老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「映画『祝(ほうり)の島』に寄せる思い」(纐纈あや監督):「サロン・ド・朔」5月例会速記録

2010-06-18 21:03:04 | イベント情報
「サロン・ド・朔」5月20日(木)例会に於ける纐纈(はなぶさ)あやさん(「祝の島(ほうりのしま)」の監督)のお話を、以下にアップしました。

「映画『祝(ほうり)の島』に寄せる思い」
http://yufuu.com/user/goken/hourinoshima.html

この映画は明日(6月19日)から東京・ポレポレ東中野、広島・横川シネマで上映されます。是非ご覧いただくよう、お勧めします。

スケジュール http://www.hourinoshima.com/

6月19日(土)より
【ポレポレ東中野】 http://www.mmjp.or.jp/pole2/
6月19日(土)~7月2日(金) 12:30/15:30/18:00
7月3日(土)~終了日未定 12:30/14:40/16:50/19:00
【横川シネマ】http://ww41.tiki.ne.jp/~cinema-st/
10:00/12:00/16:30/18:30

「護憲+BBS」「イベントの紹介」より
笹井明子
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2010年参議院議員選挙に向けて

2010-06-17 09:52:09 | 選挙
いよいよ昨日で150日間の通常国会も終了し、参議院選挙戦に突入しました。この通常国会は55年体制以後初めて、「国民生活第一」の政策を掲げた民主党対旧来の利権政治を守ろうとする旧政官業(メディア・検察を含む)の政争国会ではなかったでしょうか。

そのために政権についた民主党幹部(鳩山・小沢・石井一)のスキャンダルが検察とメディアによって次々に追求され、今夏の参議院選で民主党の大苦戦が避けられない状況にまで貶められました。

しかし小沢・鳩山の間一髪の英断で、鳩山内閣への不信任案提出を免れ、支持率もV字回復し、昨日菅内閣への不信任案を提出した自民党は切歯扼腕と言ったところではないでしょうか。逃した魚はあまりに大きく、まさに判断の差が出たと言うことでしょう。

ところでメディアは今回の参議院選は国会が延長されず争点ぼけと言いますが、そんなことは無いと思います。大きくは「国民生活第一の政治」か、それとも「旧来の利権政治の継続」かが最大の争点だと思います。また国民生活第一の政治を選択するのであれば、どの政党の政策がベターで、実現可能か、政党選択も争点ではないでしょうか。

そのようななか、菅首相は選挙用ポスターから従来の「国民生活第一」のスローガンを撤回し、「元気な日本を復活させる」とのキャッチフレーズに変更したようです。何となく、内政で「国民生活第一」「官僚依存脱皮」の小沢・鳩山路線と一線を画しそうな雰囲気です。

また外交安全政策でも、既に米国従属路線を明確にした菅・前原、岡田の現政権は米国と対等な関係を理想とする鳩山・小沢グループの政策と一線を画しつつあり、普天間-辺野古移転問題を含め選挙後の党内の争点に成りそうです。普天間問題は沖縄県民が県内移設を反対している以上、辺野古に移設されるかどうか、未だ不透明な状態ではないでしょうか。

こうしたことから、民主党支持者は、今回の参議院選でどちらのグループが党内勢力を増すかも、注目しておく必要がありそうです。

「護憲+BBS」「2010年参議院議員選挙に向けて」より
厚顔の美少年
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国家公務員の削減は少数精鋭になるように願いたい

2010-06-15 06:22:19 | 民主党政権
6月5日の朝日新聞のインターネット版に、「女性に優しい外務省へ 次官候補退職を反省 チーム提言」としてこんな記事が載りました。

そんなに長い文ではないので全文載せてみます。

http://www.asahi.com/politics/update/0531/TKY201005310466.html

引用はじめ

「外務省を女性が働きやすい職場に」――。女性職員の勤務環境改善策を検討していた外務省内のチームが、配偶者の海外赴任に際して一定期間の休職を認める制度の創設など10項目の提言をまとめた。

 外務省の事務系職員5520人のうち、女性は1280人(約23%)。ここ20年で約15%増えたが、海外勤務や、在外公館との時差による深夜・早朝勤務などがあり、出産・育児との両立に悩む女性職員は多い。今春、将来の次官候補とも目された女性幹部が退職したこともあり、岡田氏の指示で環境改善策をまとめる特命チームが設けられた。

 チームは西村智奈美政務官と子育て中の女性課長を共同議長に、独身の女性職員や育児休業を取得した男性職員ら計14人で構成。チームが行ったアンケートでは、回答を寄せた女性職員307人のうち230人(約75%)が「勤務を続けることへの不安を感じたことがある」と答えた。

 提言には、外務省職員同士が夫婦の場合、在外勤務の際は可能な限り夫婦が同一または近隣で勤務できるよう配慮▽海外でのベビーシッター雇用の際の支援▽フレックスタイム制の拡充――なども盛り込まれた。西村氏は「女性が働きやすい職場は男性も働きやすい。職員が能力を十分に発揮し、活力ある外交を実現したい」と話している。(高橋純子)

引用終わり

この記事を読む限り、この次官候補とまで目されていた女性もご家庭の事情で退職せざるを得なかったと分かります。

私はこの退職をとてももったいないと思い、こういったことが起きてしまう官庁の勤務制度も税金の無駄遣いだと思いました。

エリート官僚という言葉がありますが、このエリートを育てるために、彼らが入職してから外国の大学や大学院に留学してもらうなど、それなりの税金で投資をして官僚を育ててきたと思います。

