僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

阪神「首一枚の皮」でつながる?

2017年09月14日 | 思い出すこと

昨日の夕方。
甲子園球場での阪神・巨人戦が始まる前のニュース番組で、野球解説者の吉田義男氏が出ていました。この時点では、首位の広島にはマジック4が点灯していたので、アナウンサーが、
「吉田さん。今シーズンはもう優勝は広島で決まりですね」
と同意を求めると、吉田さんは「いやいや…」と首を横に振り、
「野球は何が起きるかわかりませんから」と言ったのです。
「ほう? まだ望みはあるということでしょうか?」とアナ。
それに対して吉田さんは、
「そうです。まだ阪神は首一枚の皮でつながっていますから」

えっ?
首一枚の皮でつながる…? 
「首一枚の皮」とは?
なんか、違うなぁ。

そうだ。
首の皮一枚でつながる、でしょ。

「首一枚の皮」ではなく、「首の皮一枚」だよ。

吉田さんも、まだ広島の優勝が決定したわけじゃなく、阪神にもかすかな望みが残っているということを言っているのはわかります。そのたとえとして、首の皮一枚はつながっているんだから、と言ったつもりでしょう。でもそれが「首一枚の皮」と表現したのでおかしかったですね~。


この吉田義男さんは、言うまでもなく元阪神タイガースの内野手で、「牛若丸」と呼ばれるほどの華麗な守備で有名でした。僕は子供の頃から大の巨人ファンだったので彼はいわば「敵方」でしたけど、小柄で見た目が優しそうなので、好きな選手でした。

吉田さんは1969(昭和44)年、僕が20歳で北海道への自転車旅行をした年ですが、その年に現役を引退し、関西テレビ(フジテレビ系列)及びサンケイスポーツの野球解説者になりました。

その翌年、大学4年生の時、僕はそのサンケイスポーツ社で夜のアルバイトをしていました。何しろそんな時代のことですから、まだ今のような電子通信機器はなく、野球の記事も、甲子園・西ノ宮・日生・大阪球場など関西で行われるナイターへ新聞記者が行って、球場から社の報道部に電話をかけてくるというシステムでした。で、電話で記者が試合経過や結果の記事を読み上げる。その電話を受けてササ~ッと原稿用紙に書いていくのが僕たち学生アルバイトの仕事でした。かなり早く書かなければなりませんし、字の間違いにも注意しなければなりません。何度も聞き返したり、もたもたしていると記者から怒鳴られます。僕たちは記者が鬼のように見え、慣れるまでは、かなりしんどかったです。

僕たちが電話で聞き取って書いた原稿に主任が目を通し、加筆修正してそれが印刷に回され、新聞記事になるのでした。完成したサンケイスポーツを見て、アルバイトの僕たちは野球記事のあちこちの部分を指さして「あ、これは僕が書き取った部分だ」な~んて言い合ったものでした。

そして僕らのいる報道部に、解説者の吉田義男氏がちょこちょこ姿を現していました。初めてその姿を見た時「あ、吉田や!」と、興奮しましたね。また、記者と同じように球場から「観戦記」を僕らのいるところへ電話で送ってくることも多々ありました。僕も吉田さんからの電話を何度か受けたことがあります。

その中でひとつ、忘れられないのが、電話で、あるプレーをめぐってどこかの監督が激怒したということを言い表すのに、吉田さんが、
「毛髪天を衝(つ)く」
と言われたのでした。
「は?」と僕が聞き返すと、吉田さんは再び、
「〇〇監督は、毛髪天を衝く勢いで怒った」と繰り返されました。
「もうはつ、天をつく」? ちょっと変だ。うむ。…あ、そうか。
それって「怒髪天を衝く」ではないのか?

電話を終え、書き取った原稿を主任に渡しながらそのことを言うと、主任は「あははは」と大笑いをし、
「そやなぁ、怒髪天を衝くやなぁ」
と言ったのでした。

50年近く前のそんなことを、昨日の吉田さんの「首一枚の皮でつながっている」
という言葉を聞いて、また思い出した次第です。それにしても吉田さんは変わりませんね。その当時、すでに現役を引退していたんですよ。一体、いま何歳なんだろうかと調べてみたら、今年で84歳になられています。お元気だなぁ~

さて、プロ野球セ・リーグは、昨日、巨人が阪神に勝ち、広島がDeNAに勝ったので、巨人はDeNAを抜いて3位に浮上(よしよし)。そして広島はマジック4から2となりました。きょう広島が勝って阪神が負けると、見事「優勝!」ということになります。阪神もいよいよ断崖絶壁に立たされました。

吉田さんは「首一枚の皮」は残っている、と昨日の試合前には言われていましたけど、どうやら阪神タイガースの首一枚の皮じゃなく首の皮一枚も、こうなると、切れたも同然かもしれませんね~

 

 

 

 

 

コメント
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