蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

足軽小頭仁義

2022年08月21日 | 本の感想
足軽小頭仁義(井原忠政 双葉文庫)

シリーズ3巻。徳川家の本多平八郎忠勝のもと足軽小頭に出世した植田茂兵衛、各方面から徳川領に侵攻を始めた信玄軍に対して二俣城に立てこもるが、飲料水が不足して敗れる。信玄の陽動に乗って浜松城を出た家康軍は三方ヶ原で大敗する。浜松城へ戻る途中で茂兵衛は落ちのびる家康たちと出会うが・・・という話。

やはり戦国モノは、合戦場面が面白い。
2巻の姉川の場面もよかったが、本書では三方ヶ原の前哨戦である一言坂の大瀧崩れの陣の場面が特に面白い(三方ヶ原の方は負け戦で茂兵衛の活躍場面が少ない)。
一言坂の戦いは、歴史物語的にはとても有名だが、家康が天下を取らなければ、当然とっくに忘れられた史実だろう。三方ヶ原合戦でさえそうかもしれない。

茂兵衛は槍の達人という設定なのだが、シリーズの背景となっている時期はちょうど兵器としての鉄砲が台頭してくる時期。シリーズのタイトルをみても、この後茂兵衛は鉄砲を主な兵器とする部隊を率いる侍大将になるようで、これまでは槍の効力を説く場面が多かったが、本作以降は鉄砲が武器の主役となっていくようだ。

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