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ブダペスト国立工芸美術館名品展 ~ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ~

2021-11-16 20:37:10 | Museum

2021.11.16. Tue.

ブダペスト国立工芸美術館名品展 ~ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ~』 16:30- 於:「パナソニック汐留美術館」 16:30- 於:「パナソニック汐留美術館」

 

  

 

1.欧米における工芸のジャポニスムおよびアール・ヌーヴォーの展開を、ブダペスト国立工芸美術館のコレクションでたどる

19世紀後半のヨーロッパで、日本の美術や工芸の影響を受けた作品が様々な分野で作り出されるようになった現象のジャポニスムは、やがてアール・ヌーヴォーの源泉ともなります。工芸においても、イメージの模倣から始まり日本の装飾技法の研究を通じて、その魅力の根底にある自然へのまなざしや素材自体の効果を学び、探求が行われます。本展ではその様相を多数の優れた作例によってご紹介いたします。

2.ミントン社、エミール・ガレ、ドーム兄弟、ルイス・カンフォート・ティファニー、ビゴ社、ベルリン王立磁器製作所などの名品

ブダペスト国立工芸美術館の陶磁器ガラス部門から、国際的にも名高いアール・ヌーヴォーのコレクションをお目にかけます。これらには、19世紀末から20世紀初頭、作家や工房からの直接購入や、1900年のパリ万博での購入など、同時代の名品として集められてきた作品が多くあります。本展には収蔵以来の初公開作品や、国内外の展覧会から出品依頼の絶えないスター作品が選ばれて展示されます。

3.ハンガリーの名窯ジョルナイ陶磁器製造所の名品が多数出品

ハンガリアン・アール・ヌーヴォーにおいて大変重要な工房のひとつであるジョルナイ陶磁器製造所が制作した48件(56点)の作品が出品されます。ジョルナイ独自のエオシン彩が施された作品だけでなく、ファイアンスフィーヌのティーセット、結晶釉けっしょうゆうの壺、炻器せっきによる水差しなど多彩な素材と装飾で幅広くジョルナイの魅力を感じていただけます。

 ブダペスト国立工芸美術館は、ロンドン、ウィーン、ベルリンにおける工芸美術館の設立に続き、1872年に創設され、設立以来、古今東西の工芸品の収集に当たり、当初、ハンガリー国立博物館から引き継いだ世界の古美術品からなる「歴史コレクション」と、万国博覧会における購入品(1873年のウィーン万博、1878年と1889年のパリ万博)及び有名企業(ヘレンド製陶所、ジョルナイ陶磁器製造所)からの寄贈品からなる「同時代のコレクション」を基としていました。1896年、ハンガリー建国千年祭の最終行事として、オーストリア・ハンガリー二重帝国皇帝フランツ・ヨーゼフを迎え、エデン・レヒネルの設計による工芸美術館の新しい建物が開館しました。初代館長ジェルジュ・ラート(1828-1905)と第二代館長イエネー・ラディシッチ(1856-1917)が築いた国内外の幅広い人脈を通して、工芸美術館は第一級の工芸品を収集することとなり、美術館のアール・ヌーヴォー・コレクションの基礎は、主に1900年にパリで開かれた万国博覧会や館内で毎年開催されていたクリスマス展覧会で買い上げた作品によって築かれたのです。20世紀後半からは、ハンガリーの現代作家の作品を中心として収集が行われています。現在、工芸美術館は大規模な改築工事中で、リニューアル後、中央ヨーロッパで最も刺激的で魅力に溢れた美術館として再び開館予定です。

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曜変天目

2019-02-18 00:17:34 | Museum

「今春、MIHO MUSEUM、静嘉堂文庫美術館、奈良国立博物館で、世界で三碗しかない国宝「曜変天目」が同時期に展示されます。瑠璃色の曜変と呼ばれる斑文は、まるで宇宙に浮かぶ星のように美しい輝きを放ち、優麗な華やかさを誇っています。国宝に指定された三碗全てが、今年の春、滋賀、東京、奈良で同時期に展示されます。」

https://www.asahi.com/articles/ASM214PQBM21PLZU003.html こちらに詳しく。

東京は無理としても、奈良と滋賀は行かなきゃです。

 「藤田美術館展」 於:『奈良国立博物館

「大阪市の中心部にある藤田美術館は、国宝9件、重要文化財53件を含む世界屈指の日本・東洋美術のコレクションを所蔵する美術館です。明治期に活躍した実業家・藤田傳三郎(ふじたでんざぶろう)(1841~1912)とその息子平太郎、徳次郎の二代3人によって収集された美術工芸品を公開するため、昭和29年(1954)に開館しました。
 約2千点におよぶコレクションは、茶道具、水墨画、墨蹟、能装束、絵巻、仏像、仏画、経典、仏教工芸、考古資料など多岐にわたり、その中には奈良にゆかりのある仏教美術が数多く含まれています。このたびの展覧会は、2022年春に予定されるリニューアルオープンの準備に向けて現在休館している藤田美術館の名品を奈良国立博物館新館の全展示室を使用して紹介するかつてない規模の展示となります。
 世界に三碗しか存在しないと言われる国宝「曜変天目茶碗」をはじめ「玄奘三蔵絵」「両部大経感得図」「仏功徳蒔絵経箱」などの仏教美術を中心に、館外初公開を含む多彩なコレクションを紹介します。
 膨大な私財を投じて、近代以降散逸の危機にあった文化財を収集し、国宝の殿堂と呼ぶにふさわしいコレクションを築いた藤田傳三郎らの功績にも光を当てていきます。」

