老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

スカスカの中身と危険性だけが際立つ安倍外交!(NO2!)

2019-07-10 11:46:20 | 安全・外交
(2) 北方領土問題(プーチンに手玉に取られる安倍晋三)
   
北方領土問題に関して、維新の丸山議員の戦争発言は、大きな話題になった。そもそも、右翼イデオロギー丸出しの「社会主義国家ソ連」敵視認識で、問題が解決するはずがない。年齢が若いわりに、時代認識が全く古い。

現在は「ソ連」ではなく、「ロシア」である、という原点から考えなければならない。つまり、相手はソ連型社会主義ではなく、社会主義に多くの民主主義的要素(選挙など)を取り入れた独自の国家スタイルの国家だという認識から出発しなければ間違う。

同時に、ソ連邦解体後のロシアは、エリチン大統領の時代、アメリカの傀儡国家の様相を呈していた。ロシア国内には新自由主義の影響を受けた経済人(オルガルヒ)が多く存在し、社会主義的国家形態は捨てられつつあった。
このようなロシア内部からの解体を仕掛けたのが、ネオコン。彼らは、この結果米政界に大きな影響力を保持した。

プーチン大統領は、米国の傀儡国家的ロシア国内体制を、独立国家ロシアへと変貌させた。その意味ではプーチン大統領は、「愛国主義者」と言って良い。

その手法は、民主主義的影響を受けながら、かっての大ロシア主義的傾向を色濃く持った独特なもの。西側は、独裁主義者というワンパターンで批判しているが、彼はそんなありきたりの評価で割り切れるような人物ではない。

プーチン率いるロシアが、米国の傀儡国家状態から再独立を果たした時点から、ネオコンとの対立は決定的になった。

1992年に書かれたウォルフォウィッツドクトリンの目的は、米国一国支配の世界に作り上げる事。その為の最大の障害である社会主義国家ソ連邦を崩壊させ、ロシアを傀儡国家へと変貌させたのが、ネオコンの最大の勝利だった。これ以降、ネオコンは米国支配体制の内部で大きな影響力を保持している。

このネオコン流世界支配の目的の前に大きく立ちふさがったのがプーチン大統領。彼が米国から目の敵にされる理由である。
   
さらに丸山議員が馬鹿丸出しなのは、現在のロシアは、世界でも一、二を争う強大な軍事力を誇り、核を保有している国家だと言う事を考慮に入れていない点である。

※ロシア軍の現在と未来(スプートニック)
https://jp.sputniknews.com/infographics/201803024633798/

簡単に言えば、ロシアと事を構えるつもりなら、日本が消滅する事を覚悟しなけれならない。消滅するとは、比喩ではなく、文字通り日本や日本人がこの地球上から消滅する事を意味する。ロシアの核保有とはそういう事を意味している。米国が守ってくれるなどと言うのは幻想にすぎない。日本が消滅した後、報復をするかもしれないが、消滅した後に報復してもらっても何にもならない。簡単な理屈である。

これは、ロシアだけでなく、中国も米国もそうである。覇権国家とは、この恐ろしさを保有している国家だと認識しなければならない。お前さんはその覚悟があるのか、と言う話である。

では、安倍首相の北方領土返還の構図は何か。一言で言えば、【二島先行返還論】である。

従来の「四島返還論」から「二島返還論」への方針転換の裏には、鈴木宗男や佐藤優コンビの【二島先行返還論】の影響があったと考えるのが至当。
 
※二島返還論 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E5%B3%B6%E8%BF%94%E9%82%84%E8%AB%96
 
・・・2島先行返還論を主張していた政治家は鈴木宗男、官僚では外務省の東郷和彦、佐藤優らだった。彼らは小泉政権下の2002年に相次いで逮捕されたり外務省を追われた。その顛末を佐藤優氏が『国策捜査』という本に書いてベストセラーになったが、検察の捜査が国策捜査でなかったことなどこれまで一度もない。・・・
田中良紹 ―瘋癲老人世直し録― 
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakayoshitsugu/20181115-00104287/

要するに、彼らがロシア外交で推進してきた【二島先行返還論】が当時の外務省の主流(米国追従路線)と対立したからである。主流派の叫ぶ「四島一括返還論」を主張すればするほど、ロシアは簡単には応じられない。

と言う事は、ロシアの脅威は隠然として残る。そうなると、日本は米国の軍事力を当てにしなければならない。米国と日本の軍産複合体勢力(安保マフィア)にとって、きわめて都合の良い状況。だから、「四島一括返還論」を主張する。そうなれば、米ロ対立が続く限り、半永久的に北方領土は返還不可能になる。

