僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

ヤケクソと病気の因果関係

2009年08月15日 | 心と体と健康と

急に左手の人差し指の付け根が痛み出したのは、7月の中頃だった。
左手をどこかにぶつけたわけでもない。
その部分に特に無理な力が加わった…ということもない。
何もしていないのに、突然痛み出したのだ。

これは、ひょっとして痛風の症状ではないか…?
…と、過去に足首の痛風の発作に見舞われた経験のある僕は思った。

でも、おかしい。そんなはずはない。
痛風というのは尿酸値が高くなると出る症状だけど、僕はもともと尿酸値が高いので、1日2錠、尿酸値をコントロールする薬を飲んでいる。

主に不整脈を診てもらうため、月に一度通っている病院での血液検査では、薬の効果があってか、毎回尿酸値は正常範囲内である。

では、いったいこの痛みは、なんだろう…?

おまけに、同じ左手の小指の第一関節のあたりも痛い。

前にも書いたと思うが、左手の人差し指や小指を使わない生活というのは、はなはだ不便である。何より、缶ビールのふたを開ける操作ができない。

今まで無意識にしていたことだったが、僕は缶ビールのふたを開ける場合、右手でビールを持ち、左手の人差し指で、缶のツメの部分をこじ開けるというふうなやり方をずっと続けてきた。それ以外の開け方を、たぶん、やったことがなかったのだろう。他の指を使ってツメの部分をこじ開けようとしても、要領がわからず、かたくて開けられないのだ。

缶ビールのふたを開けるのがこれほど難しいものだとは…思いもしなかった。これからどんどん年を取り、握力も弱くなってくると、缶ビールすら開けられなくなるのかと思うと、先行きが不安である。

その後、右手で開ける訓練を積み、なんとか開けられるようになった。
やれやれ…。あやうく「ビール欠乏症」で死ぬところであった。

左手指が痛み出してから1週間経っても良くなる気配がないので、仕方なく近所の整形外科医へ行った。初めて行く医院である。

「初めてなんですけど…」
受付でそう告げると、問診表を渡され、そこへいろいろと記入する。

これまで入院・手術の経験は…?
不整脈の治療のために、カテーテルアブレーションという一種の手術を受けたことがあるが、それは内緒にして、「なし」に○を打つ。

現在医師にかかっている病気等は…?
不整脈、高尿酸値、そして今は改善されているが糖尿病。
「耳鳴り」は書かない。たいていの医師は耳鳴りというものを「病気」だとは、真剣に考えていない。だから、書いたって無駄なんだ。

服用中の薬は…?
不整脈のシベノール、脳梗塞を防ぐためのワーファリン、尿酸値に効くアロチーム、の3種類。本当は、安定剤のデパスや睡眠導入剤もほぼ毎日飲んでいるが、こことは関係ないやろ~と、これらは書かないでおく。

名前を呼ばれて診察室に入る。
「どうしたん?」
40歳前後の、ヒゲを生やした、妙に馴れ馴れしい態度の医師だった。
「左の人差し指の付け根が痛くて。それと、小指の第一関節もちょっと痛いので」

「ふーん?」と言いながら、医師は僕の左手指をひねくりまわし、
「これはどう…?」とか、「ここは…?」とか聞いてくる。
僕は「そこは痛くないです」とか「うぅ、いてててて!」と叫んだり。

ひととおり触りまくった後、ヒゲの医師は、急に目を輝かし、
「あ、これはなんともないわ。大丈夫や」と、きっぱり言った。
「なんともありませんか…? でも、痛い」と僕。