幹部になるほど長い年月を働いてきたこの女性が、職場の規定などにより職務を全うできず辞めたのですから、他の官庁は分かりませんが、日本の外務省の中での女性の働きにくさは、かなり深刻なのだと思いました。

菅総理大臣は国家公務員の数の削減を唱っていますが、減らすなら減らすで、少数の精鋭が育ち末永くその力を発揮して働いてくれるような仕組みを作っていくことも、削減と同時にとても大事なこと。それを、すでに鳩山政権の時に岡田外務大臣がちゃんと指示をだし、外務省が動いていた。大きな記事にはなっていませんが、記事自体も良いと思いましたし、岡田大臣も良い仕事をされているな。とちょっと頼もしく感じました。

「護憲+コラム」より
桃李
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所信表明演説の前に異議あり

2010-06-14 15:52:08 | 民主党政権
これまで菅首相は庶民の意見を聞いて丁寧に処してきた大衆政治家のように思ってきたが、今回首相に就任するやいなや沖縄県民、徳之島島民の声を無視して、普天間移設に関する日米共同声明を無条件で追認したことには正直失望させられた。またマニフェスト最優先であり、無駄の排除が最優先と言っていたと思うが、いつの間にか財務官僚に取り込まれ、財政規律論者に変心しているのも気に入らない。前副総理兼財務大臣として事業仕分けに満足するのではなく、予算の組み替えを主導し、独立行政法人そのものを廃止統合して貰いたかった。

ところで、これまで安倍、福田、麻生、鳩山の各首相は皆短命であったが、その原因は所信表明演説の内容や達成度ではなさそうである。むしろ首相としての言動、状況判断、価値判断、公約等に対する嘘、ぶれる言動、毀誉褒貶、官僚的答弁等が主因となり、政治信条、決断力、洞察力、リーダシップ、内閣・与党内でのガバナンス、使命感の欠如等が露呈し、自ら信用を失墜し、国民の信頼を失ってしまったところに短命の原因がありそうである。

そのような面から菅首相を観ると、早くも不安要因が露呈している。先ず第一に今回衆議院まで通過していた法案を会期延長して成立させなかったことである。このことは前副総理としても、新総理としてもおかしい。なぜなら夏の参議員選挙の結果で連立政権の枠組みが替われば、完全に廃案になる可能性もあり、内閣の使命を何んと理解しているのか疑わざるを得ない。また首相に就任してすぐに国民新党と交わした公党間の約束不履行は、人間菅直人の信用を失い、信頼を揺るがす問題である。

次の問題は、鳩山前首相が辞任する直接の原因となった普天間移設と政治と金の問題に付いて、副総理でありながら総理に助言や諫言をすることなく、傍観者的であったと思われる点である。更に、沖縄県民と徳之島島民が県内移転に反対しているにも拘わらず、総理就任早々に日米共同声明を追認したことは、国民主権の無視であり、市民政治家としてのイメージが損なわれた。

そしてもうひとつの不安要因は、自ら辞任した小沢氏を露骨な言動で排除し、150人と言われる小沢グループと参院民主党の小沢シンパの感情を逆撫して自ら溝を作ってしまったことである。

巷間菅首相は参院選挙日程を優先し会期延長に反対したと言われているが、それは建前であり、実態は反小沢の菅首相、仙谷官房長官、枝野幹事長3人が束になっても小沢シンパの参議院民主党を「会期延長の方向」で説得できなかったと観るべきであろう。結果として、改正郵便法や労働者派遣法等の重要法案等を成立させられず、国民新党の亀井党首との約束不履行を招き、自らの信用と信頼を損ねたといえる。

菅首相は所信表明の最後で『国民の皆様が「よし、やってみろ」と私を信頼して下さるかどうかで、リーダシップを持つことができるかどうかが決まります・・ぜひとも私を信頼していただきたいと思います。』と述べているが、それは自ら信頼を失う可能性を内包しているとの認識からの発言であろう。

今回会期を延長して重要法案を成立させられなかったように、ひとつ舵取りを誤れば、参議院選後も自前の政策を党内に説得し、国会で法案成立に漕ぎ着けるのは前途多難である。それは、今回の前原国交大臣の高速道路料金法案が廃案になった例を見れば明らかである。例え世論の支持率が高かろうとも、党内に敵を作れば党内は動かせないことを、菅首相を担いだ面々は肝に銘じておくべきであろう。

余談であるが、民主党も今回若手議員の要望を入れて政務調査会を復活したが、野党時代の政調と違って、与党の政調は政府予算の編成と絡んでおり、必ず業界が票と金をちらつかせて利権を求めて議員へ要望を出し、そこに族議員が生まれる宿命がある。

小沢氏は自民党の政調でその弊害(利権と票と金)を熟知し、結果予算の分捕り合戦が族議員間で発生し、毎年各業界向けの予算が固定化し、国民生活第一への予算が薄く成るとの判断から、政権与党となった時点で、民主党の政調を廃止したと思われる。

そのような弊害を知ってか知らずか、玄葉氏が肝いりで政調を復活したが、小沢氏の政調不要論にも一理あるだけに、新たな政務調査会での政策立案も前途多難が予想される。

何れにしろ小沢グループを敵に回しては国会運営と党内運営は上手く機能しなくなり、菅政権は支持率が下がり、メディアの民主党潰しの罠にはまり込むだけであろう。菅政権の浮沈の鍵は小沢グループへの対応次第である。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
厚顔の美少年
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「政治とカネ」

