老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

戦争の被害がもっとも少なかった一家の昭和20年頃(3)

2008-09-25 11:12:30 | 戦争・平和
(2)で書いた母校の後輩が作った冊子の中に、憲兵のことを書いた手記があった。

一人は作業中に教師によびだされて憲兵を紹介され、協力するように言われる。憲兵は彼女を別室に連れて行き、工場内の戦争反対者を告発しろと申し渡す。

周囲の生徒たちにはいなかったが、同じ部屋で働いていた大人たちの中には、「この戦争はもう負けだ」などといっている人達もいたが、知らないと言ってもしつこくくいさがってくる。

考えて別の話を喋りまくったら、わざわざ家までやってきて、娘に協力させろと母親にいう。母は、「親類に憲兵少将(実はすでに亡くなっていた)がいるから相談する」と言ったら、それからはいってこなかったとか。

なぜ私にこんなことをさせたのかと先生を多いに恨んだが、今考えてみるとカトリックの学校はとかく異端視されていたし、当時の憲兵に言いつけられれば先生はとても断れなかったのだろう、とこの筆者は書いている。

もう一人は、憲兵が書かせたとは知らずに書かされた感想文に、通勤の列車の中で「もう日本は負けるなあ」と話しているのを聞いて、そういうことは言ってほしくないといったことを書いた。

すると憲兵に呼び出され、誰が言ったのか教えろと迫られたという。応えないでいると何日も憲兵に呼び出されて同じ質問をされ、仕舞いにはいつも一緒に通っている友達まで呼び出されて大変迷惑をかけてしまった、また、家の近所にもそういうことを言う人はいないかと問いかけたとも。この筆者は、その後のことは書いていない。

この体験をしたのは14歳くらいの時で、書いているのは終戦後50年以上たっている、つまり60歳を超えている、ということを頭に入れて読んでいただきたいと思う。

しかし、当時は、労働運動も法的に認められていなかった、つまり牢屋入り覚悟でなければできなかったし、マルクスの資本論が本棚にあっただけでも捕まったという時代だが、まさか「日本が負ける」といった言葉で、勤労動員の14歳くらいの少女に憲兵がそういう対応をしたとは知らなかった。実際に、たとえばその工場で、その憲兵が捕まえた人があるのかどうかは知るよしもない。

憲兵と特高。まさに「物言えば唇寒い」時代であった。

「護憲+BBS」「戦争体験者の証言」より
松林
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麻生総裁の景気対策にわけあり

2008-09-25 07:59:14 | 自民党政治
自民党総裁選挙で地方県連の票は麻生氏がほぼ独占した。氏が言うには、昨年福田氏との総裁選挙に破れてから、北は北海道から南は沖縄まで地方格差や地方経済の疲弊した状況を聞いて回ったらしい。即ち民主党小沢代表の参議院選挙前の地方行脚の真似をして、総裁選で地方の県連票を一網打尽にした形である。

一方小泉改革の継承を唱えた小池候補には地方票は0票と厳しかった。やはり小泉改革が地方の格差と疲弊を生んだとの批判であろう。麻生氏が目にした地方の殺風景なシャター通りは、自民党小泉政権が造った人災である。しかし、その責任は小泉内閣のメンバーであった麻生氏にもある。

麻生氏が総裁に就任してから、あるメディアは麻生氏の地元福岡県飯塚市に入り、市民に総裁誕生の感想を聞いていたが、その反応は意外にも冷めていた。その映像には飯塚市のシャッター通りが映し出されていたが、それとは対照的に広大な麻生氏の生家とあちこちに立つ麻生企業グループの看板も映されていて、商店街は枯れても麻生グループは不滅のように見えた。

因みにウィキペディアによれば、麻生グループの売上高 は単独で247億円、連結で1,450億円(2006年3月期)である。果たしてこのような恵まれた実業界出身で、祖父の吉田茂の真似をして葉巻を吸うブルジョア政治家に、庶民の生活感覚が理解できるのであろうか 。マンガ好きだからといって若者は騙されるなと云いたい。

さて、日本ではここ3ヶ月間で原油は高騰し、米国発の世界同時不況の陰も発生し、リーマンブラザーズの破綻による株価の暴落である。企業にも先行きの不安と暗雲がたれ込めはじめ、麻生企業グループも例外ではないであろう。そのような中で降って湧いた自民党総裁選であり、麻生氏がここぞとばかりに唱える「景気対策最優先」のわけが見えてくる。即ち小泉改革のツケによる地方の格差と米国発の不景気対策の一石二鳥を狙った政策である。

しかし麻生氏の景気対策は従来の自民党の政官業のための対策の域をでず、加えて我田引水の衣がチラチラ見えて、庶民へはおこぼれすら回ってこないであろう。庶民への恩恵は小泉改革を白紙還元して、民主党はじめ野党が唱える地方分権と地方への予算の移譲しかない。

余談であるが、かって佐藤栄作氏と自民党総裁を争った藤山愛一郎氏も実業家出身でバックに藤山コンツエルンという麻生グループとは比較にならない巨大な企業グループを抱えていたが、氏は清廉潔白で殆どの私財を政治につぎ込み、絹のハンカチを雑巾にしたと云われ、最後の井戸塀政治家とも云われた。果たして麻生氏にそのような真似ができるであろうか。

「護憲+BBS」「自民党政治を検証する」より
厚顔の美少年
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