 「大徳寺龍光院 国宝 曜変天目と破草鞋(はそうあい)」 於:『MIHO MUSEUM

「京都紫野の禅刹・大徳寺の塔頭である龍光院は、武将の黒田長政が父・黒田官兵衛の菩提を弔うため、江月宗玩和尚(1574〜1643)を開祖として慶長十一年(1606)に建立されました。大坂堺の豪商で茶人でもある天王寺屋・津田宗及の次男として生まれた江月は、高い教養と優れた禅風で知られ、当時の龍光院は、高松宮好仁親王、小堀遠州、松花堂昭乗ら一流の文化人が集う寛永文化の発信地でした。
また天王寺屋伝来の名宝は、江月によって大坂夏の陣の難をくぐり抜け、現在その多くが龍光院に伝えられています。
このたび龍光院の全面協力を得て、龍光院四百年の全容を一挙公開いたします。国宝の曜変天目茶碗や密庵墨蹟、柿栗図(伝牧谿筆)、油滴天目などの重要文化財をはじめとする、天王寺屋伝来の名宝、寛永文化の美を伝える江月所用の品や江月に帰依した人々ゆかりの文物、歴代寺伝の什物を展覧するとともに、江月以来脈々と受け継がれ、今に生きる禅の法統、龍光院の現在も紹介いたします。」

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第70回 正倉院展

2018-10-29 17:44:31 | Museum

 『正倉院展』  於:奈良国立博物館

   

   

「秋の奈良の風物詩ともいわれる正倉院展は、今年70回の節目を迎えます。今年は北倉(ほくそう)10件、中倉(ちゅうそう)16件、南倉(なんそう)27件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の、合わせて56件の宝物が出陳されます。そのうちの10件は初出陳を含みます。
今年は聖武天皇ゆかりの平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)をはじめ、沈香木画箱(じんこうもくがのはこ)、玳瑁螺鈿八角箱(たいまいらでんはっかくのはこ)、犀角如意(さいかくのにょい)など、珍貴な素材を惜しげもなく使い、技術の粋を尽くした華麗な工芸品が目を楽しませてくれることでしょう。
一方、今も身近な素材である麻は、古来様々な用途に用いられ、麻布は税として地方から都に納められました。今年は平成25年度から27年度にかけ、宮内庁正倉院事務所によって行われた特別調査を踏まえ、麻を用いた様々な宝物が出陳されます。麻と人間の織りなす文化史に思いを馳(は)せてみてください。
この他、正倉院宝物と同時代に、朝鮮半島に栄えた王国・新羅(しらぎ)に関わる宝物も多数出陳されます。唐との交流だけではない、奈良時代の多様な国際関係に、目を向けていただく機会となれば幸いです。
近年の様々な成果を反映した平成最後の正倉院展を、宝物を伝えた奈良の地でお楽しみください。」

毎年楽しみに訪れる正倉院展。 今年は70回ということもあってか、随分目玉の多い展示のようにも思い期待して出かける。

残念ながら目玉は下記の4点で、他に2、3点興味深いものが有ったが、少しヴォリュームに欠ける展示だった。

最近は、夕方近くのチケットを安く出されるので、2時ぐらいを狙って行ってみたら、待ち時間10分で、割と押し合い無く鑑賞できた。

残念ながらマナーの無い人が散見され、気分を壊されたりも有ったのが、残念。 学芸員さんなのかアルバイトさんなのか、たくさん係りの方がいらっしゃるのだから、少し誘導されればいいのに… 

目玉もさほど並ぶことなく鑑賞できたので、まあ良しとしよう。

    玳瑁螺鈿八角箱 

「八角形、印籠蓋造(いんろうぶたづくり)、木製の箱。表面全体に玳瑁(たいまい)を貼り、螺鈿(らでん)で文様(もんよう)を表す。
蓋表(ふたおもて)は中央に大振りな唐花(からはな)を据え、連珠文帯(れんじゅもんたい)で8区に区切って、各間に雌雄の鴛鴦(おしどり)を交互に表している。蓋側面は花文を中央に配し、一対(いっつい)の鴛鴦を表す区画と、飛雲上に一対の飛鳥を表す区画とを交互に配している。身側面は形状を違(たが)える大振りな唐花文が交互に配置されている。
花心には赤い色を地に塗った上に琥碧(こはく)と玳瑁を被せるなど、細部にまで珍貴な素材をふんだんに使用した一際(ひときわ)豪華な献物箱(けんもつばこ)で、壮麗な献納品を納めたものと想像される。また文様のパターンを交互に変えるなど、鑑賞者を飽きさせない工夫が凝らされている点も注目される。」

    北倉 平螺鈿背八角鏡 

「『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』に記載された、聖武天皇ご遺愛の鏡。外形が八弁をかたどる八花鏡(はっかきょう)とよばれる形式をとる。鏡背面の装飾は、ヤコウガイに精緻な毛彫(けぼり)を施した螺鈿(らでん)を主とし、花弁や花心の赤い部分には彩色(さいしき)した上に琥碧(こはく)を伏せ、間地にはトルコ石の細片をちりばめる。鏡面は白銅(はくどう)製、鋳造(ちゅうぞう)で、蛍光エックス線を用いた調査によれば、本品の金属成分は中国鏡の成分比率と近いことから、唐からもたらされたものと考えられる。
本品は鎌倉時代の寛喜2年(1230)の盗難にあった際に大きく破損したが、明治期に修理が行われた。」