では、何故、安倍首相は【二島先行返還論】に舵を切れたのか。理由は単純明快。トランプ大統領の許可が取れたから、と考えるのが至当。

以前にも書いたが、現在のトランプ政権は、トランプ大統領の言う事を聞く勢力とトランプ大統領の言う事を聞かない勢力の争いの上に立っている。

いわゆるネオコン勢力(軍産複合体=トランプ反対勢力)の論理からすれば、ロシアと日本が完全に国交回復し、シベリア開発などでロシアに協力する事は、ロシアの力を増大させることにつながり、きわめて不愉快。

ところが、トランプ大統領は、プーチン大統領を高く評価している。だから、軍産複合体の影響力の強い民主党系メディアなどから、「ロシアゲート疑惑」が囁かれる。その為、ロシアを利するかもしれない日ロの領土交渉での【二島先行返還論】にゴーサインを出したのだろう。

※米国民主党が主張するように、ロシア政府の介入で、クリントン候補の私用メール流出が起こったという主張は、あまり信用できない。彼らが、何故このような疑惑を持ち出すかと言えば、自分たちが他国に対して同様な事をやっていたから。敵も同じような事をするだろう、という憶測に基づいていると思われても仕方がない。

しかし、プーチン大統領はKGB出身者で法学部出身者。論理的にあらゆる可能性を検討し、安倍首相との交渉に臨んでいる。一言で言えば、裏の裏まで読みつくしていると言って良い。

プーチン大統領の言葉は、吟味され尽くしている。「ウラジミール」とプーチン大統領を呼んで、二人の親近感を強調する以外脳のない誰かさんとは大違いである。

ロシア専門家から言わせれば、実はこのような呼び方はロシアにはないそうだ。親近感を生み出す話ではなく、安倍首相の無知をさらしているともいえる。

彼は、安倍首相に領土交渉にかすかな希望を抱かせるために、何度も会談に応じ、シベリア開発などの協力を呼びかけ、日本との交渉を続けることを選んだ。

プーチン大統領は、北方領土問題を解決した首相として名を残したい安倍首相のレガシーつくりの野望をよく理解している。だから、時折彼の願望をくすぐり、「希望の灯」を消さないように、何度も安倍首相の会談に応じている。
 
同時に、日本と米国の条約(日米安保条約)に対する日本側の弱い立場をつつく高等戦術に出ている。北方領土を返還するのは良いが、米軍基地を建設しないと確約できるのか、と言うわけである。誰がどう見ても、米国のポチに過ぎない日本の弱い立場を見越した牽制球。安倍首相に「お前さん、米国の要求を断る事ができるのかね」というわけ。
 
それでいて、日本がシベリア開発などから手を引かれても困るので、日ロ「平和条約」先行論を持ち出し、交渉は継続させるというわけ。さすが、プロフェッショナル。【強か】という以外ない。「赤子の手をひねる」ような外交を展開している。

日本外交の致命的欠陥なのだが、インフォメーション(情報)とインテリジェンスとの区別が鮮明でない。インテリジェンスは、知恵、知性、理知、知能、諜報などと訳されるが、時には情報とも訳される。CIAが最も有名だが、日本語訳が中央情報局になっているのが間違い。実態は、【中央諜報局】と言った方が良い。

戦後日本は、戦争をしない、そのためには、軍隊を持たないという国是を掲げたため、国家として重要なインテリジェンス機能も失ってしまった。戦前の日本は、陸軍中野学校のような諜報員養成所を持っていた。

※陸軍中野学校 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B8%E8%BB%8D%E4%B8%AD%E9%87%8E%E5%AD%A6%E6
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さらに言えば、満州鉄道(略称満鉄)調査部というきわめて優秀な研究機関があった。きわめて実利的で、「白でも黒でも良い。ネズミを捕るのが良い猫」という理念で、人材確保を行った。天皇機関説などの学者攻撃などで日本国内に住みにくくなった研究者なども積極的に雇用した。(美濃部亮吉などもそう)戦後日本の再建の人材を多く輩出した。

※満鉄調査部 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E9%89%84%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E9%83%A8

さらに、東亜同文書院という学校があった。上海に設立された私立大学だったが、ここの大学には大旅行と呼ばれるユニークな「卒業旅行」があった。

・・・書院のもう1つの特徴は研究調査旅行、いわゆる「大旅行」である。学校の規定によれば、学生は卒業前に必ず中国各地へ散らばって調査旅行に出かけなければならない。通常は卒業1、2年前の夏休みに3ヶ月から半年、数人一組となって中国内地の各地や東南アジアまで回って見聞録や日記を書き、学校で学んだことと総合して報告する。旅行の後「調査報告書」を書き、それを卒業論文とした。この大旅行の伝統は第1期生から始まり日本の敗戦まで45年間途絶えることなく続いた。学生たちの旅行記は各期毎まとめて『大旅行誌』として印刷され、毎年刊行された。・・・

