デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



「暴君」の異名で知られる皇帝ネロの、自殺する直前の最後の詠嘆は
「寝ろ。」
だった、というのは冗談として、長編小説を読んでいると、昔の偉人や政治家の箴言や名言が引用されていたりする。
以前は、名言集などを見開いて何でもいいから覚えこみ、人との会話の中で当意即妙を気取る風に、的外れな引用をかましていたことがあったが、小説を読むようになってからは、バックグラウンドが存在してこその名言なのだなと思うようになったかも。
『ジャン=クリストフ』にも目に留まる多くの名言が登場するが、登場人物の生涯を的確にそれでいてさらりと流すように表現するときに用いられていて、かえって心に残るものがある。ネロの詠嘆「予の死はなんたる偉大な芸術家の喪失であることか」も、作品に登場する芸術面で苦い人生送ってきた人物の描写に、添えられていて、最初は意味がわからなかったが、時間が経つとじわりと効いてくる。
もちろん『ジャン=クリストフ』自体も、ロマン・ロラン自身の名言がたくさん盛り込まれているのだが、全部は紹介しきれない。ただ、今日読んだところで、最も印象深かった言葉を一つ紹介したい。

――それというのも、われわれの愛する死者たちへわれわれを近づけるもっとも確かな道は、われわれが死ぬことではなしに、われわれが生きることだからである。死者たちはわれわれの生によって生き、われわれの死によって死ぬ。

一種の逆説か?と思ってしまったが、ごく当然のことなんだけど、深いなぁとしみじみと思った。17世紀の音楽を現代の演奏家が演奏し、それを多くの人が聴くということ、そのことなのだ。逆に言えば、人が音楽を聴かないと、図書館の地下の書庫に封印されてしまうがごとく、誰が作曲したかすら埋もれわからなくなるのだ。それは死者の死なのだ。この考え方に目からウロコのような気持ちになった。

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