デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



浅田次郎 作『蒼穹の昴』(講談社)読了。

いつだったか10年以上前に、日本の文学賞を一刀両断したような本の中で、『鉄道員』が賞を受賞しているのに浅田氏が入念に準備をし渾身の力を注いだ『蒼穹の昴』がどの賞にも引っかからなかった現実に失笑を禁じえず、一つの賞に何十年も居座り続ける選考委員たちの(作品に対する)読みの能力を冷やかしておもしろがる、といった内容があった。
それからしばらくして、ネット上でたぶん若い人だったのだろう『蒼穹の昴』を最高傑作と絶賛し、私に勧めてきた人がいた。文面からして読了直後の感動の勢いのままという感じだったように記憶しているが、あれから10年以上経ち、はじめて作品を読んでみて、その当時の読書に目ざめた若い人ならば誰彼かまわず勧めてしまいそうになる気持ちが分からんでもないな、と今ならば思う。
作品はよく練り上げられているし、上手いなと思わせる。中国とイタリアとフランスの地名や観光名所の細部を端から端まで描き出し、読者にイメージを膨らまさせるのはさすがである。作品を読んで、堂子を探しに行く人がいたかもしれないな。

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