※東亜同文書院の目指したもの(卒業論文)
https://leo.aichi-u.ac.jp/~kagamisemi/repo/itou.html

この旅行記(見聞記)は、実に見事な調査研究であり、中国研究の進展に大きく寄与した。一種の諜報活動と言ってもよい。現実に、この大旅行中、中国当局に拘束された例もあるらしい。諜報活動の実践練習と言われても仕方のない要素があったようだ。東亜同文書院の卒業生が満鉄調査部などに就職したのも頷ける。

戦前には、この種のインテリジェンスと呼ぶべき組織や発想がきちんと存在していた。

武力で国を守らないと決意したのだから、逆にインテリジェンス(ありていに言えば、諜報を主体とする情報収集能力とその分析力など)を強化して、国家の生存を図らなければならなかった。旧満鉄調査部という模範があるのだから、そういう研究所や機関を作るべきだった。これこそが、武力を使わずに国を守るための最重要課題だった。

米国・ロシア・中国などは、山口組や稲川会のような大暴力団だと考えれば、理解できる。彼らは、圧倒的な力(子分・財力・武器弾薬)を保有しており、言う事を聞かない奴には、容赦なく暴力を振るう。トランプ大統領の言動を見れば、彼らの本質が良く理解できる。

このような暴力団に対抗するには、揺るがない理念と勇気と知恵と情報力と団結力(国連の場での信頼感)が必須の条件。平和外交とは、本来、そういうものである。

戦後、日本と言う国家は、そのような生き方を選択したはずである。平和憲法を維持するとは、他のどの国にもまして、情報収集能力(諜報能力⇒平和維持のための諜報)と毅然とした【理念=平和を希求する】が必要になる。その為には、多少の損失も我慢する【痩せ我慢】の精神が必要になる。

こう考えると、現在の安倍政権の外交姿勢がそれとは正反対の方向を向いている事は一目瞭然。

例えば、G20に出席したEUのトゥスク大統領は、大阪での会議の前に被爆地・長崎を訪問し、G20に参加する世界のリーダーに向けてこう演説した。

<国際社会は、強い者が容赦なく自らの都合を弱い者に押しつける場所であってはならない。また利己主義が連帯を上回る、また国家主義的な感情が常識を上回る場所であってはなりません。自らの利益だけではなく、何よりも平和で安全かつ公正な国際秩序に対して責任を負っていることを理解しなければならないのです>

G20を日本で開催するのだから、日本の首相はこのような明確な平和の理念と国際社会の在り方に対して、揺るがない信念を吐露すべきであり、それこそが日本を「平和」を真剣に希求する国家として世界に尊敬されるのだが、安倍首相にはそんな理念も勇気も何もない。

理念なき隷属外交は、国を崩壊させる。

(3)中国外交
 
では、中国外交はどうか。当初、安倍首相は、中国包囲網形成にしゃかりきになっていた。【世界を俯瞰する外交】などと大見えを切り、世界中を駆け巡った。そして、多くの国に、バラマキ(供与)をしてきた。

これは日本のためと言うより、米国支配層(軍産複合体)のためと言って良い。換言すれば、米国の世界戦略のために、日本国民の血税をばら撒いてきた。完全な軍産複合体主導の隷属外交。

本来、中国と言う国家は「中華主義」を国是にしており、「覇権国家」の本質を持っている。

歴史的に言えば、冊封体制(中国の歴代皇帝たちが自任した、称号・任命書・印章などの授受を媒介として、「天子」と近隣の諸国・諸民族の長が取り結ぶ名目的な君臣関係(宗属関係/「宗主国」と「朝貢国」の関係)を伴う、外交関係を規定する体制の一種。ただし、「世界覇権」国家というより、「地域覇権国家」の本質を持っている。)・・・・ウィキペディア・・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%8A%E5%B0%81%E4%BD%93%E5%88%B6

という形態を取っていた。※日本では、福岡県志賀島で発見された金印がその事を証明している。

これは「大陸国家」の本能ともいえる。大陸国家は、国境を接する異民族の国家と対立する場合が多く、いつ何時侵略されるか分からない。中国の古代国家が【万里の長城】建設に懸命になったのが象徴的。

だから、自国とその周辺国家を傘下に置けば、とりあえず安心できる。これが「地域覇権国家」である。近隣国家を全て侵略するわけにもいかない。だから、名目上とは言え、君臣関係を結べば、その危険性は大幅に除去される。