    中倉 沈香木画箱

「長方形、印籠蓋造(いんろうぶたづくり)、床脚(しょうきゃく)付の箱。表面に沈香(じんこう)とシタンの薄板を貼り、沈香の部分には金泥(きんでい)で文様(もんよう)を描いている。中央の区画には、小窓を開けて水晶製の薄板を嵌(は)め、地には動物や花卉(かき)などの文様を色彩豊かに表している。窓の周囲は矢羽根文(やばねもん)や甃文(いしだたみもん)の木画(もくが)で飾り、箱の稜角(りょうかく)にも木画をあしらって、細部まで豪華に装飾している。床脚には葡萄唐草(ぶどうからくさ)に鳥や獅子(しし)をあしらった透彫(すかしぼり)の象牙が嵌められており、足下から一際(ひときわ)壮麗に飾られているのが特徴的である。
沈香、シタンといった豪華な素材を用い、彩絵、木画、牙彫(げちょう)など各種の技法を駆使して隙間なく装飾されており、献物箱(けんもつばこ)中屈指の優品として高名である。」

これが一番見たかった。 細かな波のような模様が木目と相まって、面白い。

    磁鼓(三彩のつづみの胴)

「いわゆる奈良三彩(ならさんさい)の技法で焼かれた鼓(つづみ)の胴。両端に革を張って打ち鳴らされる。
唐楽(とうがく)で使用された細腰皷(さいようこ)とみられ、口縁と長さの比率からそのうちの二鼓(にのつづみ)と考えられる。鼓胴(こどう)は木製が一般的であるが、極稀(ごくまれ)に陶製のものがあり、国内では京都府木津川市の馬場南(ばばみなみ)遺跡より須恵器(すえき)製の鼓胴が出土している。中国、朝鮮半島にも僅(わず)かに例があり、本品も中国製とする説が以前にはあったが、我が国特有の右回転の轆轤(ろくろ)で成形されていることから、国産品と考えられる。
奈良三彩としては精良で、割れた部分を修補しているものの完形を備えており、類例の少ない陶製の鼓胴として非常に貴重である。」

思っていたよりかなり大きくてびっくり。

 佐波理が何の合金だったか思い出せず、調べてみる。

「銅合金の一。鉛・錫 (すず) 、ときに少量の銀を加えたもの。また、それで作った仏具・皿・鉢など。茶の湯での建水・花入れなどに転用される。さわり。
[補説]「さふら(鈔羅)」の変化した語かといわれる。「砂張」「佐波理」などとも書く。」

 

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糸のみほとけ

2018-07-26 19:01:41 | Museum

 「糸のみほとけ―国宝 綴織當麻曼荼羅と繡仏―」 於:奈良国立博物館

   

「日本では刺繡(ししゅう)や綴織(つづれおり)など「糸」で表された仏の像が数多く作られました。とりわけ、古代では大寺院の一堂の本尊とされる花形的存在でした。綴織當麻曼荼羅(つづれおりたいままんだら)(国宝、奈良・當麻寺蔵)や刺繡釈迦如来説法図(ししゅうしゃかにょらいせっぽうず)(国宝、奈良国立博物館蔵)は、その隆盛のさまを伝える至宝です。また、糸を縫い、織る行為は故人の追善につながり、聖徳太子が往生した世界を刺繡で表した天寿国繡帳(てんじゅこくしゅうちょう)(国宝、奈良・中宮寺蔵)が生み出されました。鎌倉時代以降、刺繡の仏は再び隆盛を迎えますが、その背景には綴織當麻曼荼羅を織ったとされる中将姫に対する信仰がありました。極楽往生を願う人々は中将姫(ちゅうじょうひめ)に自身を重ね刺繡によって阿弥陀三尊来迎図(あみださんぞんらいごうず)や種子阿弥陀三尊図(しゅじあみださんぞんず)を作成しました。
 この展覧会は綴織當麻曼荼羅の修理完成を記念し、綴織と刺繡による仏の像を一堂に集める特別展です。天寿国繡帳、綴織當麻曼荼羅、刺繡釈迦如来説法図の国宝3点が一堂に会する空前の企画です。本展を通して絵画とも違う「糸」の仏の世界の魅力をご鑑賞いただければ幸いです。」

時代ごとに展示されており、実に見やすい展示でした。

圧巻の奈良時代の国宝3点は第1室に。 この部屋だけで大満足の展示です。

    国宝 天寿国繡帳[てんじゅこくしゅうちょう]

聖徳太子を偲び、橘大郎女の発願で縫われた国宝。 技巧が超絶というものではないが、意匠がとても興味深い。

400の文字を亀の甲羅に4文字づつ描き、100匹の亀が縫われていたらしい。 (現存するのは4つだとか。)

    

   

   

