昨日、吉祥寺ある「吉祥寺シアター」という劇場で、平田オリザ作・演出のお芝居「眠れない夜なんてない」を観て来ました。
http://www.enjoytokyo.jp/OD004Detail.html?EVENT_ID=135431
小劇場公演なので、若者が多いのかなーと思っておりましたが、客席は半分以上は中高年の方々で占められておりました。
劇場の入り口を入って行くと、雛壇のように並んだ客席に向かって舞台はカーブを描いています。幕もなく、照明も暗くならず、客席のざわめきの中で舞台に登場している役者がセリフを喋り始めるという形で、芝居は始まりました。
私は前から4番目の席だったのですが、最初は遅れて入って来た客や、既に上演されているのに気づかずの会話などが気になりましたが、やがてそのような音も途絶え舞台に集中することができました。
内容はマレーシアのリゾート地(架空の)が舞台で、定年退職やその他の事情でリタイヤした人達が暮らすホテルを兼ねたコテージのサロンでの日常風景が中心となっています。
その場所に集う様々な「事情」を抱えた人達。明るい南国の舞台設定や綺麗な小道具の中にあるどうしょうもない「暗さ」。「この場所で生きるのではなく、死んで行く事を選んだ人達」の諦めとも、決意ともつかない思いが、それぞれの会話の中に散りばめられています。
日本を離れても追いかけてくる「日本という国の閉塞感」と、しかし日本を想う気持ちは懐かしさなどという言葉で表現出来ないほどチリチリと心に痛い。
「悪い病気」を宣告され、この国で治療を受けここで死ぬ事を決意した男性。過去の追いかけて来る「日本」から逃れようとしてここへ来たのに、それでも「友だち」という言葉で追いかけてきた旧知の人に戸惑い、「絶対ここには住まわせない」と口走る女性。過去の「ひきこもり」から日本を降りてこの地へ来た若者。
みんな「そとこもり」という状況の中で、老人達は美味しい三食、レジャー施設の整備された快適な環境でもなを、「閉塞感」に苛まれている。日本の国民年金だけで、医療費、食費も切り詰めて生きている高齢者の人達にとっては、遠い天国みたいな世界だろうと思いました。
日本の貧困層の人達からみれば恵まれた贅沢な悩みと写るかも知れないですね。しかし慣れない異国で「死んでいくこと」を決意した人達「帰りたい、帰れない」思いは又もの悲しいものがあるのかも知れないですね。
劇場に併殺されたカフェでお昼を食べようと思ったのですが、余り人が入っていなかったのと、オープンになった席で食べていらした平田オリザさんのテーブルのお皿の山盛りにされたスパゲティが、余り美味しそうでなかったので止めました。(本当は美味しいのかも知れないけれど。)
上演が終わって劇場の入り口に役者さん達が顔を見せて、テレビに出ている中年の男性も、関係者かファンの方々と話をしていました。私が帰ろうと外に出たら「元ひきこもり」の青年の役を演じた若い役者さんが向こうから歩いてきました。小劇場公演というのは観客と演じる人の距離が近くて、なかなか良いものですね。
「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽」より
パンドラ
http://www.enjoytokyo.jp/OD004Detail.html?EVENT_ID=135431
小劇場公演なので、若者が多いのかなーと思っておりましたが、客席は半分以上は中高年の方々で占められておりました。
劇場の入り口を入って行くと、雛壇のように並んだ客席に向かって舞台はカーブを描いています。幕もなく、照明も暗くならず、客席のざわめきの中で舞台に登場している役者がセリフを喋り始めるという形で、芝居は始まりました。
私は前から4番目の席だったのですが、最初は遅れて入って来た客や、既に上演されているのに気づかずの会話などが気になりましたが、やがてそのような音も途絶え舞台に集中することができました。
内容はマレーシアのリゾート地(架空の)が舞台で、定年退職やその他の事情でリタイヤした人達が暮らすホテルを兼ねたコテージのサロンでの日常風景が中心となっています。
その場所に集う様々な「事情」を抱えた人達。明るい南国の舞台設定や綺麗な小道具の中にあるどうしょうもない「暗さ」。「この場所で生きるのではなく、死んで行く事を選んだ人達」の諦めとも、決意ともつかない思いが、それぞれの会話の中に散りばめられています。
日本を離れても追いかけてくる「日本という国の閉塞感」と、しかし日本を想う気持ちは懐かしさなどという言葉で表現出来ないほどチリチリと心に痛い。
「悪い病気」を宣告され、この国で治療を受けここで死ぬ事を決意した男性。過去の追いかけて来る「日本」から逃れようとしてここへ来たのに、それでも「友だち」という言葉で追いかけてきた旧知の人に戸惑い、「絶対ここには住まわせない」と口走る女性。過去の「ひきこもり」から日本を降りてこの地へ来た若者。
みんな「そとこもり」という状況の中で、老人達は美味しい三食、レジャー施設の整備された快適な環境でもなを、「閉塞感」に苛まれている。日本の国民年金だけで、医療費、食費も切り詰めて生きている高齢者の人達にとっては、遠い天国みたいな世界だろうと思いました。
日本の貧困層の人達からみれば恵まれた贅沢な悩みと写るかも知れないですね。しかし慣れない異国で「死んでいくこと」を決意した人達「帰りたい、帰れない」思いは又もの悲しいものがあるのかも知れないですね。
劇場に併殺されたカフェでお昼を食べようと思ったのですが、余り人が入っていなかったのと、オープンになった席で食べていらした平田オリザさんのテーブルのお皿の山盛りにされたスパゲティが、余り美味しそうでなかったので止めました。(本当は美味しいのかも知れないけれど。)
上演が終わって劇場の入り口に役者さん達が顔を見せて、テレビに出ている中年の男性も、関係者かファンの方々と話をしていました。私が帰ろうと外に出たら「元ひきこもり」の青年の役を演じた若い役者さんが向こうから歩いてきました。小劇場公演というのは観客と演じる人の距離が近くて、なかなか良いものですね。
「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽」より
パンドラ