2010-06-11 20:43:28 | 民主党政権
この一年間、日本の政治は「政治とカネ」だけで終始したといって過言ではない。メデイアは飽きもせず執拗に、小沢一郎の「政治とカネ」問題を報道した。今や小沢一郎=金権政治家=古い体質=悪という図式が定着。小沢一郎を放逐する事が政治の目的であるかのような報道を繰り返した。

ところが、不思議な事に小沢一郎がどんな金権政治を行ったか、と言う事を詳細に報じた記事は皆無と言ってよい。一体全体、小沢一郎は、どこからお金をもらい、そのお金の見返りにどういう形で国策を曲げたのか、誰もはっきり答えられない。それでいて、小沢一郎=金権政治家=悪と報道して誰も不思議に思わない。要するに、小沢一郎の政治資金は膨大だから、彼は悪い事をしているに違いない、という憶測で報道しているとしか思えない。

東京地検の捜査が小沢一郎に及んだとき、これで小沢一郎も終わりと思った国民は少なくないはずだ。ところが、一年間に及ぶ東京地検の執拗な捜査にもかかわらず、収賄罪はおろか、利益誘導も、口きき疑惑も何の証拠も見つけられなかった。

腹立ちまぎれに小沢一郎の秘書三人を逮捕・拘留・無理やり起訴まで持ち込んだが、彼らの容疑は、政治資金法不実記載で、過去、これらの疑惑は、通常修正申告で済んだ。この程度の問題を「政治とカネ」問題に膨らまし、小沢一郎=金権政治家=悪のキャンペーンを張った事になる。この内容をメディアが知らないわけがない。知っていて、「政治とカネ」問題を一年間にわたって報道し続ける姿勢にメディアの尋常でない「悪意」を感じるのは私だけではないだろう。

今回の鳩山首相の辞任、小沢幹事長の辞任は、米国と官僚とメディアによるクーデターだという指摘もあながち妄想ではない。それほど、この一年間のメディア報道は異常だった。

鈴木宗男とともに逮捕された元外務省職員佐藤優は、小沢一郎は「悪党」になる以外道はないという。「悪党」とは、足利幕府終焉期、地域の民衆のために権力と抵抗した土豪たちの事を指す。例えば、楠正成は、河内地方の土豪で「悪党」と呼ばれていた、権力側から見れば、文字通りの秩序紊乱者(悪党)だが、地域の民衆から見れば、理不尽な権力と戦う頼りになる人物、と言う事になる。

米国・官僚・メディアなどの悪徳ペンタゴンから見れば、小沢一郎は文字通りの秩序紊乱者(悪党)であり、逆に虐げられた地方の民衆から見れば、頼もしい革命家に見える。この小沢一郎を巡る評価の分裂こそ、現在日本が抱え込んでいる矛盾の深さを物語っている。「政治とカネ」問題に特化した報道姿勢は、日本政治なかんづく小沢問題の本質を正面から取り上げる事を避ける事を意味している。

菅政権が標榜する「クリーンな政治」というスローガンは、このように見ていくと、国民が政治の本質を考える事を妨げる事になる。

たしかに、政治資金はきれいな方が良い。政治資金も少ない方が良い。このような思考法を極限まで突き詰めると、お金を一銭も持たない人間以外政治などできなくなる。政治家は、ぼろを着、車など使わず、昼飯はコンビニ弁当で済まし、ただただ質素倹約する人間以外政治などできなくなる。このように書くと、それこそ極端だという批判が出るだろうが、日本国民の「クリーン」好きは、そう言われても仕方がない。

マキャベリは「善を行うことしか考えない者は、悪しき者の中にあって破滅せざるを得なくなる」と書いているが、少し世古長けた人間なら、この事は人間学として常識的に知っている。例えば、会社経営を行う経営者が、あまりにも道徳的・倫理的でありすぎると、会社それ自体を危うくすると言う事がしばしばある。「悪いことのできない人より、悪いことができて、悪いことをしない人が成功する。事業界とはそういうものです」(阪急電鉄相談役 清水 雅)(「東洋経済学入門」伊藤肇(評論家)ゴマブックスより)

少し視点を変えてみよう。「情報は政治の命」。「情報」の入らない政治家は判断を間違う。ところが、「情報」を手に入れるには、金がかかる。貴重な情報ほど金がかかる。ただで手に入る情報などはおおよそ役に立たない。

昔、有名な好事家がいた。彼は骨董収集に目がなかった。事実、多くの骨董品が彼の下に集められていた。その彼のところに多くの骨董屋が足を運んできた。彼は、骨董屋の持ってくる品物をよく買ってやった。側近のものが、「何で偽物と分かっていて買ってやるのですか。お金が無駄ではないですか」と尋ねると、彼はこう答えた。「偽物を買ってやらないと、本物が手に入らないのだ。」

この話、「情報」にも当てはまる。「情報」の多くはガセネタ。しかし、大多数のガセネタの中にキラリと光る本物の情報がある。これを見分けるのが、その人の目(能力)と判断力だ。しかし、それもこれも「情報」を集めてからの話で、良い情報を集めるには、壮大な無駄が必要だと言う事になる。日本でも大物と呼ばれる政治家ほど、情報集能力が高かった。それだけ、情報収集のために「お金」を使えた、と言う事になる。だから、「政治判断」を間違えなかった。

では、「クリーンな政治」を徹底するとどうなるのか。田中良紹氏の主張するように(※田中良紹の国会探検)政治家個人で「情報収集」などできなくなる。それでも「情報」は欲しい。となると、いきおい最も情報を持っている【官僚】に頼らざるを得なくなる。「官僚」たちは強かだから、当然自分たちに都合の良い「情報」を厳選して渡すことになる。いきおい、「官僚主導」の政策が行われることになる。