    兎? アヌビスにも見える…

「伝世品としては最古の刺繍である天寿国繍帳は、飛鳥時代に制作された旧繍帳と、鎌倉時代にこれを模造した新繍帳の遺(のこ)りのよい部分を、江戸時代に貼り混ぜて1面の繍帳にしたものです。意外なことに、鮮やかな色彩のほうが旧繍帳なのです。この繍帳には亀の甲羅に4文字の刺繍銘があり、当初は100匹の亀が刺繍されていたとされ、その全文すなわち400文字が『上宮聖徳法王定説(じょうぐうしょうとくほうおうていせつ)』に記されています。それによると、推古30年(622)に聖徳太子が亡くなられ、妃の橘大郎女(たちばなのおおいらつめ)が、推古天皇に願い出て、太子が往生した天寿国の有様を刺繍によって表したものです。下絵を描いたのは渡来系の人物で、刺繍は宮中に仕えた采女(うねめ)達が行ないました。図様は撚(よ)りの強い糸を用いて輪郭線で縁取り、内部を緻密に繍(ぬ)い表す技法で、飛鳥時代の刺繍の特色をよく表しています。」  by 東京国立博物館

    国宝 綴織當麻曼荼羅[つづれおりたいままんだら]

   

川島織物の鮮やかな復刻が素晴らしく、当時を想像しながら鑑賞できた。

    国宝 刺繡釈迦如来説法図[ししゅうしゃかにょらいせっぽうず]

こちらの刺繍の技巧は唸るものが有った。

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フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年

2018-07-16 23:37:25 | Museum

2018.7.16. Mon.

 『フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年 / 300 ans de création à Sèvres: Porcelaine de la Cour de France」 』 於「東洋陶磁美術館」 

香雪美術館で、今日が最終日と分かり、慌てて移動。

昔の東洋陶磁博物館と違って、展示スペースも広く、見ごたえのある展示でした。 欧米式で撮影もOKなのが嬉しい。

ビデオによる薪窯の焼成の放映もされていて、とても興味深かった。

   

    

「今回の展示では、フランス宮廷に育まれ、時代とともに変化し続けてきたセーヴル磁器製作所の300年に及ぶ活動をご紹介いたします。
 セーヴル製作所は、ヨーロッパで磁器への憧れが大いに高まった18世紀、1740年にパリ東端のヴァンセンヌに生まれた軟質磁器工房をその活動の始まりとします。強大な権力を誇る国王ルイ15世の庇護を受けて、パリとヴェルサイユの間に位置するセーヴルへと移転した製作所は、王立の磁器製作所となり1769年には硬質磁器の開発に成功します。宮廷に愛された画家や彫刻家が招かれて知的で洗練された作品を生み出し、ルイ16世とその王妃マリー・アントワネットに納めたほか、外交上の贈り物としても用いられ、ロシア皇帝エカテリーナ2世をはじめとした王侯貴族を魅了しました。フランス革命の混乱を経てナポレオンが台頭すると、セーヴルは新古典主義の作品を製作し、19世紀半ばからの万国博覧会の時代にはテーブル・ウェアという範疇にとどまらない作品へ展開しました。日本との交流では、20世紀初頭に外国人作家として初めて、沼田一雅が型の製作に携わりました。こうした芸術家とのコラボレーションは、ピエール・スーラージュや草間彌生などと、伝統的なテーブル・ウェアの製作と併せて現代も精力的に行われています。
 今回、製作所の300年の歴史を物語る、セーヴル陶磁都市の所蔵作品約130件をご紹介します。変化しながらも常に優雅で洗練された作品を製作し続けてきた、セーヴル磁器の魅力を感じていただければ幸いです。」

   

   

   

感動の作品でした。 セーブル・ブルーが美しく、ペルシャの影響を受けた意匠も素晴らしい。

常設展示なのでしょうか、いくつかのお部屋は東洋陶磁博物館所蔵の館らしい展示物でした。

    国宝の油滴天目まで観れて、感激。

   

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「珠玉の村山コレクション ~愛し、守り、伝えた~」 Ⅲ 茶の道にみちびかれ

2018-07-16 22:09:29 | Museum

2018.7.16. Mon.

 『「珠玉の村山コレクション ~愛し、守り、伝えた~」  Ⅲ 茶の道にみちびかれ』  於「中之島香雪美術館」  

気になっていた、中の島にオープンした香雪美術館に、やっと行けました。

   

「中之島香雪美術館の開館記念展「珠玉の村山コレクション~愛し、守り、伝えた~」は、朝日新聞社の創業者・村山龍平(1850~1933)が収集した美術品の中から、約300点を選りすぐり、1年間5期にわたって紹介しています。館所蔵品は重要文化財19点、重要美術品23点を数え、時代や作家を代表する名品も多くあります。これらの所蔵品に、村山家から寄託された美術品を加えた「村山コレクション」は、これまでまとまった形で紹介されたことはなく、今回が初めて全容を公開する機会となります。
オープンニングを飾った第Ⅰ期展「美術を愛して」、第Ⅱ期展「美しき金に心をよせて」に続き、第Ⅲ期展「茶の道にみちびかれ」を、7月7日(土)から開催します。村山が収集し茶会で用いた茶道具約80点を紹介します。

明治35年(1902)に大阪の自邸で開いた第3回十八会、大正11年(1922)に京都鷹峯の光悦寺で開催された光悦会、同13年に神戸御影の自邸で開いた玄庵残(なごり)茶会について、当時の記録をもとに道具の組み合わせを紹介します。さらに、大正時代に刊行された名物茶道具カタログである『大正名器鑑』に収録された、村山秘蔵の茶入と茶碗を一堂に展示します。

室町時代後期(16世紀)の記録に登場し、400年以上前からその存在が確認できる唐物「肩衝茶入 銘 薬師院」(南宋~元時代、13~14世紀)のような名物茶器や、京都の桂川で漁師が使っていた魚籠(びく)を千利休が花入に見立てたとされる「桂籠花入」(桃山時代、16世紀)のような、茶器にまつわるエピソードを伴うものなど、所蔵の茶道具を代表する作品を紹介します。また、琳派風の懐石道具を得意とした尾形乾山が制作した「色絵立葵文透鉢」(江戸時代、18世紀)のような、時代の古さを感じさせない卓越したデザインによる作品も出品します。」

    桂籠、想像していたよりかなり大きい。

    誰にも好まれる乾山ですね。 私も大好き。

茶会記に合わせての展示がとても見やすく、数寄者ならではの型にはまらない道具組が新鮮で楽しくもありました。 連れもツボにはまったようで、いつになく真剣に鑑賞していました。

懐石の献立がとても気になるところでした。 あの「青磁扇文向付」のには何をどのように盛ったか、興味深々。

道入の耳付水指「大名」の意匠もユニークだし、口が狭いとはいえ平たい水指を11月に使うのは、凡人には出来ない… 数寄者の世界は楽しいな。

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東京で開催中の展覧会

2018-03-09 14:44:25 | Museum

2018.3.

1月、2月、3月と今年は東京ステイがてんこ盛り。 折角なので、行きたいところをピック・アップ。

<美術館> 

 『寛永の雅』  at 「サントリー美術館

17世紀初め、江戸幕府が政権を確立すると戦乱の世は終わりを告げ、泰平の時代がおとずれました。時を同じくして文化面でも新たな潮流が生まれます。それが寛永年間(1624~44)を中心に開花した「寛永文化」です。寛永文化は「きれい」という言葉に象徴される瀟洒な造形を特徴とし、当時の古典復興の気運と相まって、江戸の世に「雅」な世界を出現させることとなりました。寛永文化の中心は京都にあり、なかでも学問・諸芸に造詣の深かった後水尾院(ごみずのおいん)は、長く絶えていた儀礼や古典文芸の復興に心を尽くしたことで知られています。特に和歌は朝廷を象徴する芸能に位置づけられ、その洗練された優美さを追求する姿勢は、和歌のみならず、多くの美術作品にまで影響を及ぼすこととなりました。一方、幕府はそうした公家衆の動向に注目し、時には意見を異としながらも、公武間の文化的な交流は盛んに行われました。京都のサロンを主な舞台としたその交流は、さまざまな階層の人々を巻き込み、公家、武家、町衆といった垣根を越えて、新しい時代にふさわしい美意識を醸成し、共有されていったのです。本展ではこのような近世初期の「雅」を担った宮廷文化と、それと軌を一にして生まれた新時代の美意識が、小堀遠州(こぼりえんしゅう)、野々村仁清(ののむらにんせい)、狩野探幽(かのうたんゆう)などの芸術に結実していく様子をご覧いただきます。

 『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』  at 「新国立美術館

スイスの大実業家エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890-1956年)は、生涯を通じ絵画収集に情熱を注いだ傑出したコレクターとして知られています。主に17世紀のオランダ絵画から20世紀の近代絵画に至る作品、中でも印象派・ポスト印象派の作品は傑作中の傑作が揃い、そのコレクションの質の高さゆえ世界中の美術ファンから注目されています。 この度、ビュールレ・コレクションの全ての作品がチューリヒ美術館に移管されることになり、コレクションの全体像を紹介する最後の機会として、日本での展覧会が実現することとなりました。
本展では、近代美術の精華といえる作品64点を展示し、その半数は日本初公開です。絵画史上、最も有名な少女像ともいわれる《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》、スイス国外に初めて貸し出されることになった4メートルを超えるモネ晩年の睡蓮の大作など、極め付きの名品で構成されるこの幻のコレクションの魅力のすべてを、多くの方々にご堪能いただきたいと思います。

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 『桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!― 』  at 「山種美術館」  東京都渋谷区広尾3-12-36

日本の春を象徴する桜。このたび、山種コレクションの中から、桜が描かれた作品を厳選し、一堂に公開する展覧会を6年ぶりに開催いたします。
爛漫と咲き誇り、やがて散りゆく桜の美しさは、古くから詩歌に詠まれ、調度や衣装などの文様に表されるとともに、絵画にも盛んに描かれてきました。桜を愛でる人々を描いた物語絵や風俗画から、奈良の吉野など、桜の名所を舞台とした名所絵や風景画、そして花が主役となる花鳥画や花卉画(かきが)まで、さまざまなジャンルで絵画化され、時代とともに多彩な表現が展開しています。
近代・現代の日本画においても、桜は重要な題材であり続けました。橋本雅邦の《児島高徳》や小林古径の《清姫》「入相桜」、江戸時代の風俗画に範をとった上村松園の《桜可里》などは、歴史や物語の一場面で桜を印象的に表しています。また、京都の桜を描いた奥村土牛の《醍醐》や東山魁夷の《春静》は、桜のある風景というだけでなく、桜に対する画家それぞれの思いまでもが映し出されています。さらに、夜桜をクローズアップして幻想的に描き出した速水御舟《夜桜》をはじめ、桜そのものを主題とした作品では、画家の個性や美意識が反映され、日本画の表現の幅広さをみてとることができます。
2018年春、山種美術館は名だたる日本画家たちによる桜の絵画で満開となります。会場でお花見を楽しみながら、季節を満喫していただければ幸いです。

