蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

そら、そうよ

2016年03月15日 | 本の感想
そら、そうよ(岡田彰布 宝島文庫)

本書は、阪神の中心打者として活躍して、その後、阪神とオリックスで監督を勤めた著者の野球観を語ったエッセイ。

私は、現役時代の著者は「何も考えずに打つ(よく言えば天才型、悪く言えばテンネン系の)打者」だと思っていた。
しかし、監督になってからの記者へのコメントはなかなか頭脳的な感じだったし、野村(克也)監督さえうならせた鉄壁の投手リレー体制(阪神のJFK)を構築した手腕もあって、認識を改めさせられた。
阪神以外のファンからも「オカカン」なんて愛称で呼ばれて、その独特な野球の見方には注目する人が多かったように思う。

ただ、本書はそういった頭脳的な監督像とはやや距離があって、監督時代のぼやきを書き連ねた内容。
特にオリックス時代のそれは、良い成績を残せなかったせいかオリックス球団のフロントやスタッフに対して批判している部分が(少々見苦しいくらい)目立つ。
いわゆる、直言タイプ、毒舌タイプの人と見受けられ、選手や球団スタッフはお付き合いが大変だったろうなあ、と想像される。

監督の采配で勝てる試合なんて年間数試合もあれがいい方、として、開幕前に大勢は決してしまっているので編成構想や秋のキャンプなどで生え抜きを育成するのが肝要、と主張している。
このあたりは(私の思い込みでは「オレの手腕で勝って見せる」的な人だと思っていたので)かなり意外な感じだった。

オリックスでは、フロントが1軍と2軍の選手の入替まで口出ししてきた、という主旨の部分があった。なんでもオーナーまで個人名を挙げて「一軍に上げたらどうか」などと直接言ってきたそうである。
楽天のオーナーだけじゃなかったんだ。っていうかどの球団でも日常のことだったりして。よく知らないけど、楽天の人はともかくオリックスのオーナーはそういうこととは縁遠いタイプだと思ってたんだけどなあ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする