蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

幼な子われらに生まれ

2018年05月04日 | 映画の感想
幼な子われらに生まれ

前妻とのあいだに娘がいる主人公(田中信=浅野忠信)は、娘二人を持つ奈苗(田中麗奈)と再婚する。奈苗が妊娠したことで奈苗の長女(小6)は情緒不安定になり、実父と会わせろといいだす。実父はDVの過去があったために信と奈苗はためらうが・・・という話。

ストーリーはありふれた内容なのですが、主人公が心理的に追い込まれていくプロセス、そしてついに感情を爆発させてしまう場面がとても見事です。

主人公は、職場では(家庭を優先しすぎたためか)リストラされそうな状況ですが、ここは何とか(酒などで紛らすことで)耐えられるのですが、あまりに反抗的な義理の娘(実の娘ならまた違うと思うのですが)、「どうしたらいいの?」というセリフがすぐ出てくる依存的な後妻に囲まれた家庭では、堪忍袋の緒が切れてしまうのです。

別に再婚であくても、家庭を持っている人なら(私もふくめ)似たような経験は必ずしているはずで、何とも言えあい息苦しさが画面から伝わってきて目が離せなくなる感じでした。
なんとなく浅野さんには似合わない役だと思うのですが、とてもうまく演じられていたと思いました。

ダメ男(奈苗の前夫)役の宮藤官九郎さんもよかったです。嫌らしいゲスな面と一転していいお父さんの側面を併せ持つアンビバレントな難しい役だと思うのですが、不自然さは感じられませんでした。

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