 『香合百花繚乱』  at 「根津美術館」  ~3/31  10:-17: 月休

「香合」は、「香」を入れる蓋付きの容器のこと。茶の湯の道具のなかでも特に人気の高いものです。
初期の香合は唐物漆器(からものしっき)でしたが、茶の湯の流行に従い、黄瀬戸や志野など国内で作られた最新のやきものや、蒔絵の古い箱、さらに螺鈿(らでん)・染付・青磁などの新しい唐物も使われるようになります。素材は漆からやきものまで多岐にわたり、形状も丸・角だけではなく、動物や楽器などバラエティーに富みます。香合ほど種類が豊富な茶道具は他にありません。
このたびの展覧会では香合約170点を展示し、その世界が花開いていく様子をご覧いただきます。茶席を彩る小さな香合の愛らしい姿をお楽しみください。

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 『日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』  at 「国立西洋美術館」

マドリードにあるプラド美術館は、スペイン王室の収集品を核に1819年に開設された、世界屈指の美の殿堂です。本展は、同美術館の誇りであり、西洋美術史上最大の画家のひとりであるディエゴ・ベラスケス(1599-1660年)の作品7点を軸に、17世紀絵画の傑作など61点を含む70点(うち9点は資料)をご紹介します。

 『ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜』  at 「東京都美術館」  ~4/1

16、17世紀のヨーロッパにおいてもっとも影響力を持った画家一族のひとつであったブリューゲル一族。一族の祖であるピーテル・ブリューゲル1世は、現実世界を冷静に見つめ、人間の日常生活を何の偏見もなく、ありのままに表現した革新的な画家でした。この観察眼は、子から孫、ひ孫へと受け継がれ、一族の絵画様式と伝統を築き上げていくことになります。
父の作品の忠実な模倣作(コピー)を手掛けた長男のピーテル2世。父の自然への関心を受け継いで発展させ、多くの傑作を残したヤン1世。そして、ヤン2世やアンブロシウス、アブラハムといったヤン1世の子孫たちが、一族の作風を受け継ぎ、「ブリューゲル」はひとつのブランドとして確立されていくのです。
本展は貴重なプライベート・コレクションの作品を中心とした約100点の作品により、ブリューゲル一族と、彼らと関わりのある16、17世紀フランドル絵画の全体像に迫ろうという挑戦的な展示になります。

 『アラビアの道―サウジアラビア王国の至宝』  at 「東京国立博物館」

古代より交易路が張り巡らされ、人々と諸文明が行き交ったアラビア半島。
本展では、その躍動的な歴史と文化を示すサウジアラビア王国の至宝を日本で初めて公開します。100万年以上前にさかのぼるアジア最初の石器、5000年前に砂漠に立てられた人形石柱、ヘレニズム時代やローマ時代に賑わった古代都市からの出土品、イスラームの聖地マッカ(メッカ)のカァバ神殿で17世紀に使われた扉、サウジアラビア初代国王の遺品(20世紀)など、400件以上の貴重な文化財をとおして、アラビア半島の知られざる歴史をお楽しみください。

 『人体―神秘への挑戦―』  at 「国立科学博物館

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柳沢淇園 -文雅の士、新奇の画家-

2017-10-09 17:59:21 | Museum

 「大和文華館」 『特別展 柳沢淇園 -文雅の士、新奇の画家-』展鑑賞。

「日本の文人画の先駆者と称される柳沢淇園は、元禄十六年(1703)、柳沢吉保の筆頭家老である柳沢(曾禰)保挌の次男として江戸に生まれました。淇園は、吉保のもとに集った学者や黄檗僧などと交流を持ち、最先端の文化を吸収しつつ成長しました。殊に絵画に優れ、長崎派の画家英元章(吉田秀雪)に師事して「唐絵」を学びました。享保九年(1724)、主家の転封に伴い大和国郡山に移り住み、同十二年には藩主の吉里(吉保の子)より里の一字を賜り、里恭と改名します。「不行跡」のため処分を受けるという挫折も経験しますが、同十五年に家督を継ぎます。四十代に公務が充実するようになると、作品制作も活発化し、宝暦八年(1758)に没するまで絵画に真摯に向き合いました。

大黒天図 柳沢淇園筆 MIHO MUSEUM蔵
大黒天図 柳沢淇園筆
MIHO MUSEUM蔵

果物籠図 柳沢淇園筆 頴川美術館蔵 果物籠図

柳沢淇園筆 頴川美術館蔵淇園の絵画は、濃彩で精緻に描く人物図や花果図が主であり、文人画で主流となる柔らかな筆墨を用いた「南宗様式」とは異なります。しかし、高い身分に生まれて教養を積み、為政に関わりつつ絵画表現を模索する生き方は、理想とされる伝統的知識人に最も近いと言えます。

本展は、日本の文人画の胎動期に光彩を放った柳沢淇園を取りあげる約五十年ぶりの展覧会です。淇園の充実した作品とともに、淇園に影響を与えた黄檗の絵画や、淇園より影響を受けた次世代の文人画家の作品も併せて展示し、その生涯に迫ります。」

 

1700年頃の良き時代に、武士として勤めながら、趣味、教養を磨いた柳里恭。

12歳にして、狩野派を否定し、中国様の絵画技術を取り入れつつ昇華させた様が良く分かる展覧会でした。

敷地の芙蓉が綺麗でした。

 

