考えの整頓(佐藤雅彦 暮しの手帖社)
作家も売れっ子になってしまうと、(特に雑誌に連載しているような)エッセイは片手間仕事になってしまって、面白くなくなることが多い。逆に売れ始めの頃は、わずか数ページのエッセイでもごく短い小説のような内容の濃いものになっていることもある。
著者の佐藤さんは、発表作品数も多いうえに、大学の先生などの本業?の方も相当忙しそうだ。本作の初出は雑誌連載でもあるが、一つ一つのエッセイにテーマがあって、それぞれに興味深い。
印象的だったのは、
「「たくらみ」の共有」→企みが一体感を生む、というテーマの例として挙げられていた、挙手した時の手指の形で意思を伝達するという企みは、私自身に経験があって共感できた。
「物語を発言する力」→二つの三角形の並びかえで、誰もが同じ物語を想起してしまうことの不思議さ。後半のラーマン屋のストーリーにも関心した。
「この深さの付き合い」→モンブランの万年筆を使ってみたくなった。
「見えない紐」→縦書きの日本語の文章を一番下まで読んだ後、誰もが当然に次の左隣の行の一番上に読み継いでいることが不思議に思えてくる面白さがあった。
「ふるいの実験」→かなりありそうな条件なのに、いくつか重ねていくとすべてに当てはまる人は案外と少ない、という実験。平凡そうに見える人であっても全く同じ人なんていない、ということだろう。
「意味の切り替えスイッチ」→毎日の散歩に飽きてきたので、携帯音楽プレーヤーを聞きながら出かけた所、とても快適だった。しかしその原因は音楽の楽しさだけではなかった。「「差」という情報」→紹介されている「ファミリー・クリスマス」という掌編がとてもよかった。
作家も売れっ子になってしまうと、(特に雑誌に連載しているような)エッセイは片手間仕事になってしまって、面白くなくなることが多い。逆に売れ始めの頃は、わずか数ページのエッセイでもごく短い小説のような内容の濃いものになっていることもある。
著者の佐藤さんは、発表作品数も多いうえに、大学の先生などの本業?の方も相当忙しそうだ。本作の初出は雑誌連載でもあるが、一つ一つのエッセイにテーマがあって、それぞれに興味深い。
印象的だったのは、
「「たくらみ」の共有」→企みが一体感を生む、というテーマの例として挙げられていた、挙手した時の手指の形で意思を伝達するという企みは、私自身に経験があって共感できた。
「物語を発言する力」→二つの三角形の並びかえで、誰もが同じ物語を想起してしまうことの不思議さ。後半のラーマン屋のストーリーにも関心した。
「この深さの付き合い」→モンブランの万年筆を使ってみたくなった。
「見えない紐」→縦書きの日本語の文章を一番下まで読んだ後、誰もが当然に次の左隣の行の一番上に読み継いでいることが不思議に思えてくる面白さがあった。
「ふるいの実験」→かなりありそうな条件なのに、いくつか重ねていくとすべてに当てはまる人は案外と少ない、という実験。平凡そうに見える人であっても全く同じ人なんていない、ということだろう。
「意味の切り替えスイッチ」→毎日の散歩に飽きてきたので、携帯音楽プレーヤーを聞きながら出かけた所、とても快適だった。しかしその原因は音楽の楽しさだけではなかった。「「差」という情報」→紹介されている「ファミリー・クリスマス」という掌編がとてもよかった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます