老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

二つの裁判、自衛隊の家族に安堵をもたらす判決は?

2008-04-19 21:00:43 | 憲法
去る4月11日、最高裁第二小法廷は、立川市の自衛隊官舎へのビラ配布事件の判決で東京高裁の住宅侵入罪での有罪判決を認め、上告を棄却した。そして6日後の4月17日に、名古屋高裁で自衛隊のイラク派兵は「憲法違反」との判決が下された。

仮にこの判決日が逆であったならば、最高裁にも何らかの影響を与えたのではないかと、悔やまれる。立川市の自衛隊官舎へビラを配布した人たちのビラには「自衛官・ご家族の皆さんへ/自衛隊のイラク派兵反対!/いっしょに考え、反対の声をあげよう!」と書かれ、その思いは自衛隊のイラク派兵反対の名古屋高裁原告団の「自衛隊のイラク派兵は憲法違反につき反対」と、根は繋がっているからである。

しかし最高裁第二小法廷は、自衛隊のイラク派兵は合憲とも違憲とも触れず、「官舎の管理者の意思に反して立ち入れば、住民の私生活の平穏を侵害する」とのみ指摘し、集合住宅でのビラ配りを住居侵入罪に問うことは、憲法が保証する「表現の自由」に反しないと、木で鼻を括るような判決を言い渡したのである。

さてそこで問題なのは、立川の自衛隊官舎に住む自衛隊のご家族にとって、名古屋高裁の「自衛隊のイラク派遣は憲法違反」との判決と、官舎へのビラ配りを「住宅侵入罪」と判旨した最高裁判決の、どちらが安堵と平穏をもたらすであろうかと言うことである。

政府与党の憲法改正論者は、自衛隊員やその家族・肉親が海外派遣を積極的に希望し、了解がとれているかの如く、当然のように自衛隊の海外派遣を押し進めている。また公明党も戦前仏教界が信徒の出征を積極的に支援したかのごとき姿勢である。しかし、それは憲法9条に照らし明らかに間違いであり、自衛隊のご家族・肉親の感情とも違うはずである。憲法9条があるから海外の戦闘地域に夫が或いは息子が派遣されるはずはない、というのが、自衛隊のご家族・肉親の偽ざる感情ではないだろうか。

「自衛隊のイラク派遣は憲法違反」との名古屋高裁の判決によって、最高裁が判旨した「住民の私生活の平穏」、即ち自衛隊家族の私生活の平穏が真に守れる時が来るのではないか。自衛隊の家族にとって、真の平穏とは憲法9条そのものであろうと思う次第である。

「護憲+BBS」「裁判・司法行政ウォッチング」より
厚顔の美少年
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名古屋高裁判決から政治・社会を考える

2008-04-19 17:27:09 | 憲法
http://www.amakiblog.com/archives/2008/04/18/#000826
天木直人のブログ:下された正義ー名古屋自衛隊イラク派兵違憲訴訟の判決と真の立役者

天木氏は原告の1人、当事者でもあるから、ここで紹介させて頂いても問題はなかろう。が、論は少々脱線することを、ご了解ください。

>次に、私が注目したのは、判決文の周到さである。すなわち判決文は、たとえ政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、自衛隊の活動の一部、つまり航空自衛隊のバグダッド空港への多国籍軍の兵員輸送活動は、イラク特措法にも、憲法9条にも違反している、と断じたことである。
 
●同感です。

>小泉元首相の「どこが戦闘地域か聞かれてもわからない」とか「自衛隊の派遣されるところが非戦闘地域だ」などというふざけた答弁を許してきたのは誰だったのか。そんな首相に好き放題をさせ、政府の違憲行動を阻止できなかった責任は護憲政治家、政党にこそある。
 
●ここは、もっと別の角度から検討できるのではないかと思います。それは、戦後初めて現出した「ねじれ国会」で現われている現在の事態をみれば分ると思います。確かに“機能不全”とされるような法律案がトコロテン式に続々と一丁上りする戦後政治は停滞していますが、これまでの戦後政治は、ところでなんだったのでしょうか?
 
それは、(無原則な)多数決的民主主義ではなかったかと私には思われます。(無原則な)とは、日本国憲法が是とする「人権尊重・平和主義・国民主権」を蔑ろにする政治・政策・風土が醸成・維持され、そして議会運営さえも、事実に基き議論し、議論の末により良き結論を得ようとする民主主義本来を失ったまま、現在に至ったのではないでしょうか。
 
田中元首相は『数は力』と言っていたそうですが、衆参両院で多数を占めていた戦後政治では、結論は国会提出の時点で大方は決まってしまっていた。国会論戦は、(与党を中心とする)消化試合のようなものであった。

残念ながら、国会の外でも同様に、国会を映すがごとく、事実に基き議論してより良き結論に至ろうとする民主主義は、行われてこなかった。圧力団体や後援会等々が跋扈し、利権(利益)を求める族議員政治・政官業のトライアングル(強固な癒着)或いは(無法)談合社会が、ずっとあった。
 
主権者こそ、国民・有権者こそ、これを変えなければいけないと思います。それには、次の機会に「ねじれ」を一旦正すことです。無論、衆議院側をです。人権尊重思想もない、民主主義も行われない、日本国憲法も行われまいままでは、国会も変わりません。

>最後に私が強調したいことは、終結した名古屋イラク派兵違憲訴訟の真の立役者は、この判決を下した青山邦夫名古屋高裁裁判長であり、その裁判長をささえた二人の裁判官であるという事である。

>青山裁判長については、大学の教授に就任するために定年を2ヶ月残して3月31日付で依願退職しているから、このような判決が書けたのだと言う向きがある。
 
●そう、裁判長ばかりにマスコミは焦点を当てているが、この法廷(裁判所)は、3人の合議制によるもの。他の2人の裁判官にとっても重大な覚悟を強いられた筈。青山裁判長が、そのような身の振り方を用意していたとしても、ホッとすることはあれ、そのような非難はあたらないと思う。
 
しかし、それにしても、公務員が日本国憲法を尊重しようと行動する時、かような妙な「生き死にをかける」ような緊張に見舞われる、今とはどんな社会であるか、考えさせられる。絶対に、変えなければならない。改善しなければならない。

政府や与党、現在(まで)の国会には無理である。その一部に期待しても詮無い事であった。唯、野党には、引き続き国民に向かって、民主主義への思いを発信し続けてほしい。国会(勢力もあり方も)を変えるためである。

「護憲+BBS」「裁判・司法行政ウォッチング」より
蔵龍隠士
コメント (1)
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