蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

秋期限定栗きんとん事件

2024年07月28日 | 本の感想
秋期限定栗きんとん事件(米澤穂信 創元推理文庫)

新聞部の瓜野は、発行した新聞がすぐにゴミ箱に捨てられるような状況に腹立ち、新聞部独自のネタにしようと連続放火事件を追う。瓜野は放火場所の関連性に気づき学校新聞に次の放火場所を予言し、それは見事に的中したかに思えた。
瓜野の話とは別に、小佐内と訣別?した小鳩と新聞部部長の堂島は犯人は小佐内ではないかという懸念を抱いて犯人探しをするが・・・という話。

ミステリになるのか?みたいな小さな事件だが、犯人さがしもサスペンスも十分で、ハラハラしながら読み進むことができる。本作ではミスディレクションが効果的で種明かしを楽しめる。

小悪魔どころかルシフェルのように悪賢い小佐内さんの魅力も十分にたんのうできる。小佐内さんなら自らの復讐を遂げるためには世界をも破滅させかねないぞ。
もう小佐内さんを多少なりとも制御できるのは小鳩くんしかいない。恐ろしいことだ。
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