モミィは現在、小学4年生で、
担任の先生は1年ずつ変わっていった。
今年の4月、4人目の担任となったのは若い女性の先生だった。
大学を出て、去年、初めてこの小学校で教諭になられたそうだ。
つまり、先生になりたてホヤホヤの方なのです。
授業参観に行った時、授業の進め方がとても上手なのに感心した。
国語だったが、クイズ形式で生徒たちの関心を高める手法で、
見ていた保護者たちもつい惹かれてしまう内容の授業だった。
若くてチャーミングなだけでなく、見るからに熱心で、
指導者としての素養もかなりのもの…とお見受けした。
その先生はエンドウ先生と言い、モミィがもらってくる学級通信には、
「エンドウマメ」というタイトルがついていた。
これを見て、僕は30年ほど前のことを思い出した。
次男が、今のモミィと同じ4年生ぐらいの時…
担任の先生が、やはりエンドウという女の先生だった。
(学校も、今と同じ小学校である)
次男はエンドウ先生のことを家で「エンドウマメ先生」
と言うので「そんなこと言ったらあかん」とたしなめた。
しかし次男は「みんな言うてるねんで」と笑う。
「先生に聞こえたら叱られるで」と僕が言うと、
「だいじょうぶや。先生には絶対知られてへんから」
と言いながら家で「エンドウマメ先生」を繰り返した。
これが約30年前のことで、そんなことは、すっかり忘れていた。
それが、今回モミィの担任になったのが「エンドウ」先生だったので、
「あぁ、次男のときと同じ苗字の先生やなぁ」と思い出したのである。
そこへ、学級通信で「エンドウマメ」と書いてあったのだから…
これには、もう、クスっと笑わずにはいられなかった。
30年前は、子どもたちが陰で「エンドウマメ」と言い、
先生に知られたら叱られるので“極秘”を貫いてきた。
しかし、30年後、モミィの担任になった若いエンドウ先生は、
学級通信に自ら「エンドウマメ」というタイトルをつけられた。
次男の時は、子どもらが陰でつけたあだ名の「エンドウマメ」が、
今回、本物の「エンドウマメ」として、登場してきたのである。
この話をぜひ、現在の若いエンドウ先生に伝えたかった。
そこへ、先月の夏休み前、保護者懇談会が学校で行われた。
保護者と先生が1対1で、子どもに関する懇談をするのである。
わが家では、新学年になって先生が家庭訪問に来られる時は、
妻が家で先生を迎えてお話をする。しかし、学校での懇談の時は、
僕がひとりで学校へ出かけて先生と話す…ということになっている。
つまりホームでは妻が先生を迎え撃ち、
アウェイでは僕が学校へ乗り込んで行く(笑)。
それが、わが家での決めごとのようになっていた。
だから今回も僕がひとりで、指定日の指定時間に学校へ出向いた。
廊下で順番を待った後「こちらへどうぞ」と呼ばれて教室に入った。
目の前で見ると、先生はやはり若いし可愛い。なんとなくソワソワ。
「はじめまして。モミィのパパですぅ」といきなりギャグを飛ばすと、
「あはは、お爺様でしょ」と先生。「うっ、バレましたか?」と僕。
(あのなぁ…。ここはガールズ・バーと違うねんで!)
先生からひと通りモミィの学校での生活ぶりを聴かせてもらい、
さらに通知簿を見せてもらってモミィの成績の説明を受けた。
僕も、尋ねられるまま、モミィの家庭での様子などを話した。
主なことは話し終わった…。よし、今だ!
そこで僕は、例の話を切り出した。
「実は30年前ですが、次男の担任の先生が…」
…エンドウ先生という方だったということと、
みんな陰で「エンドウマメ」と言っていたこと、
そして、それを家でたしなめたこと。それでも次男は、
「先生には内緒やからだいじょうぶや」と言ったこと…
そういうことを話すと、
「えぇ…? そうだったんですかぁ」と先生が屈託なく笑った。
「今回、学級通信の題が『エンドウマメ』になっていましたので、
えっ…? と思って30年前のことを思い出しました」と僕。
そして、
「ついに、30年越しに本物のエンドウマメ先生にお会いできました」
そう言ってあははは~と笑った。先生も同じように、あはは~と笑った。
「わたし、子どもの時から『まめ』っていうあだ名でした」と先生。
懇談時間は1人当たり15分である。
時計を見たらそれを少しまわっていた。
「あ、すみません。つまらないことばかり言いまして…」
と頭を下げ、先生に見送られて教室を出たのでアリマシタ。
今日の話はこれで終わりです。
「それがどうした」系の話でしたね。 失礼しました!
それにしてもポニーテールの先生は、
アイドルのように可愛い先生でしたよ~。
…と、またまた、失礼なことを!