蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

つまをめとらば

2021年10月02日 | 本の感想
つまをめとらば(青山文平 文春文庫)

江戸時代中後期を舞台にして、夫婦の(あるいは男女の)微妙な機微を描く短編集。

本作は直木賞受賞作。直木賞は、功なり名とげた人がご褒美としてもらう場合と、候補作となった作品が上質と評価される場合に分かれるような気がする。
本作は多分後者の方で、1つ1つの短編が実によくできていて感心した。
ユニークなテーマ、ひねりの効いた展開、なんとなく人生の教訓を得られたような読後感などが共通していて、技術力の高さが際立っているように思えた。

著者の作品を読むの初めて。日経の日曜日の文化面のコラム(なぜ、イギリスのトーストはカリカリなのか?を考察した内容)を読んで感心したのがきっかけ。
この文化面のコラムや夕刊のプロムナードをきっかけにして、それまでよく知らなかった著者の作品を読み始めることがけっこうある。日経の文化部の目利き力が高いということだろうか?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 転落の歴史に何を見るか | トップ | 食べることと出すこと »

コメントを投稿

本の感想」カテゴリの最新記事