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気軽に我流でワインを楽しんでみようかと。

第70回 正倉院展

2018-10-29 17:44:31 | Museum

 『正倉院展』  於:奈良国立博物館

   

   

「秋の奈良の風物詩ともいわれる正倉院展は、今年70回の節目を迎えます。今年は北倉(ほくそう)10件、中倉(ちゅうそう)16件、南倉(なんそう)27件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の、合わせて56件の宝物が出陳されます。そのうちの10件は初出陳を含みます。
今年は聖武天皇ゆかりの平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)をはじめ、沈香木画箱(じんこうもくがのはこ)、玳瑁螺鈿八角箱(たいまいらでんはっかくのはこ)、犀角如意(さいかくのにょい)など、珍貴な素材を惜しげもなく使い、技術の粋を尽くした華麗な工芸品が目を楽しませてくれることでしょう。
一方、今も身近な素材である麻は、古来様々な用途に用いられ、麻布は税として地方から都に納められました。今年は平成25年度から27年度にかけ、宮内庁正倉院事務所によって行われた特別調査を踏まえ、麻を用いた様々な宝物が出陳されます。麻と人間の織りなす文化史に思いを馳(は)せてみてください。
この他、正倉院宝物と同時代に、朝鮮半島に栄えた王国・新羅(しらぎ)に関わる宝物も多数出陳されます。唐との交流だけではない、奈良時代の多様な国際関係に、目を向けていただく機会となれば幸いです。
近年の様々な成果を反映した平成最後の正倉院展を、宝物を伝えた奈良の地でお楽しみください。」

毎年楽しみに訪れる正倉院展。 今年は70回ということもあってか、随分目玉の多い展示のようにも思い期待して出かける。

残念ながら目玉は下記の4点で、他に2、3点興味深いものが有ったが、少しヴォリュームに欠ける展示だった。

最近は、夕方近くのチケットを安く出されるので、2時ぐらいを狙って行ってみたら、待ち時間10分で、割と押し合い無く鑑賞できた。

残念ながらマナーの無い人が散見され、気分を壊されたりも有ったのが、残念。 学芸員さんなのかアルバイトさんなのか、たくさん係りの方がいらっしゃるのだから、少し誘導されればいいのに… 

目玉もさほど並ぶことなく鑑賞できたので、まあ良しとしよう。

    玳瑁螺鈿八角箱 

「八角形、印籠蓋造(いんろうぶたづくり)、木製の箱。表面全体に玳瑁(たいまい)を貼り、螺鈿(らでん)で文様(もんよう)を表す。
蓋表(ふたおもて)は中央に大振りな唐花(からはな)を据え、連珠文帯(れんじゅもんたい)で8区に区切って、各間に雌雄の鴛鴦(おしどり)を交互に表している。蓋側面は花文を中央に配し、一対(いっつい)の鴛鴦を表す区画と、飛雲上に一対の飛鳥を表す区画とを交互に配している。身側面は形状を違(たが)える大振りな唐花文が交互に配置されている。
花心には赤い色を地に塗った上に琥碧(こはく)と玳瑁を被せるなど、細部にまで珍貴な素材をふんだんに使用した一際(ひときわ)豪華な献物箱(けんもつばこ)で、壮麗な献納品を納めたものと想像される。また文様のパターンを交互に変えるなど、鑑賞者を飽きさせない工夫が凝らされている点も注目される。」

    北倉 平螺鈿背八角鏡 

「『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』に記載された、聖武天皇ご遺愛の鏡。外形が八弁をかたどる八花鏡(はっかきょう)とよばれる形式をとる。鏡背面の装飾は、ヤコウガイに精緻な毛彫(けぼり)を施した螺鈿(らでん)を主とし、花弁や花心の赤い部分には彩色(さいしき)した上に琥碧(こはく)を伏せ、間地にはトルコ石の細片をちりばめる。鏡面は白銅(はくどう)製、鋳造(ちゅうぞう)で、蛍光エックス線を用いた調査によれば、本品の金属成分は中国鏡の成分比率と近いことから、唐からもたらされたものと考えられる。
本品は鎌倉時代の寛喜2年(1230)の盗難にあった際に大きく破損したが、明治期に修理が行われた。」

    中倉 沈香木画箱

「長方形、印籠蓋造(いんろうぶたづくり)、床脚(しょうきゃく)付の箱。表面に沈香(じんこう)とシタンの薄板を貼り、沈香の部分には金泥(きんでい)で文様(もんよう)を描いている。中央の区画には、小窓を開けて水晶製の薄板を嵌(は)め、地には動物や花卉(かき)などの文様を色彩豊かに表している。窓の周囲は矢羽根文(やばねもん)や甃文(いしだたみもん)の木画(もくが)で飾り、箱の稜角(りょうかく)にも木画をあしらって、細部まで豪華に装飾している。床脚には葡萄唐草(ぶどうからくさ)に鳥や獅子(しし)をあしらった透彫(すかしぼり)の象牙が嵌められており、足下から一際(ひときわ)壮麗に飾られているのが特徴的である。
沈香、シタンといった豪華な素材を用い、彩絵、木画、牙彫(げちょう)など各種の技法を駆使して隙間なく装飾されており、献物箱(けんもつばこ)中屈指の優品として高名である。」

これが一番見たかった。 細かな波のような模様が木目と相まって、面白い。

    磁鼓(三彩のつづみの胴)

「いわゆる奈良三彩(ならさんさい)の技法で焼かれた鼓(つづみ)の胴。両端に革を張って打ち鳴らされる。
唐楽(とうがく)で使用された細腰皷(さいようこ)とみられ、口縁と長さの比率からそのうちの二鼓(にのつづみ)と考えられる。鼓胴(こどう)は木製が一般的であるが、極稀(ごくまれ)に陶製のものがあり、国内では京都府木津川市の馬場南(ばばみなみ)遺跡より須恵器(すえき)製の鼓胴が出土している。中国、朝鮮半島にも僅(わず)かに例があり、本品も中国製とする説が以前にはあったが、我が国特有の右回転の轆轤(ろくろ)で成形されていることから、国産品と考えられる。
奈良三彩としては精良で、割れた部分を修補しているものの完形を備えており、類例の少ない陶製の鼓胴として非常に貴重である。」

思っていたよりかなり大きくてびっくり。

 佐波理が何の合金だったか思い出せず、調べてみる。

「銅合金の一。鉛・錫 (すず) 、ときに少量の銀を加えたもの。また、それで作った仏具・皿・鉢など。茶の湯での建水・花入れなどに転用される。さわり。
[補説]「さふら(鈔羅)」の変化した語かといわれる。「砂張」「佐波理」などとも書く。」

 

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