子の子)そうです。
職業としての野球とは違って、私生活は割とおおらかなところがまた、「ラミちゃん」の素敵なところでしょう。

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