つまり、「クリーン」な政治を標榜すればするほど、官僚の重要性が増す、という矛盾した構図になる。菅直人が「クリーン」な政治を標榜し、それをメディア・国民が大喝采すればするほど、「官僚」たちの思う壺で、わたしには、「官僚」の高笑いが聞こえるような気がする。

民主主義の根幹に、「情報の公開・共有化」が据えられなければならない、という意味は、上記の「情報独占」が政治の私物化を招くからである。だからこそ、「情報公開」が求められるのだが、「情報の独占」こそが権力の源泉と心得ている「官僚組織」に風穴を開けるのは容易ではない。

自民党政権時代は、「情報独占」した官僚組織が、時折、政治家に都合の良い「情報」を提供し、政治家は自らの権力維持のためにその「情報」を使うという構造が定着していた。要するに、官僚の掌の上で政治家が踊っていた。文字通りの「官僚主導国家」。メディアも記者クラブ制度を通じて、「情報」のおこぼれを頂き、自社のステイタスを保つ、と言う意味で、共犯だった。

民主党政権は、この「構造」に風穴を開けるはずだった。当然、この予定調和的構造に胡坐をかいていた官僚及び共犯者であるメディアの抵抗は凄まじかった。彼らは、政治家のアキレス腱であり、潔癖すぎる日本国民が最も嫌う「政治とカネ」問題に焦点を絞り民主党政権を攻め立てた。

「政治とカネ」問題に特化した報道が一年間行われたという事は、その裏には「日本の政治構造」をそのまま温存したいという「官僚」「メディア」など既得権益層の思惑及び日本をこのまま米国の従属国家にしておきたいという米国の意図も絡み合っていた事は想像に難くない。それだけ、彼らの危機感が強かったという事になる。

菅直人政権が、その第一声で「クリーンな政治」を標榜したという事は、彼らに屈伏したという事を意味する。新自由主義者の巣窟である菅政権の政策を見ていると、消費税を含む増税論議一色で、このままいけば、菅内閣は、見事な「増税内閣」になることは明らかだ。「国民生活が第一」の民主党から「国民負担が第一」の民主党へモデルチエンジしたと言われても仕方がない。

菅直人首相が本気でこのような政権運営をするのか、それとも参議院選挙対策で官僚・メディア主導の世論に迎合したかに見せて、民主党政権を安定軌道に乗せた後、元の民主党路線に戻すのか。ここのところが、まだ判然としない。

わたしは、小沢一郎の狙いは、かっての自民党のように、民主党政権内で疑似政権交代を繰り返しながら、日本を自立方向に変革していくのではないか、とも考えているが、それも判然としない。その政策的分岐点は、以下のように要約できる。

共生主義   VS 市場原理主義
自主独立   VS   対米隷属
官僚利権排除 VS 官僚利権温存
金権政治排除 VS 金権政治温存
(植草一秀 知られざる真実)

現在の菅政権の布陣、菅総理の発言、各閣僚の発言などを見ていると、どう見ても、市場原理主義に舵を切ったかに見える。もし、この方向性が本当なら、民主党分裂、政界再編含みの争いは避けられない。9月政変が現実味を帯びてくる。

小沢自身の覚悟は、赤坂の小沢事務所に掲げられている日露戦争の仲介役で知られているT・ルーズベルト大統領の檄文に尽きると思う。

「重要なのは、批評する者ではありません。強い男のつまずきを指摘したり、りっぱな仕事をした者にケチをつけたりする人間でもありません。
 真に称賛しなければならないのは、泥と汗と血で顔を汚し、実際に戦いの場に立って勇敢に努力する男。努力に付きものの過ちや失敗を繰り返す男です。
 しかし彼は実際に物事を成し遂げるために全力を尽くします。偉大な情熱と献身を知っています。価値ある大義のために全力を傾け、最後には赫々たる勝利を収めます。たとえ敗れる時であっても敢然として戦いつつ敗れます。だからそういう男を、勝利も敗北も経験しない無感動で臆病な連中と断じて同列に並べるべきではありません」・・「ゲンダイネット」

http://www.gendai.net/articles/view/syakai/124473

要は、小沢一郎と菅直人の間でどれだけ話し合いができているかにかかわる。その結果は、9月の代表任期切れまで分からない。できうれば、小沢と菅の間で、話が付いており、9月の内閣改造で民主党内の新自由主義者の粛清が行われることがベストだと思う。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
流水
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不可解なルース大使の沖縄訪問

2010-06-11 10:41:04 | 安全・外交
6月10日のNHKニュースは、米国のルース大使が6月18日から4日間沖縄県を訪問して仲井真知事に面談すると報じている。この訪問の目的は普天間の移設問題であり、おそらく日米共同声明で8月末期限になっている工法等について、知事が許可を出す可能性についてのリサーチが最大の目的であろう。

この件では菅政権も全く展望がない状態であり、今回のルース大使の訪問結果によっては、秋の菅・オバマ会談で日本政府を窮地に追い込まないように、8月末期限が棚上げされる可能性も予想される。

しかし、この問題について本来アメリカは日本政府と交渉すれば良いのであって、それが筋であろう。外国大使が自治体の首長と直接交渉するという行為は内政干渉ではないのか。それとも日本政府は米国大使と県知事の直接交渉を許可したのか、何れにしろあまりに能天気すぎる話である。

