デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



慶州での宿

宿への地図をスマホで見ながら、それらしき建物を探していると、建物の出入口横の喫煙スペースで煙草を吸っていた若者3人から声をかけられた。
こういった名前のゲストハウスを探していると言ったら、そのゲストハウスのスタッフだった(笑)。
さっそく中に案内され、チェックインはスムーズに済んだが、支払いにCCが使えないという事態に見舞われた。他のカードは持っていないし仕方ないので現金で2泊分34,000ウォンを支払ったが、朝の扶余での自動券売機で使えたのにゲストハウスで使えないってどういうこと?と思った。そして想定外な形で現金が減るのは正直困った、ひょっとして旅行中にCCがどこの店でも使えなくなってたらどうしよう、などとネガティブな考えが頭の中に湧いてきた。
何はともあれベッドのあるドミトリーの部屋までスタッフが明るい調子で施設内のルールを分かりやすい英語で説明しながら案内してくれた。部屋には若い男性の先客が居たが、なんと日本人の個人旅行者だった。
その方(以下、Yさん)は最初に挨拶してすぐに馬が合うというか、荷物を整理しながらではあったが関西のことをいろいろと、それも地名を出し合って適当な相槌を打つのではなく、関西人同士ならばツーカーのような、私の日常生活とかかわりのある場所など、細かくマニアックな込み入った話まで延々と談笑することのできる方だった!日本人の個人旅行者とドミトリーで出会うこと自体がほとんどないというYさんの経験から、ツアーを利用する日本人の外国旅行スタイルの傾向の話しに花が咲いたりもした。
今回の私の旅が衝動的で慌しく、初日と二日目で移動ばかりしている愚かしいプランであることも自嘲と自戒をこめて語るのを聞いてもらったりして、一気に心がほぐれた。ついでにチェックインの際のCC支払いできなかったことで、帰国予定日までCCが使えなくなっていたらどうしようなどといった不安までも聞いてもらっているうちに、いざとなれば宿で日本円を替えれるかどうか訊いたら良いし、もし無理であってもいずれにしろ月曜になれば銀行は開くのでそれまでうまくやり過ごしたら良いことなど自分で考えが整理でき、だんだん気持ちがポジティブな方向になっていった。それにゲストハウスでCCが使えなかっただけで、他の店で試しもしないのに決め付けるのはまだ早いと自分に言い聞かせることができた。
その際、Yさんから教わったのは現金とCCだけでなく第三の矢として外国で使えるデビットカードも出発前に作っておくことだった。
Yさんはソウルおよびその近郊の水原華城、南漢山城道立公園や安東河回村などを経て慶州に着き、明日釜山へ発つ予定とのことだった。また、ゲストハウスの近くに夕食を食べれる店やコンビニは無いか訊くと、YさんはPARIS BAGUETTEというパン屋があったので、そこでサラダを買ってきたからそれを夕食にするという。
私は韓国に入ってから濃い味のコンビニ飯しか食べていなかった。私もサラダが食べたくなり、店の場所を教えてもらって外に出た。


あった!PARIS BAGUETTE

ゲストハウスから200mくらい東にその店はあった。サラダとドレッシングで7,800ウォンだったが、CC払いが普通にできた! カードが使えなくなったのでは?という不安は一気に解消した。

ゲストハウスに戻ると、スタッフもおしゃべりに興じているダイニングスペースで、Yさんがサラダを開封しようとしていた。私も隣に座ってサラダの夕食を摂ることした。
二日目の夜にして、ようやく寂しくなくかつ落ち着いた食事が摂れたわけだが、Yさんと二人して同じ店のサラダを食べていると、スタッフから「ベジタリアンなのか?」と真剣に訊かれた(笑)。よりによって二人の日本人が揃ってサラダを食ってるし、そりゃちょっと奇異に映るわな。
ワイワイ騒いでいると、中米系の若い女性がにこやかに我々に挨拶しに来た。するとスタッフの一人が「あなた、チェックインの際パスポートを見せてくれてから、レセプションに置き忘れていたよ」とサッと彼女にパスポートを返した。彼女は焦る様子も無くニコニコして感謝していて、本当に置き忘れていたことを忘れていたようだった。いやぁ、良かったぁと、私の方が胸から手をなでおろしたが、是非はともかく彼女の強心臓ぶりがうらやましかった。
引き続きスタッフたちと彼らの友人?も同席し、お茶を飲みながら韓国語と日本語と英語が混じったおしゃべりをして非常に楽しかった。彼らの中には日本語を学んでいる青年もいて、何度か日本に滞在し福岡から広島・大阪・京都・奈良などの観光地を歩き、食で舌鼓を打ってとても楽しんできた、また行きたい、と言って素敵な笑顔を見せてくれたりした時、本当に韓国は日本と近いのだと初めて実感した。
Yさんが京都や奈良の伝統都市について英語で語り、彼らが日本語で返事してくれたりするうちに、テーブルに置いてあった柿をきっかけに、Yさんが俳句の
「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」
の意味や句が醸し出す雰囲気を解説し始めたりして大いに会話が弾んだ。スタッフによる日本でのタコ焼きやラーメンの更なる話しを受けて、私が広島のお好み焼きでベースが麺になっていることに触れると、彼は広島風お好み焼きを食べた時の美味しそうな思い出話を始めた。それを聞いているこっちが涎出そうになった。

おっ!?

Yさんの旅程をさらに詳しくスマホの画像を見せてもらいながら聞いたり、慶州でのおすすめの場所を教えてもらったりしていると、ゲストハウスで飼われているネコが長椅子に乗って来た。名前が「ピン子」だと聞いて、大笑いしてしまった。





ピン子、なんと、Yさんが語りかけることに返事するのだ。「えっ?返事している?」と驚いてしまった(笑)。


PINKO

首輪に「PINKO」とあるし名前はそれで間違いない。PINKOの由来については、はっきりと覚えていないのだが、韓国の国花か、「핑크(ピンク)と꽃(花)」を合わせたネーミングだったような気がする。だが、茶トラとのギャップ狙いだったのなら、その笑いのセンスのツボに私はまんまと嵌ったといえるかも。

入浴を済ませ、スマホやデジカメのバッテリーをコンセントに繋いで寝る準備を始めた頃に、同室の3人目の男性が入ってきた。体躯の大きい髭面のフランス人だったが、富士山にも登った経験があり今回の旅も東京と大阪と京都に行って、福岡から釜山に入って慶州に来たという。日本のことをとても気に入ってくれているようで、二段ベッドが二台ある狭い部屋の中で、なおしばらく寝る前の旅行話を楽しんだ。

つづく


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


« 慶州市内へ 朝から雨の日 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。