俺たちは神じゃない(中山祐次郎 新潮文庫)
剣崎は都心の大病院に勤務する消化器系の外科医。手術の腕を買われて難手術に助っ人を頼まれたりする。腕利きの剣崎も一目置くのが同僚の松島で、2人は病院の近くのバーで夜ごと酒を飲み交わす仲だった・・・という話。
「泣くな研修医」シリーズは、主人公の素朴な感情(多分、それは著者自身の過去の心情に近いものではないかと思われる)の吐露が良かったのだが、本作の主人公は自分の能力に自信がありすぎて、やや傲慢な感じ。同僚や上司の医師の手術能力をこき下ろしているような場面が多い。
「泣くな研修医」シリーズと共通するのは、「ホントにこうだったら怖い」という場面がいくつもあること。
手術中に大出血を起こしてしまって飲み屋にいる同僚を呼び寄せて助けてもらう、とか、
(特に身寄りがない人の場合)手術を含む本格的な治療を行うか否かは、患者の年齢や経済状況を考慮して医師が一方的に決める(このエピソードがタイトルの由来)とか、
ロボット手術中にロボットの設定のちょっとしたミスで致命的な事故が起きる、とか・・・