音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■■ チェロのヴォルフガング・ベッチャー先生の録音 ■■

2007-12-24 17:03:53 | ★旧・曲が初演されるまで
2007/4/27(金)

★明日から、ゴールデンウイーク、木々の新緑に真紅のツツジが映えます。

チェリストのベッチャー先生(Wolfgang Boettcher)が、来週、来日されます。

ゴールデンウイークは、先生と5日間みっちり、CD1枚分を録音いたします。

今回は、ピアノとチェロの二重奏が4曲、チェロ独奏曲が1曲の計5曲です。

すべて、日本にちなんだ音楽です。

ドイツ人でクラシック音楽の真髄を極められた先生が、どのようにお感じになるのか、

一抹の不安がありました。


★しかし、3日前、最後のページを、ベルリンの先生のお宅にファックスいたしましたら、

先生から「もう直ぐ、あなたの国でお会いできることを楽しみにしています」

「I try my best!」「特に、チェロ独奏組曲の5番目が気に入っています」

とすぐにお返事のファックスが届きました。

5番目は、特に日本的な曲で、先生の日本への深い愛情を感じました。

私の定期入れには、先生と二人で撮った写真が入っています。

先生のお財布のなかでは、天使のように可愛らしいお孫さんが微笑んでいます。


★先生は、1935年ベルリン生まれ、現ベルリン芸術大学で学び、チェロをリヒャルト・クレム、

後に、モリス・ジャンドロン、エンリコ・マイナルディに師事。

カラヤン時代のベルリン・フィルで、1958年~76年までの18年間、首席チェロ奏者を務める。

また、「ベルリン・フィル12人のチェリスト」や、

当時のコンサートマスター、トーマス・ブランディスと「ブランディス弦楽四重奏団」を結成。

1976年から、ベルリン芸大教授を務める。

現在のベルリンフィルのチェロ奏者の半数以上が、ベッチャー先生の教え子です。


★日本では、2年に1度、「草津音楽祭」で、マスターコースと、コンサートに出演され、

その熱く、暖かい指導が、生徒さんから慕われています。

愛器のチェロは、1722年製のマッテオ・ゴッフリラー(ヴェネチア)。

4月のシューベルト・アナリーゼ講座で、この録音をお知らせしましたところ、

草津音楽祭に参加されたことがあるベッチャー・ファンの方がいらっしゃり、

「CDができたら、是非、聴かせて下さい」とおっしゃり、本当に嬉しかったです。


★無伴奏のチェロ組曲は、全7曲から成り、日本の雪深い冬から、山笑う春、惜春、

田植え、五月雨を経て、青田波の夏までを、表現しました。

ドイツ人であり、山や自然を深く愛する先生が、どんな世界を表現してくださるのでしょう。

楽しみでたまりません。

完成しましたら、是非、皆さま、お聴きください。


▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ■■ バッハの無伴奏チェロ組曲... | トップ | ■■ヴォルフガング・ベッチャ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

★旧・曲が初演されるまで」カテゴリの最新記事