僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

京丹後 とんぼ返り

2012年02月14日 | 日常のいろいろなこと

京都府京丹後市の、亡くなった叔父のお悔やみをするため、
首・肩の痛みを抱えて日帰りで出かけたのは2月10日だった。

整骨院から帰って午前10時過ぎに、あわただしく家を出て、
バス、地下鉄を乗り継ぎ、
大阪駅に着いたのは11時過ぎだった。

大阪から城崎温泉行きの特急に乗ると、2時間半余りで豊岡に着く。
そこから北近畿タンゴ鉄道宮津線に乗り換え、15分で久美浜だ。
この日本海に面した美しい町・久美浜に、亡くなった叔父の家がある。

予定を早めて家を出たので列車の時刻はわからないままだった。
しかし、ここでスマートフォンが大いに役立ってくれた。
「乗り換え案内」というアプリをダウンロードしていたので、
大阪駅に向かう途中で、乗換えを含めた時刻が全部わかった。

城崎温泉行き特急で、大阪11時11分発というのがあった。
しかし、間に合うかどうか…

大阪駅に着いてすぐにホームへ走ったら間に合いそうだったが、
乗車券もないし、指定席券も購入しなければならない。
次の12時11分発にしようと決め、みどりの窓口に向かった。

これに乗ると、久美浜には午後3時06分に到着する。
スマホを使って、帰りの時刻も検討してみた。
久美浜5時46分発の列車に乗り、豊岡から特急に乗り換えると、
午後9時に大阪に着く。10時半までには家に帰れるだろう。

しかし、みどりの窓口へ行くと、長蛇の列をなしていた。
「なんだ、これは…?」と立ちすくんでいると、
JRの制服を着た案内係らしき若い女性が近づいてきて、
「切符のご購入でございますか?」と声をかけてきた。
「はい。でも、すごい人ですねぇ」と僕がため息をつくと、
「自動券売機が空いておりますのでご利用ください」と言う。
見ると窓口の横に、何台かタッチパネルの機械が並んでいた。
「いや、でも、操作ができるかどうか…」と僕は尻込みする。
女性は「どうぞ」と、僕の困惑顔に対して笑顔で応えながら、
「わたくしがさせていただきますので、大丈夫です」と言った。

僕はスマホに保存していた列車時刻をその女性に伝えた。
まず、大阪~久美浜の往復乗車券。次に特急券。

「12時11分発…は『こうのとり9号』ですね。豊岡まで…」
と、タッチパネルを押しながら、指定座席表を表示すると、
「あっ」と言いながら女性は顔を曇らせた。
「申し訳ございません。指定席は満席でございます」
「えぇぇ~ 満席だって? じゃ自由席か。座れるかなぁ?」
「当駅の始発ではなく、新大阪発ですので、どうでしょうか」

そ~か。新大阪で、すでに自由席が満員になってしまったら、
大阪駅でホームの先頭に立って待っても座ることができない。
今も、立っていると左の首と肩や腕が、ズキ~っと痛むのだ。
席に座って楽な姿勢をとらなければ、長時間は耐えられない。

「困ったなぁ」と思案していると、女性は、
「グリーン車になさいますか?」と言った。
おお、そうだ、グリーン車があったのだ。ちょっと高いけど…。
でもこの際、お金のことなど言っていられない。
「それ、それ。グリーン車をお願いします」
「承知しました」と彼女はまたタッチパネルをピコンと押した。
「あ~、よかった。1席だけ、空いていました」
画面を見ると、座席図が出ていたが、ほんとだ…
車両の一番前のC席(一人掛け)だけが空いていた。
ほかの席は全部埋まっていた。

帰りの列車の指定席のほうは、ガラガラだったが、
その女性のおかげで無事に往復の切符を購入することができた。

しかし金曜日の午後…
なんでこんなに乗客が多いのだ?
…その答えは、たぶん「カニ」である。
僕が乗る列車は城崎温泉行きだから、
そこで今が旬のカニを楽しもうという乗客が多いのだろう。
城崎温泉は大阪からの「カニ旅行」が人気の観光地だもんね。

で、乗客のほとんどの人たちは城崎温泉カニ旅行だろうけど、
僕のほうは、バッグに香典袋と数珠を入れたひとり旅である。

グリーン車なので座席もゆったりし、膝にかける毛布もある。
僕は車両の一番前の一人掛けの席で、お弁当をあけた。

もちろん、その横に缶ビールを置いて…

福知山を過ぎると、窓の外は一面に雪景色となった。

 

 


2時43分。ほとんど誰も降りない豊岡駅でぽつんと降車して、
同じ構内にある北近畿タンゴ鉄道宮津線の西舞鶴行きに乗り、
従兄弟が迎えに来てくれている久美浜へ、予定時刻に着いた。

亡くなった叔父というのは、僕の母の妹の旦那さんだった。
享年81歳だったが、母の妹のほうは16年前に亡くなっている。

少年時代は夏休みのたびにこの久美浜へ遊びに来ていた。

だからこの日会ったほとんど人たちとは面識があるけれど、
なにせ大昔のことである。40年~50年ほど会っていない。

「のぼるちゃんか…?」と懐かしそうに声をかけてくれる人たち。
しかし、顔を見ても誰が誰だかわからない。
名前を聞いて、はじめて、
「あ、〇〇おばさんですか…?」とか
「え…? 〇〇ちゃんか…?」という具合だ。
当り前の話だけど、み~んな歳をとったなぁ…

亡くなった叔父はきれいな顔でお棺におさまっていた。

2時間ほどいると、もう帰りの列車の時刻が迫ってきた。
お通夜が始まる1時間前にその場を辞し、久美浜駅に向かった。

周囲が雪に覆われた道を歩いていると、体が固まるような気がした。
首と肩が、みしみしと痛む。早く家に帰ってごろんと寝転びたい。

無人の久美浜駅から列車に乗ると、間もなく、日が暮れた。

でも、長い長い一日は、まだ終らない。

 


 



 


 

 

 

 

コメント (2)
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