音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■世界で大人気の映画「最強のふたり Intouchables 」は、仏版“寅さん” その4■

2012-12-06 12:04:23 | ■楽しいやら、悲しいやら色々なお話■

■世界で大人気の映画「最強のふたり Intouchables 」は、仏版“寅さん” その4完■

                  2012.12.6   中村洋子

 

★原題は ≪ Intouchables ≫ 。

英語の ≪ Untouchables ≫ 。

仏語の Intouchables には、「 最下層民 」という意味よりも、

「 触れるべからざる、神聖な 」というニュアンスも強いようです。

複数形になっています。


★一文無し、家もなし、教養も知識もゼロ、名誉心も財産欲もなし。

さらに凄いことには、それらに思い悩むことも全くありません。

あらゆるしがらみから、完全に解き放たれている、完全自由人。

人間としての理想かもしれません。

いやらしい打算もなく、いつも、親切心で人に接し、おせっかいを焼く。

おせっかいを焼くということは、他人のことを我が身のことととらえる暖かさです。

そんな人は、寅さんしかいません。


★自家用ジェット、大邸宅、使い切れないほどの富をもつ人は、

きっと、たくさんいることでしょう。

しかし、 Philippe と Driss のように、

深いところで通じ合える、人間関係をもっている人は、

案外、少ないかもしれません。

寅さん Driss のような人しか、入り込めないかもしれません。


★この映画の主人公は、どちらかといえば、身障者の Philippe でしょう。

Driss は、脇役かもしれません。

日本の寅さんはいつも、すねる、自分を卑下する、いじける癖があります。

その結果、いつもふられ、シリーズが続くのです。

そこが、Driss と異なる点です。

明るく前向きな Drissは、新しいキャラクターの登場かもしれません。

さて、Driss は次ぎに、どこに出没するか?

ノルマンディーの寒村か、コルシカ島のリゾート地か・・・。

 

 

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■世界で大人気の映画「最強のふたり Intouchables」は、“仏版寅さん その3■

2012-12-06 11:55:40 | ■楽しいやら、悲しいやら色々なお話■

■世界で大人気の映画「 最強のふたり Intouchables 」は、“仏版寅さん” その3■

             2012.12.6      中村洋子

 

★さて、映画はここから面白くなります。

Driss は邸宅を去り、新たに職安に行きます。

面接の女性に、 Philippe 邸で仕入れたばかりの踏韻や、

サルバトール・ダリについて、知ったかぶりをひけらかします。

まるで、寅さんです。


★ Philippe は、また、介護士を新規募集します。

仏頂面の男を嫌々、雇います。

しかし、死ぬほどつまらなく退屈、どこにも心の触れ合いがありません。

髭も剃らせず、無精ひげに。

遂に深夜、また発作が起きます。

 Driss に緊急電話、飛んで駆けつける Driss 。

そこで、冒頭のスポーツカーの疾走シーンが、再び登場します。

Driss が運転免許を持っていないことも、ばらされます。

音楽の再現部のようです。


★清々しいお昼、海辺の美しいレストランへと、 Philippe を連れ出します。

Driss は、消えます。

美しく母性溢れる女性が、 Philippe のテーブルの前に姿を見せます。

ダンケルクの、あの文通友達でした。

Driss の、見事なおせっかいです。

窓の外から、Driss がニコニコ手を振っています。

このシーンも、寅さんではお馴染み、いつも出てきます。

自分はガラスの向こうの世界にまた、戻るという象徴です。

かくして、二人のハッピーエンドを仄めかし、めでたしで終わります。


★寅さんで必ず出てきます ≪ マドンナ ≫ はどうでしょうか。

Driss は  Philippe の美人秘書に、チョッカイを出し続けます。

彼女は、からかうだけで、はなから相手にしません。

残酷にも、彼女は最後に “ 恋人 ” を紹介します。

レスビアンだったのです。

これが、ヨーロッパの現実かもしれません。

監督も二人です。                     ( 続 )

 



(goo ブログが変調のようで、一気掲載できません)
                    
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