この発想は、海洋国家にはなかなか理解できない。海洋国家は、海を渡る。その行動範囲は、大陸国家の比ではない。隣の国家ではなく、はるか離れた民族や国家を侵略し、支配する。その場合、相手国の民度に応じた支配をするのが特徴。

スペインやポルトガルの略奪を主体にした中南米支配。インカ帝国を侵略したコルテスやピサロなどが象徴。

インドなどに見るイギリスの植民地支配(間接統治)の巧緻な方法。支配には、武力が欠かせないが、インドのような広大な国家を支配するためには、現地の部族を味方につけ、彼らを使って支配するやり口。

東インド会社の傭兵として雇われたグルカ兵が有名。
※グルカ兵 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%AB%E5%85%B5

米国は英国の統治方法を継承している。とはいえ、それは第二次大戦後、植民地支配が否定されたため、という理由が大きい。米国統治の特徴は、米国隷属を大切にする腐敗政権を支援し、多くの大衆の恨みを買う統治体制が多い。(例えば、中南米やベトナム。中東などもその傾向が大きい。戦後、米国統治が成功したのは日本だけ)

ただ、海洋国家の覇権主義には、正統性の論理がある。特に英国から飛び出し、新大陸で新たな国家を建設した米国は、建国当初から、【自由】の理念と《独立精神》が横溢していた。米国は独立当初から、「理念国家」であり、ある意味「理念過剰国家」と言っても過言ではなかった。

米国が覇権国家でない時代は、この種の理念型国家は、貴重な存在だった。「理念」というものは、ある種の「正義」の表明である。米国流【自由】の理念は、間違いなく米国の【正義】に他ならなかった。

米国の特徴は、この【自由の理念】の輸出、宣伝、時には【押し付け】や「強制」を行うところにある。

米国を建国したピルグリム・ファーザーズたちは清教徒。英国本国でのアングリカン・チャーチの弾圧に抗して、清教徒革命を成し遂げ、さらに米国に新天地を求めた人々なので、きわめて厳格で、純粋な信仰心の持ち主。と同時に彼らの厳しい信仰心は、彼ら以外の他者に対する排除も厳しいものになった。ネイティブ・インディアンの対する排除はその事を象徴している。

現在のトランプ政権支持層の「キリスト教福音派」=「キリスト教原理主義」の排他主義的傾向にその名残が見られる。米国が理念型国家に傾斜しがちなのは、米国の建国の歴史に起因していると思える。

この点が、中国とは決定的に違う。米国流の理念型国家を単純に遂行するには、中国には歴史の厚みと長さがありすぎる。

人の数だけ「正義」があり、人の顔だけ「理念」がある。どんな正義もどんな理念も相対化してしまう長い歴史を持っており、人々は、その事をよく認識している。だから、中国は単純な「世界覇権国家」は目指さない。

中国共産党政府は、ソ連流の社会主義理念に簡単に従わなかった(中ソ論争)。50以上に及ぶ民族と多様な言語を持つ人々が暮らす国家を統御するのは、一つの理念だけで統御できるほど単純ではない。

だから、中国共産党を理論だけで理解するのは正しくない。そうではなく、具体的に人を支配する統御力を持った「実務型利益集団」と考えた方が良い。日常生活に根付いた利益集団であり、社会生活の隅々までその影響力はいきわたっている。

だから、常に派閥(郷党)があり、具体的な人のつながりが背後にある。顔の見える権力集団が中国共産党。そのトップが集まっているのが、中南海である。中国共産党は「法治」の集団ではなく、「人治」の集団だと考えてよい。

※中ソ論争 コトバンク 
https://kotobank.jp/word/%E4%B8%AD%E3%82%BD%E8%AB%96%E4%BA%89-97386
※中南海 ウィキペディア 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%8D%97%E6%B5%B7

こういう集団は強い。日本の評論家などがよく中国共産党批判をしているが、実は、中国共産党の構造は、日本の隅々まで張り巡らされた自民党支配の利権構造と類似したものだ、と言う事を忘れている。

日本でもこの利権構造がなかなかなくならないのに、もっともっと緊密に構築されている中国の利権構造がそんなに簡単に崩壊するはずがない。

だから中国相手の外交を行う時は、共産党政府相手でも多くの筋をつかむ必要がある。とにかく、人脈を複数作り、様々なルートから多くの情報を収集し、あの手この手の交渉を行う必要がある。もちろん、一番重要なのは、現在なら習近平政権中枢との交渉である事は論を待たない。