6月10日 5時25分NHKニュースより http://www3.nhk.or.jp/news/
「アメリカ軍普天間基地の移設問題をめぐり、アメリカのルース駐日大使が今月18日から沖縄県を訪れ、仲井真知事などと会談する方向で調整していることが、沖縄県などへの取材でわかりました。」

「護憲+BBS」「各国の動きに注目する」より
厚顔の美少年
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緊急シンポ「嵐の中の⇒嵐の中だった小鳩政権!!~・・・」

2010-06-10 20:57:53 | 民主党政権
6月8日、フォーラム神保町主催で「嵐の中の⇒嵐の中だった小鳩政権!!~ニッポンは何を守ろうとしているのか!?」という緊急シンポジウムが開かれました。詳細は下記の「内憂外患」アーカイブ動画でも見られます。

http://opinion.infoseek.co.jp/article/883

私がこのシンポをアーカイブ動画で見て興味をひかれたのは、郷原信郎さんの発言です。

郷原さんは、『小沢一郎の秘書が「政治と金」疑惑で逮捕された時から「事実と感情論を混同してはいけない」とずーっと主張してきました。つまり、小沢一郎の秘書が何をやったのか、そして検察が逮捕したのは何の疑惑なのか、それすらもマスメディアは冷静に「報道」することなく「関係者によると」という出所も曖昧な情報や検察の側からのリーク情報を垂れ流し、そのことが小沢一郎という政治家を「巨悪と疑惑の人物」という風評に仕立て上げている』と言っています。

郷原さんは、これまでもマスメディアに露出する度に「小沢一郎の秘書が逮捕されたのは帳簿上の虚偽記載という疑惑であってそれが小沢一郎を起訴相当に値するものか、はなはだ不明瞭である」と述べ、検察は小沢一郎を起訴することは出来ないと言っていたのです。これは小沢一郎に限らず例え誰であってもこのような罪状で起訴するのは不当ということなのでしょう。

それと「政治資金規正法」についても「会計担当者は逮捕できても政治家は会計担当者に指示するか共犯したという事実が証拠として上がらないかぎり逮捕、起訴は出来ない」と述べておられました。

しかし今回の「検察審査会」では、検察の「起訴不相当」に不満を持った「市民」達が小沢一郎の起訴を「全員一致」で採択し、しかもその採択の中には「市民目線」とかいう訳の分からない、正しく感情論で飾られた言葉が散りばめられていたのです。

http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2010/04/post-b6ab.html

上記のブログに検察審査会の議決が載せられていますが、これを御覧になって皆さまは如何思われますか?

私は必ずしも、ネットで言われているような怪しい市民団体の誘導でこの議決が出されたとは思わないけれど、ただこの議決文を読んで言葉に出来ない違和感を感じていました。それが何だったのか、あの郷原さんの発言を聞いて納得するものがありました。

郷原さんは、『小沢一郎は最後には「不起訴」になるかも知れない。但し彼が不起訴になったときは散々、マスメディアや関係者などに煽られ、つくられた「巨悪」「金権政治家」というレッテルを貼られ、政治生命を、完膚なきまでに叩きのめされるのだろう』とおっしゃっていました。

正しく政局はそのような状況になり、メディアの世論調査では「脱小沢」を8割が評価し「小沢さんは少し静かにしていて欲しい」と大見得を切った菅直人内閣(何もやっていない、まだ組閣もされていない!)を6割が支持するという何とも異様な結果が出ています。

郷原さんは、小沢一郎の秘書が逮捕された当初から資料を提示しずーっと訴えて来たことが、メディアにも届かず国民の間で議論されることもなかったという事態に「虚しさを覚えた」と述べています。

私は小沢一郎を支持するものでもないし(この枕詞付けるのも面倒だけれど)、菅内閣には、国民の為の政治を実行して欲しいとは思っているけれど、やっぱり、おかしいものはおかしいと言い続けていかなければ何だか大きな怒濤のような流に押し流されて、気が付いたらとんでもない所まで運ばれて行くような気がしてならないのです。

それにしてもこの国の「世論」というのは何とせっかちで稚拙なものでしょう。まだ組閣もされていない内閣を支持し、メディアのいうことを鵜呑みにし、世論調査という名の魔法の小槌が吐き出す「市民目線」や「世論の動向」に左右され、無責任な観客となって「政局劇場」が少しでも思い通りにならないとすぐに切り捨てることばかり考える。小泉劇場以来、バカな観客になってしまったのでしょうか。どうせ観るならせめて見巧者になりましょうよ。

世論調査なんて作為的なもので、当てにならないという人もいるけれど、マスメディアはいくら劣化したとはいわれてもこの日本の民意を扇動し、誘導する力をまだ持っているのです。

本心かどうか分かりませんが、シンポの中で大谷昭宏氏と田原総一朗氏が「テレビでは話せない事がたくさんある、それをしゃべったらテレビには出られなくなる」と言っていました。また佐藤優氏と大谷氏のやり取りが、感情的な部分も含めて現在の日本のマスメディアとコメンテーターの状況を表していたのかも知れません。

今回のシンポジウムは図らずも「世論と報道、政局を左右するもの」というもう一つのテーマを浮かび上がらせたような気がします。

「護憲+BBS」「 イベントの紹介」より
パンドラ
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「小沢政変劇」を推理する

2010-06-10 09:47:50 | 民主党政権
今回小沢氏が仕掛けた政変劇で「風」が起き、民主党の支持率が急回復する要因になったことは誰も否定しようがあるまい。しかしメディアはこのような取り上げ方をすると、これまでの小沢潰しの記事と齟齬を来すので無視している。その結果国民は高い入場料=税金を払いながら、鞍馬天狗が登場する政変劇のクライマックスを観劇できないのは残念である。要するに旧政官業体制の新撰組の役割を担うメディアは、急場を救う鞍馬天狗の役を担う小沢の姿を国民に見せたくないのであろう。

