僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

いい加減な話

2017年02月23日 | 読書

先月のことになるけれど、下重暁子さんの「家族という病」「家族という病・2」の2作を読んだ。この本の帯には「『家族は素晴らしい』は欺瞞である」とか「『幸せな家族』なんて存在しない」と書かれています。つまり、家族が心の支えだとか、家族のために、とかいうのは幻想だという話。まあ、これは少し極端な表現で、本の中身はもっと広がりを持っており、たとえば年老いた夫婦の2人暮らしの場合の「距離の置き方」ということなどが、著者自身の経験をまじえて、細かく述べられています。それでも、家族というものは、人が言うほど素晴らしいものではない、というのがこの本の基調となっています。

ここで著者は「日常の会話でも、家族の話は自慢か愚痴ばかりで、発展性がない」と書いています。う~ん、そうかなぁ。言われてみれば、僕が通っているスポーツクラブでも、特に女性の人たちは家族の話をよくするけれど、旦那さんに対する愚痴が圧倒的に多い。たいてい年齢的には退職されているので家にいる人が多く、「ずっと家にいられると息が詰まる」とか「家のことは何もせず、文句だけ言う」と奥さん方は、旦那さんに対する愚痴をこぼすのです。

あ、余談ですが、この本の中に「家族の写真入りの年賀状を送るのは幸せの押し売り」という一節がありました。毎年、モミィや自分たちの写真を年賀状に印刷している僕としては、「あんたもやで」と言われているような気になりました。来年から、ちょっと考えた方がいい?(というより、いっそ年賀状自体もやめたほうがいいかも)。な~んて思ったりしました。


さて、家庭裁判所では、家族のもめごとを「家事事件」と呼ぶそうです。その家事事件が近年特に増加して、2016年度には初めて100万件を超えるということです。この家族間のもめごとの中で圧倒的に多いのが、やっぱりこの夫婦間のもめごとだそうで、具体的には、離婚をめぐる夫婦のトラブルが数多く家裁に持ち込まれるようになった、とのことです。つまり、離婚にまで発展するほど仲の悪い夫婦がどんどん増えてきたということでしょうか。まぁ、あるいはもっと昔からそうだったけど、それが表面に出なかっただけなのか…そのへんはわかりませんけどね。

しかしそれでも最近、夫婦や親子、兄弟など、家族間の殺傷事件が多いのを見ると、たしかに家族がゆがみ合うケースが増えてきたのは事実です。これも「家族という病」の現象なんでしょうか。

ご存知と思いますが、つい先日も、こんな事件がありました。
静岡県での話。ある家庭で夫婦喧嘩がはじまり、それを見かねた長男(38歳)が仲裁に入ったところ、父親が包丁を持ち出して長男の腹や胸を包丁で刺し、重傷を負わせたという事件です。父親は64歳。夫婦喧嘩の原因は、台所に置いていたペットボトルをめぐって口論になったということだそうです。…なんだ、それは? と思うような話ですが、たぶん、「ペットボトルをそんなところに置くな」「いいじゃないの」みたいなやりとりだったんでしょうか。夫婦喧嘩って、まあ、そんなものかも知れませんが。

でも、なんでこんなことで…? そんなことでもめるんだったら、朝から晩まで口論ばっかりしていなければ、と思ったりする。これでは妻にとっては夫が、夫にとっては妻がストレスの元ということになるし、あまりにつまらないですね。それにしても、夫婦喧嘩の仲裁に入った息子を包丁で刺すとは、なんてこった、と思いますよね。

で、これも本の話ですが、ちょうど、いま読んでいるのが、三浦朱門・曽野綾子さん夫婦の対談集「夫婦のルール」という2014年に出版された本です(朱門さんは先日亡くなられましたが)。そこで妻の曽野綾子さんがこんな意味のことを言ってます。

元々夫婦は他人だから、100パーセント理解などできない。夫婦の価値観が違うのも当たり前の話で、価値観の違いで離婚するというのなら、何度結婚しても離婚しますよ(笑)。で、ほとんどのことは「たかが」でいいのでは。「たかが」と思うと落ち着いて相手を見られる。夫婦だって他人同士だって、そう思っていれば、ぶつからずに済む。自分もいい加減だけど、あいつもいい加減だよな、と仲良くなる。そう考えると、いろんなことはそんなに難しいことじゃないんです。

と、まあ、そういうことでした。ペットボトルが台所に置いてあっても別にかまわないわけで、そんな細かいことがいちいち気に触っていたら神経が持ちませんね。つまり、曽野綾子さんが言われるように、いろんなことがあっても「たかが…」と思い、「いい加減」に考えていたらいいんだと思います。

これまでの人生をいい加減に過ごしてきた僕ですから、この言葉には大いにうなずけます。

ちなみに、僕たち夫婦間には、もめごとはありません。

と、こう書けば「家族という病」の下重暁子さんから、「それが家族自慢なのです。そんな話、何の発展性もありません!」って言われますよね、きっと。

 

 

 


      

 

 

        

 

 

 

 

 

 

 

 

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