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第68回正倉院展

2016-10-24 20:14:37 | Museum

2016.10.24. Mon.

平日の閉館前を狙って、4時半ごろに訪れる。 想定通り、列も無く、中も空いていて、自分のペースでゆっくり鑑賞できた。

今年の正倉院展は、とても展示の仕方も良く、人のたまりが分散されるようにしてあったように思われる。

また、展示品も私の興味のあるものが多く、久しぶりに正倉院展を堪能。

夾纈(きょうけち)と蝋纈(ろうけち)も対比して展示してあり、興味深かったし、染織品が多数出ていたのが嬉しい。

笙と竽の対比した展示も見やすかった。

また二釉の陶器も興味深かく、欠けた部分から土味が覗いていたのが嬉しい。 これは高台が見れれば最高だったのだが…

もちろん「漆胡瓶」の美しさは感嘆ものなのは言うまでもない。 現在も通用する意匠の美しさは神秘さえ感じられる。

初出展の撥鏤の鳥の飾り物は、想像以上に小さくてプリティ!!でした。

 『奈良国立博物館』 「第68回正倉院展

   

「本年の正倉院展には、北倉(ほくそう)10件、中倉(ちゅうそう)29件、南倉(なんそう)22件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の、合わせて64件の宝物が出陳されます。そのうち初出陳は9件です。例年通り正倉院宝物の概要がわかるような構成ですが、本年も宮内庁正倉院事務所による最新の調査成果を反映した内容に特色がみられます。また正倉院正倉の整備事業の完了を受け、宝庫や宝物の来歴を伝えるような宝物も出陳されます。 
 聖武天皇ゆかりの北倉からは、シルクロードの遺風を伝える名品として夙(つと)に有名な漆胡瓶(しっこへい)が、正倉院展では18年ぶりに出陳されます( ※ )。また鳥木石夾纈屏風(とりきいしきょうけちのびょうぶ)は、聖武天皇のお側(そば)近くにあった屏風で、花鳥を愛でた当時の宮廷生活が垣間見られる宝物です。 
 また、本年は聖武天皇一周忌斎会(さいえ)で懸吊された大幡(だいばん)(灌頂幡(かんじょうばん))に関連する宝物がまとまって出陳されるのも注目されます。大幡は総長13~15メートルに及ぶと考えられる巨大な幡で、多数の幡が法会(ほうえ)の場を華やかに飾ったと考えられます。今回は幡の本体、脚、脚先の飾り、芯に使われた裂(きれ)が出陳され、その全容が想像されます。 
 ところで、本年は多種多様な金工品が出陳されるのも注目されます。宝庫に伝わった奈良時代の銅銭、唐と日本の鏡、合金に用いられる金属のインゴットなどの鋳造(ちゅうぞう)に関係する品々、あるいは漆胡瓶と同じく平脱(へいだつ)技法が用いられた竽(う)、笙(しょう)、平脱鳳凰頭(へいだつのほうおうのかしら)などの装飾性豊かな器物類、そして目にも美しい様々な飾り金具など、金属と古代の日本人の関係にも思いを馳せていただければ幸いです。 
 このほか、素材の異なる3種の笏(しゃく)や、高度な技法で作られた象牙(ぞうげ)の櫛、近時の調査で染色材料が判明した愛らしい鳥形の飾りなど、天平の技と風俗にもご注目下さい。
※公開は、御即位20年記念特別展「皇室の名宝」(東京国立博物館 平成21年)以来、7年ぶり」

今年は64件を展示し、うち9件が初公開。特に聖武天皇一周忌の法要に使われた大幡に関連する宝物や多種多様な金工品、近時の調査で色彩が判明した鳥形の飾りなどに注目したい。

   

1:浅緑地鹿唐花文錦大幡脚端飾(あさみどりじしかからはなもんにしきのだいばんのきゃくたんかざり)。大幡の脚先の飾り
2:漆胡瓶(しっこへい)。鳥の頭に似た注ぎ口が特徴。黒漆の上に草花などの文様を加飾したペルシア風水差し
3:笙(しょう)。底面と竹管の1管に「東大寺」の刻銘があり、東大寺の諸法会で用いられた管楽器
4:磁皿(じざら)。聖武天皇の生母・藤原宮子の一周忌斎会の際に聖僧供養の食作法に使われたとされる
5:唐草文鈴(からくさもんのすず)。幡や天蓋などの荘厳具に付けられた飾り金具
6:銀平脱龍船墨斗(ぎんへいだつりゅうせんのぼくと)。龍頭形の装飾を付けた、船形の墨壺
7:大幡残欠(だいばんざんけつ)。錦や綾、組紐など多様な染織技術を駆使して作られた華麗な染織幡
8:アンチモン塊(かい)。日本最古の富本銭にも含有することで知られる、鉱物・アンチモンのインゴット
9:撥鏤飛鳥形(ばちるのひちょうがた)。象牙製の細工物。染色には藍や紫根を使用

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琳派誕生400年記念 琳派 京(みやこ)を彩る

2015-11-23 23:18:43 | Museum

2015.11.23. Mon.

 京都国立博物館 平成知新館  『琳派誕生400年記念 琳派 京(みやこ)を彩る』  2015(平成27)年10月10日(土)~11月23日(月・祝)

   

会期最終日の夕刻、ぎりぎりに滑り込む。

   

   