そこで観劇できなかったクライマックスの場面はどのようなものだったか推理してみると、まさにハラハラする小沢の間一髪の民主党救出劇だったことが見えてくる。

国会も終盤に近づき、野党自民党はいつ鳩山首相の不信任案を国会に提出するかタイミングを計っていたことは報道されていた通りである。もし小沢が動く前に自民党から鳩山首相不信任案が提出されていれば、与党民主党は当然否決せざるを得ない。裏を返せば支持率の下がった鳩山首相に信任投票をせざるを得なくなり、小沢氏も鳩山首相に引導を渡すことはできなかったはずである。

このように野党から不信任案が提出されかねないタイミングの中で、もう一つ小沢が怖れた事は何であったか、それは鳩山首相に辞任を促した際に、それを拒否され、逆に自分が幹事長職を罷免されかねないということである。結果から見ても分かるとおり、どちらか一方が留任すればV字型の支持率回復は望めなかったであろう。

とにかく不信任案が提出される前に、自分が罷免されずに鳩山首相の辞任取り付けに成功したことで、民主党を急場から救出できたのである。この場面では、小沢は罷免も覚悟していたであろう。それだけに鳩山首相から「貴方も職を辞してくれ」と言われた時は幹事長として本懐であったのではないだろうか。映画であれば手に汗を握る間一髪の場面に鞍馬天狗が間に合ったシーンで、観客は思わず拍手喝采の場面である。

しかしこのきわどい総理大臣相手の交渉成立は偶然とは考えられず、まさに小沢の剛胆で緻密な洞察力によるものである。小沢なくしては成し得ない政局劇で、その結果民主党の支持率が奇跡的にV字回復する「風」が起きたのである。

メディアは相も変わらずこの劇的シーンを国民に伝えようとせず、小沢を鞍馬天狗にしたくないようである。その好い例が6月9日の朝日朝刊のザ・コラム「拝啓小沢一朗殿、引き際の美学を考えては」(若宮啓文)と天声人語での小沢一郎に関する慇懃無礼なコラムである。

しかし小沢の引き際は、地元下級武士の絶対的な支持を得て引くに引けない西郷隆盛のようなものであり、「国民生活第一」「日米不平等協定の改訂」「辺野古・普天間基地の解放」等に期待し、西郷の失敗を繰り返さないように捲土重来を望む国民は、まだまだ多いと思う。

日本の政界に「政治と金」に潔白な政治家が居たとしても、このような政治課題が解決できないようでは国民のために役に立たない。そのような意味で政治家に求められる第一の資質は「国民生活第一」のための政治力そのものであり、清廉潔白を求めるのは二の次でよい。 政治と金の問題は企業団体献金等を禁止し、政治資金規正法を改正して献金と使途の抜け道を無くすことで解決すべきである。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
厚顔の美少年
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「風」を起こしたのは「小沢」である

2010-06-08 09:21:22 | 民主党政権
鳩山首相・小沢幹事長の辞任発表前日の6月1日に「 民主党は参議院で単独過半数を目指せ!」と題した記事で、民主党は参議院選の厳しさから鳩山・小沢のツートップが辞任するのではないかと予見し、「風を起こす」ことが必要と、投稿したが、予期した通りの展開となった。

ツートップが辞任して今日までの世論調査では民主党の支持率は奇跡的なV字型の回復を示し、それを裏付けるように、6月6日の横浜市議補選では民主党公認候補が、みんなの党、自民党公認候補をかなりの票差で破り当選したと報じられている。

http://www.asahi.com/politics/update/0606/TKY201006060197.html

しかこの風を起こしたのは誰か、メディアでは鳩山首相が小沢と差し違えたとか、道連れにしたと頓珍漢な報道がなされているが、自らも辞任と罷免覚悟で鳩山首相の首に鈴を付ける決心をした小沢幹事長であろう。

一般的に上位にある権力者が下位の者を更迭するのに差し違える必要はない、まして鳩山氏は議会第一党民主党の代表者で、日本の総理大臣でもあり、政治の世界では最高権力者である。下位にある小沢を更迭するには権力で「罷免」すれば済む話である。

メディアはここでも今回の政局を大きく動かした小沢の英断と功労を認めたがらず、やれ鳩山の決断だとか、菅の反小沢発言が民主党支持率のV字回復の要因となったなどと、ミーハー騙しの歪曲報道で世論を操作しているのである。そして今や反小沢の民主党議員までもがメディアの反小沢報道を利用し、載せられている姿は滑稽ですらある。

菅新首相に至っては、小沢幹事長が辞任してから、「小沢幹事長は当分おとなしく引っ込んでいて貰いたい」と、まるで自分が小沢を罷免したような言動である。誰が鳩山首相の首に鈴をつけたと思っているのであろうか。むしろ菅副総理はいつも首相官邸で首相の隣に座っており、鈴をつける機会は常にあったはずである。普天間の迷走と公約違反で内閣の支持率が低下しているのに、どうして引導を渡さなかったのであろうか。

鳩山首相は普天間問題で迷走した挙げ句、公約を破る決定をしたために辞任に追い込まれたが、この間菅副総理は普天間問題でどれだけ首相に助言をして来たのか、むしろ普天間問題を傍観してきた不作為責任は免れまい。本来鳩山首相と一蓮托生で辞任すべきが筋であるのに、今回の政局では何も手を汚さず、漁夫の利で民主党代表の椅子に座り、小沢批判をする生き様は姑息である。