ところが、日本の中国外交も、外務省内部の派閥争いでいわゆる「チャイナスクール」と呼ばれた中国専門家外交集団が敗れ、本当の意味での専門家が少なくなっている。伊藤忠の社長だった丹羽宇一郎氏などが大使になって就任していたが、彼もイデオロギーでしか外交を判断できない右派連中により更迭された。

※外務省 チャイナスクールの功罪
https://matome.naver.jp/odai/2138873780309501901

日本と中国の外交関係の紆余曲折は、世界情勢に翻弄される場合が多い。かっての東西冷戦下では、外交関係を結ぶこと自体が難しかった。田中政権下での外交関係樹立以来、その時々の世界情勢に影響される場合が多かった。

特に安倍政権樹立以来、「中国敵視政策」が行われ、両国の関係はきわめて悪かった。

しかし、米中貿易戦争が勃発。中国の姿勢の変化が見られる。米国の圧力に耐えるためには、第二の貿易相手国である日本との関係を良好にしておく必要がある。

日本にしても、中国との貿易は日本の生命線と言っても過言ではない。中国市場抜きに日本企業の明日はない。右派連中のような好き嫌いの感情だけで中国排除を叫んでいては、日本の明日はない。13億とも15億ともいわれる巨大市場で国民の消費意欲も旺盛。この市場に活路を見出す以外に日本の未来はない。

この視点に立てば、中国との外交関係を「中国包囲網」などという中国封じ込め政策などに加担する事は、日本の自殺行為になる。

今回の米中貿易戦争で日中貿易に大きな影響が出ているのを冷静に観察すれば、日本の立ち位置に対するきちんとした議論が出てしかるべきである。

① 日本の経済を米中両国に従属する経済形態ではなく、日本独自の技術と価値を生み出せる新たな技術立国を目指さなければならない。⇒自立思想の確立

② 米中双方のいずれかに与するのではなく、独自のスタンスを保持しなければ、受ける影響が大きすぎる。

③ ②を実現するためには、日本独自の外交を展開しなければならない。⇒トランプ大統領が北朝鮮との関係を劇的に変化させているのを肯定的にとらえなければならない⇒朝鮮半島の冷戦情況が終わる、と言う事は、北東アジアの緊張緩和が始まると言う事を意味する⇒この文脈でトランプ大統領の日米安全保障条約の破棄を積極的に考えるべき⇒米国の北東アジアにおけるプレゼンスが後退する⇒日本の真の意味での独立を真剣に考えるべき

④ ③の視点に立てば、米国とも中国とも等距離の外交を展開するためには、日本の真の意味での独立=戦後体制の脱却が不可欠。その為には、日本独自の経済体制、生産技術の開発が不可欠。そうしないと、米中双方から袖を引いてもらう事が出来なくなる。

⑤ つまり、日本の進むべき道として、米中のような大国路線(覇権国家)を捨てる必要がある。そうではなくて、徹底した平和外交路線を追求し、経済、文化、科学などに特化した日本独自の価値観を生み出す社会体制を構築しなければならない。
  ⇒力ではなく、平和国家としての思想・文化の担い手として尊敬される国家=平和国家・文化国家として存在感を持った国家を目指すべき

⑥ 軍事的圧力を感ぜず、それでいて無視できない経済力と科学技術、文化的価値を擁する国として生きていくことが、21世紀日本の目指すべき国の姿であろう。

⑦ この視点で外交関係を構築すれば、米中双方に胸を張って堂々と正論を述べる事ができる。何故なら、どちらの国家にも警戒心を与えない国家としてのスタンスを保持しているから、両国ともその意見を警戒せずに聞けるからである。

⑧ 堂々と正論を述べるスタンスの国家建設を目指せば、国民の矜持(誇り)が生まれ、あらゆる国際問題での日本のプレゼンスが拡大する可能性ができる。

バカのように軍事大国を目指せば目指すほど、膨大な軍事予算が必要になる。そうなると、社会保障、教育費、研究費など社会の基底部分を支える予算が希薄になり、国家の力も社会の力も落ち込む。

何時の時代でも国や社会を支える力は、【人】の力である。特に日本は資源が少ない国家。このような国家では、武田信玄ではないが、「人は城、人は石垣」という思想が何より重要。「人」を大切にしない社会や国家は必ず滅びる。この冷厳な真実を肝に据えなければならない。

外交と言うものは、タクティクスばかりではなく、このように国家を支える理念と国際関係の中での主張の整合性が重要になる。その場しのぎの場当たり的な外交をしていては、国益を存するばかりだと認識しなければならない。

「護憲+BBS」「政権ウォッチング」より
流水

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