最終日で祭日、混雑を覚悟していたが、4時ごろの入場だったので、流石に少し混んでいる程度ですんだ。

観たことのある作品が大半だったが、テーマを通しての展示は見やすくて良い。

絵画が多く、工芸目当ての我々には少し物足りなかったかな。 特に野々村仁清の作品が少なかったのが残念。

「鶴下絵三十六歌仙和歌巻 本阿弥光悦書・俵屋宗達下絵」は見応えのあるもので、下絵の配置、書の置かれる部分と濃淡が見事なハーモニーで、二人のデザイナー・センスは流石天才!と唸らされた。

「八橋蒔絵螺鈿硯箱 尾形光琳作」はもう10回目ぐらいの出合いかも。 毎度感動するのだけど。

展覧会の見どころ

 琳派とは、江戸時代に現れた装飾的な作風を特色とする、俵屋宗達、尾形光琳・乾山、酒井抱一といった芸術家の一群をゆるやかにつなぐ言葉です。その源は、京都洛北の鷹峯に住し、書をはじめ様々な芸術に関与した本阿弥光悦へと遡ります。本展は、光悦が徳川家康から鷹峯の地を拝領して400年となることを記念し、琳派誕生の地である京都において初めて開催される本格的な琳派展です。琳派の名作を一堂に集め、その都ぶりな美意識、日本的と評される特質をご堪能いただくとともに、琳派の系譜をご紹介します。

光悦と宗達

信長、秀吉、家康―天下の覇者がめまぐるしく入れ替わり、世情不安定な時代の都に、光悦と宗達は生まれました。刀剣の手入れや鑑定に携わる家に生まれ、錚々たる武将たちと交わり、書家として、また陶芸家や漆芸のディレクターとして活躍した光悦。俵屋という絵屋を経営し、公家や社寺、上層町衆のために扇絵や障壁画などを描いて名を知られたという宗達。二人の交流は、美麗な料紙装飾と豊麗な書の競作によって、現代に伝えられています。

宗達、光悦共演―光と歌のシンフォニー 全期間、全巻、全長13.56メートル初公開!
海上を飛翔し、地上で羽を休める鶴が金銀泥で描かれ、その上に三十六歌仙の和歌が書される。緩急自在に展開する宗達の下絵と光悦の書は、観る者に息をもつかせぬ圧倒的なもの。かつてこの作品を入手した陶芸家・荒川豊蔵は、箱蓋裏に「天恵」と大書した。

  重要文化財 鶴下絵三十六歌仙和歌巻 部分 本阿弥光悦書・俵屋宗達下絵 京都国立博物館 <展示期間:全期間>

光琳と乾山

徳川の治世がもたらした平和と繁栄の時代、元禄。琳派誕生からおよそ百年後のこの頃、京で壮年期を過ごしたのが、尾形光琳・乾山の兄弟でした。光悦とも縁戚関係にあった尾形家は、洛中でも指折りの高級呉服商・雁金屋。恵まれた環境にあった二人は、おそらく光悦や宗達の作品を身近に、書画や能などの教養を身につけて育ちます。
贅沢な暮らしが身になじんでいた二人は、自分たちが手にしたいものを制作したのではないでしょうか。そしてそれは、高級品を享受する人々が居住し、それを作り出す職人たちが集住する京であったからこそ可能だったのです。

京を彩る豪奢と美意識 尾形光琳
『伊勢物語』のうち三河国八橋での挿話は、「燕子花図屏風」「八橋図屏風」としても結実する、光琳お気に入りの主題。この硯箱もまた、同主題により、燕子花と板橋のみで物語を暗示する。硯箱としては異例な姿や、鉛板や割貝螺鈿を大胆に用いる趣向に、光琳蒔絵の特質が示される。

    国宝 八橋蒔絵螺鈿硯箱 尾形光琳作 東京国立博物館 <展示期間:11/3~11/23>

京を象る夢幻とロマン 尾形乾山
金彩、銀彩や銹絵や染付、白泥を用い、まるで蒔絵や金銀泥絵などを想わせる蓋物である。蓋を開けると、内側に打ち寄せる波が描かれており、蓋上の松と合わせ、海辺の様子を表している。漆器や絵画の手法をやきものに用いるという意表性は、乾山ならではであろう。

    重要文化財 松波文蓋物 尾形乾山作 出光美術館 <展示期間:全期間>

光琳を受け継ぐ 江戸琳派

江戸に幕府が開かれておよそ200年。それまで京大坂の文化に追随してきた江戸は都市としての成熟を迎え、戯作や浮世絵版画に代表される洒脱な世界が、武士や富裕な町人によって生み出されました。その中から登場した酒井抱一は、江戸文化を謳歌する粋人でした。
抱一が成し遂げた重要な事業が、文化12年(1815)の光琳百年忌にあたって出版した『光琳百図』と『尾形流略印譜』。光琳の作品をまとめるとともに、これまで流派として意識されていなかった芸術家たちを尾形流として整理し、現在の琳派研究の礎を築いたのでした。

悠々たる情趣 酒井抱一
背面全体を花咲く紅梅一樹で覆う描絵の小袖。立木文様と通称される、きものに類型的な意匠構成に基づくが、抱一の筆力により格別の印象に仕上がっている。光琳とは一線を画した写実的な画風だが、日々の暮らしを彩るという琳派のDNAが抱一にも確実に受け継がれていたことを示す。因州池田家伝来。

 
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