その上、鳩山首相の辺野古回帰への公約違反の決定を助長した、米国従属派の岡田外相や前原国交相の支持を受けて民主党代表に就任し、早速日米共同声明を追認したが、民衆政治家を自他共に認める菅氏が、沖縄民衆の辺野古移設反対の意思を無視して米国に追随するとは情けない。菅氏を見損なったと思う国民も多いはずである。

今後菅首相は日米共同声明に唱った「代替施設の位置、配置、工法の検討を今年8月までに完了」をどのように実行するのか、その前に沖縄県や徳之島各町の議会や首長や住民を如何に説得するのか、諒解の取れていない机上の結論には米国も納得しないであろう。

菅首相は前首相が辞任に追い込まれた辺野古回帰の日米共同声明を無条件で追認した以上、仮に8月末の期限遵守に失敗すれば、米国の信用を再度失墜したと野党からは厳しく追及され、菅首相の立ち往生が予想される。まさに、自ら民意を無視した咎で十字架を背負いゴルゴダの丘を登り始めたようなものである。11月の民主党代表選までの選挙管理内閣と揶揄される真相はここにありそうである。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
厚顔の美少年
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菅政権樹立をどう読むか「一歩前進二歩後退」

2010-06-06 21:32:27 | 民主党政権
菅政権が成立した。わたしは昔からの菅ファンなので、まずは「おめでとう」を言わなければならない。ただ、菅首相が長期政権になるためには、多くの不安が残る。

わたしは、「政権交代」以前から、「民主党政権二段階革命論」を主張してきた。「政権交代」を行い、日本の既得権益層の存立基盤を破壊するところまでは、小沢一郎という稀代の破壊家(革命家)の力を最大限利用しなければならない。この破壊のプロセスが中途半端だと革命は必ず失敗する。そして、建設のプロセスに入ったとき、いわゆるヨーロッパ型社民主義的政権を樹立する。その思想的背景に日本国憲法の「平和主義」が大きな力を持つ。その建設プロセスのリーダーに菅直人を想定していた。

ところが、民主党政権に対する既得権益層の抵抗は激しく、革命の破壊プロセスが中途半端なまま、小沢一郎が幹事長を辞任した。報道で伝えられる菅内閣の中枢は、仙石・枝野をはじめごりごりの新自由主義者で占められている。これでは、「西欧型社民主義国家」ではなく、「米国型新自由主義国家」になりかねない。わたしが菅直人内閣の先行きに危惧を覚えるのは、この点である。

以下、少し分析してみる。

鳩山首相、小沢一郎幹事長は辞任。昨年以来執拗に続けられたメデイアによる民主党バッシングは大成功をおさめたかに見える。この戦略は、以下のヒトラー流大衆操作戦略そのままである。・・・・

「『広範な大衆に働きかけ、少数の論点に集中し、同一の事柄をたえずくり返し、反論し得ない主張になるまでテキストを確実に把握し、影響が広がることを望みながら辛抱強く忍耐すること』…ヒトラー著『わが闘争』(出典:宮田光雄著『ナチ・ドイツと言語』-岩波新書-)・・・。

・・ここで見られるのは、明らかに論理による説明よりも一般大衆の情緒的な感受性に訴える戦略。論点を黒白の図式(有罪か無罪かの択問形式設問)で単純化することが先ず重視される。次に、その単純な図式を断固とした口調(又は文章)で大胆に繰り返し断定することが優先され、具体的・客観的な証拠に基づく科学的論理は無視され、推論型の論理に巧みにすり替えられている。・・
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20100605

もし、菅政権が、このようなヒトラーばりのメデイア戦略(いわゆるB層戦略)に完全に依拠しているのなら、下手をすれば、菅政権はファッシズムの露払い政権になりかねない。

しかし、本当にそうだろうか。このように先の見えない錯綜した局面では、全ての予断を排して自分自身の目で見、自分自身の頭で考え、判断しなければ間違う。

(1)まず、鳩山政権はなぜ倒れたか。これは誰の目にも明らかだが、普天間基地移設問題で、県外・国外移設公約を実現できなかった事である。この結果、社民党が連立離脱をせざるを得なくなり、参議院選挙での選挙協力が得にくくなり、民主党候補者が危機感を覚えた。⇒日本メデイアは、巧みに「政治とカネ」問題にすり替えているが、海外メデイアは鳩山政権退陣は、普天間基地問題と報じている。中には、日本の親米メデイアと米国の圧力が原因と断じている報道もある。
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=42623

(2)この危機感を背景に小沢幹事長や輿石参議院議員会長が鳩山首相に退陣を迫った。当然だが、時の最高権力者に辞任を迫る以上、自分自身も辞職をするというのが常識。鳩山政局ではなく小沢政局だと言う事。

(3)では何故鳩山首相は、両院議員総会で「政治とカネ」の問題で、小沢幹事長にも辞職するように迫った、と公言したのか。考えられる事は以下の通り。

(4)①辞任の要因を普天間基地問題からそらすため②参議院選挙対策⇒民主党の支持率低迷の最大要因である「政治とカネ」問題を払拭する。⇒「出直し」イメージを作り出す③この結果、メデイアのネガテイブキャンペーンをそらす。

