蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

柘榴坂の仇討

2014年09月30日 | 映画の感想
柘榴坂の仇討

だいぶ前に原作を読んだ時、「このネタでこれだけうまく書ける浅田さんは、やっぱりすごいなあ」と思った記憶があります。
そう思ったのは、終盤がアンチクライマックスな筋なのにもかかわらず、テーマがグーンと迫ってくるような読後感があったからです。

このため、本作を映画化すると聞いたとき、「映画化して盛り上げるのは、かなり難しいのでは?」と思いました。しかし、新聞・雑誌の映画評を見ると、かなり良い評価だったので、気になって(珍しく)映画館に行きました。

えー、その、最近ときどき見かける「映画として成立してないんじゃない?」みたいなモノではもちろんないのですが、「無難にまとめてみました」的な感じ(期待レベルが高すぎたせいでしょうか?)。
終盤のセリフは原作通りのところが多いのに、原作を読み終わった時のような、普遍的テーマがビビッとくる?みたいな感動がないのですよね。

桜田門外での襲撃シーンまでは、とてもいい感じ(特に主人公が井伊直弼に心服するシーンに説得力があったし、彦根藩の設えなんかも雰囲気があった)だったのですが、どうもその後、主人公も妻も悟りきったような表情で、葛藤がイマイチ感じられなかったような気がしました。(真後ろの席の人が桜田門外のシーンが終わったあたりからイビキをかきだして、イライラしたのも原因かもしれません)

なお、主人公に重要なヒントを与える司法省の役人役の藤さんが抜群にいいです。特に初めて登場するシーンのくたびれ方?がとてもよかったです。この人ほど韜晦が似合う役者を見たことがないなあ。

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