2007/5/14(月)
★暫く、ブログをお休みしていました。
5月2日の午前、ベッチャー先生は、関空に到着されました。
私はその時刻、まだ東京で、ピアノ二重奏のチェロ用パート譜を書いていました。
(パート譜とは、ピアノ伴奏を除いたチェロだけの楽譜です。
オーケストラでも、各奏者は、総譜ではなく、自分のパートだけが書かれた譜面を見ています)
インクが乾かぬ間に新幹線に飛び乗り、夕方、先生と半年ぶりの再開をはたしました。
★先生は、関空で「チェロを抱えた怪しい外人」と睨まれ、マリファナの運び屋ではないか、と
別室に連れ込まれ、荷物を徹底的に検査されたそうです。
お煎餅好きな先生が、ポケットのなかにこぼしていたお煎餅の屑まで、
ピンセットで摘み出し、紙の上に置いて、調べられました。
私の送った楽譜のコピーも、一枚一枚めくり、パタパタとはたき、
マリファナの粉末が落ちてこないか、確認されたそうです。
日本のお役人は、先生の高貴な芸術家の顔と態度を、見分けられないのでしょうか。
悲しいことです。
「取調べは、大変丁寧でしたが、イスラエル並みですね」と先生は、笑っていらっしゃいました。
★夜は、先生お好みの清潔で家族的、かつ静寂な日本旅館に宿泊しました。
翌朝、先生は、「時差で、夜中の2時半に目が覚めてしまいました。
あなたの独奏チェロ組曲で技術的に演奏が難しいところを、なんとかうまくいくように、
フィンガリングやボーイングを、さらに工夫していました。
チェロの音が漏れて、あなたを起こさなかったですか」
と、かえって、私を気遣ってくださいました。
★2日から4日までの3日間のリハーサルは、何年分ものレッスンを受けたのと同じくらいの
勉強を先生から、させていただきましたが、
先生も「私は、ヨウコの曲からたくさんのことを学びました」と言われ、却って頭が下がります。
★上記の演奏困難なところについて、後日、先生のマスターコースを受講された
日本人チェリストから「先生は、技術的にどんな難しいところでも、
絶対に“弾けない”とはおっしゃらない方です。作曲家の表現したい音を、意図通りに
そのまま弾くように努力を重ね、最後には困難を乗り越える方です」と伺いました。
★これから、ブログで、録音の様子を少しずつご紹介していきたい、と思います。
ベッチャー先生のような、高潔な芸術家とつきっきりで過ごした6日間は、
私の人生で、最良の日々で、計り知れない影響を受けました。
そのお裾分けを、皆さまにこれから、お伝えしたい、と思います。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★暫く、ブログをお休みしていました。
5月2日の午前、ベッチャー先生は、関空に到着されました。
私はその時刻、まだ東京で、ピアノ二重奏のチェロ用パート譜を書いていました。
(パート譜とは、ピアノ伴奏を除いたチェロだけの楽譜です。
オーケストラでも、各奏者は、総譜ではなく、自分のパートだけが書かれた譜面を見ています)
インクが乾かぬ間に新幹線に飛び乗り、夕方、先生と半年ぶりの再開をはたしました。
★先生は、関空で「チェロを抱えた怪しい外人」と睨まれ、マリファナの運び屋ではないか、と
別室に連れ込まれ、荷物を徹底的に検査されたそうです。
お煎餅好きな先生が、ポケットのなかにこぼしていたお煎餅の屑まで、
ピンセットで摘み出し、紙の上に置いて、調べられました。
私の送った楽譜のコピーも、一枚一枚めくり、パタパタとはたき、
マリファナの粉末が落ちてこないか、確認されたそうです。
日本のお役人は、先生の高貴な芸術家の顔と態度を、見分けられないのでしょうか。
悲しいことです。
「取調べは、大変丁寧でしたが、イスラエル並みですね」と先生は、笑っていらっしゃいました。
★夜は、先生お好みの清潔で家族的、かつ静寂な日本旅館に宿泊しました。
翌朝、先生は、「時差で、夜中の2時半に目が覚めてしまいました。
あなたの独奏チェロ組曲で技術的に演奏が難しいところを、なんとかうまくいくように、
フィンガリングやボーイングを、さらに工夫していました。
チェロの音が漏れて、あなたを起こさなかったですか」
と、かえって、私を気遣ってくださいました。
★2日から4日までの3日間のリハーサルは、何年分ものレッスンを受けたのと同じくらいの
勉強を先生から、させていただきましたが、
先生も「私は、ヨウコの曲からたくさんのことを学びました」と言われ、却って頭が下がります。
★上記の演奏困難なところについて、後日、先生のマスターコースを受講された
日本人チェリストから「先生は、技術的にどんな難しいところでも、
絶対に“弾けない”とはおっしゃらない方です。作曲家の表現したい音を、意図通りに
そのまま弾くように努力を重ね、最後には困難を乗り越える方です」と伺いました。
★これから、ブログで、録音の様子を少しずつご紹介していきたい、と思います。
ベッチャー先生のような、高潔な芸術家とつきっきりで過ごした6日間は、
私の人生で、最良の日々で、計り知れない影響を受けました。
そのお裾分けを、皆さまにこれから、お伝えしたい、と思います。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