(5)この絵図を誰が書いたか。小沢以外考えられない。小沢自身は、辞職のタイミングを慎重に計っていた節がある。参議院選挙で大敗北を喫した後の辞任では影響力は残せない。となると、選挙前しかない。それも、最も効果的なタイミングとなると、鳩山首相が普天間でこけた後の今しかない。これが小沢側の事情だろう。鳩山首相側からすれば、小沢を道連れにすることで、普天間基地移設問題の大失政の傷を多少とも薄めることができる。

(6)そこで考え出されたのが、鳩山首相が小沢に鈴をつけ、一緒に辞任するというストーリー。小沢は自分を「悪」にすることにより、菅政権の道筋を開き、民主党政権の存続を図った。

(7)メデイアは、案の定、次期政権は、「小沢との距離感」が問題だと騒ぎ立てているが、これも小沢の計算のうちだろう。普通に考えればすぐ分かるが、小沢派は140名前後。民主党内の最大派閥。しかも、田中派以来の鉄の規律を信条とする集団。この最大派閥を敵に回して、政権運営などできるわけがない。小沢以外の誰が総裁になっても、小沢派との協力関係なしに政権運営などできない。現に当て馬の樽床候補者の得票数は129票。小沢派一新会が自主投票にしても、これだけの得票数を集めた。もし、小沢一郎本人が出馬して本気で選挙運動をしたら、こんな得票数になるはずがない。

(8)鳩山首相辞任の最大原因は、普天間問題。これを閣内で担当した大臣は、岡田外務大臣、北澤防衛大臣、前原沖縄担当大臣と平野官房長官。彼らは、鳩山内閣総辞職のA級戦犯。本来なら、鳩山首相とともに辞職するのが当然。まして、次期総裁について云々する資格はない。彼らが、菅直人支持に動くのは勝手だが、その理由に「政治とカネ」問題だけを言うのは、自らの政治的責任を感じていない証拠。

(9)菅内閣は、当面、小沢一郎との距離感を演出しなければ、民主党支持を取り戻せない。当然ながら、それは組閣にも出るだろう。しかし、小沢派との決定的な亀裂だけは避けなければならない。小沢派をあまり人事で冷遇する事は、民主党分裂の危機を招くことになる。政治の世界では【数は力=権力】。しかし、【権力】は使わないと錆びる。鳩山政権が露骨な権力使用をためらったばかりに、政権は瓦解した。政権末期のメデイアの鳩山バッシングを見れば、よく分かる。チンピラのお笑い芸人までもが、首相を小馬鹿にした言説を弄していた。下世話に言う「完全に舐められた」状況だった。小沢派はこの事をよく知っている。だから、あまりも小沢派を舐めた処遇をすれば、必ず反乱をおこす。下手をすれば、離党をする危険性がある。そうなれば、民主党政権は完全に瓦解する。「政権交代」の果実を得ぬ前に内部分裂する事だけは避けなければならない。

(10)小沢派以外の民主党連中は、大学のサークル・同好会のノリで政治を考えている。その為、権力闘争の凄まじさに耐えれない。小沢一郎は、自民党離党以来、既得権益側からの凄まじい攻撃を受けてきた。この攻撃から生き延びるためにはあらゆる手練手管をつかわなければ生き残れない。鳩山首相とのダブル辞任以降のメデイアの狂ったような小沢バッシングを見れば、彼の息の根を止めるまでこの攻撃は続くと考えざるを得ない。既得権益層から見れば、小沢一郎と言う男は、最も危険な男だと言う事である。

(11)菅直人首相は、とりあえず、既得権益層(官僚とメデイアのタッグが代表)の小沢排除路線に迎合する必要がある。いわゆるB層対策。これで参議院選挙をまず勝ち抜かなければならない。その為には、ある程度小沢排除人事を強行しなければならない。同時に、裏でしっかりと小沢とタッグを組んでおかねばならない。そうしなければ、たとえ参議院選挙で辛うじて勝利しても、9月の代表選挙では小沢一郎に追い落とされる。小沢派の強みは、民主党員の地方票、組織票(連合、小沢が切り崩したかっての自民党票など)、コアの小沢フアン(これはきわめて結束が高い)などを握っているところにある。代表選挙には浮動票はないと考えなければならない。

(12)上記の事を踏まえて、小沢派幹部の山岡国会対策院長は、NHKのインタビューで「選挙管理内閣」だとつい本音をもらしていた。田中真紀子も、TBSのニュースで、菅内閣を「暫定内閣・選挙管理内閣」だと断じていた。

(13)菅直人首相は、このような不安定な政権基盤に立っていることを認識しなければならない。綱渡りのような政権運営を強いられる事は間違いない。仙石・枝野・前原・野田・玄葉などの民主党内の対米追随派(ネオコンや新自由主義者)が浮かれまわっているようだが、彼らを選挙を勝つために利用するだけ利用して、切って捨てる冷酷さも必要になる。(できれば、分断して統治すればベスト)彼らと運命共同体になると、最後には鳩山由紀夫の運命が待っていると覚悟しなければならない。

(14)このように考えると、結局、菅直人首相に待っているのは、「進むも地獄、退くも地獄」の道。参議院選挙に負ければ辞任、勝利すれば、小沢派議員が増加。いずれに転んでも、反小沢の旗印だけでは政権運営はできない。この程度の政局観もないようでは、首相は務まらない。と言う事は、小沢派との裏での連携こそが、菅直人の生きる道。民主党政権内のネオコン派・新自由主義者(対米追従派)を駆逐し、真の意味での日本の自立を獲得するための「一歩前進、二歩後退」戦略ではないかと考えている。これがわたしの希望的観測でない事を菅内閣のために祈らずにはいられない。

「護憲+コラム」より
流水
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