「なんともない、ということを証明するために、写真を撮るわね」
医師が笑いながら、隣のレントゲン室へ案内してくれた。

そして、ついでだからと右手も入れてレントゲン写真を撮ってもらい、また診察室に戻り、左手の写真を見ながら説明を受けた。

指の骨や関節は、医師が言ったように、すべて異状なしだった。

そして、医師の所見は、
指の骨や関節を包み込んでいる靭帯が痛むのだろう。つまり使い過ぎによる靭帯の、いわば筋肉痛のようなものだろう、ということであった。

「使い過ぎ…? 指の使い過ぎですか…?」と僕は医師に聞き返した。
「うん。使い過ぎやねぇ。仕事は何をしてはるの…?」
「仕事…? …もう退職しましたけど、以前は事務をしてました」
「そんなに力仕事とかじゃ~ないよね」
「ボールペンより重いモンは持ったことがありません」
がははは、と医師はまた笑う。

そして…「う~ん」と少し考えてから、
「まあ、なにせ、とにかく使い過ぎ、ということやね」
と同じことを繰り返し、今回は湿布薬を出すので、左手を休ませ、それで様子を見るように、と言われ、診察は終わった。

診察室から出ようとした時、医師が背後から、
「あ、○○さん。退職って…ひょっとして定年退職ですか?」
と言葉をかけてきた。

振り向いた僕は、「そうですよ。3月に定年退職しました」
医師は手元の僕のカルテを見て、
「あ、ほんまや、ここに60歳て書いてあるわ。どうも、失礼しました」

何が失礼だったのか知らないけれど、ヒゲの医師はそう言って、「お大事に~」と急にやさしい態度に変わり、Tシャツとジーンズ姿の僕に、愛想笑いを投げかけて見送ってくれたのである。…なんのこっちゃ。

あれから3週間が経った。

2週間ほど、せっせと左手に湿布を張って過ごした。
人と会うときは、「どないしはったんですか?」と訊かれるので貼らないけれど、それ以外は、マメに貼り替えたりしながら回復を待った。

しかし、ちっともよくならない。
左手の人差し指の付け根と小指は、相変わらず痛む。
しかも、湿布をしていると、ますます生活が不便である。

パソコンが、スムースに打てない。

そして、僕の「得意」のクッキングもままならない。

左手指に湿布を貼り付けたまま玉ねぎをみじん切りにしたり、キャベツを千切りにしたり、エビの皮を剥いたりするのは、至難のワザである。

ここで、ふと気がついたのだが、医師が言った「左手指の使い過ぎ」というのは、退職してから、我が家のクッキングの大半を僕がするようになったことと関係しているのではないか…。

なるほど~。そ~か。これで、なんとなく謎が解けた。
台所仕事というのは、実に両手を頻繁に使うものだし、力もいる。

妻は「手が痛い間は何もしないほうがいいのでは…」と言うのだが、料理をするのは僕の大きな楽しみの一つでもあるのだから、ついつい、手が痛くてもしてしまう。

先日、このことをある人に伝えたら、
「今までやらなかったことを、急にするからやん」と言われた。
当たっているなぁ…。そのとおりでしょうね~。

湿布は、2週間貼り続けても効果がない。

あほらし。

ここ数日、湿布を貼るのを止め、「素手」の生活に戻した。

料理もしているし、こうしてパソコンで長い文章も打っている。
何をしても痛みが取れないんだったら、少々痛いのをがまんしてでも、
普通の生活をしたほうがいい…。そう考えた。

不思議なことに、湿布を取ってから、徐々に痛みが薄れてきた。
痛むことは痛む。しかし、痛み方が緩和されてきたみたいなのだ。

医者に行っても治らないしつこい疾患も、時には開き直りやヤケクソで治ってしまうことがある。

「気にしてもしゃーない」「勝手にせい!」みたいなヤケクソの境地になったとき、なぜか症状が改善される病気がかなりある、ということなのでしょうね。僕の場合は、腰痛も、あんまりしつこいので最近ずっと「無視」していたら、いつのまにか、良くなってきている状態です。
人のカラダとココロの不思議さ、とでも言いましょうか…。

まあしかし、「気にしない」という方向へ気持ちを動かしていく…ということも、なかなか難しいですけどね~。

現に耳鳴りに関しては、開き直ろう、ヤケクソになろう、気にしないで無視しよう…と努力するのですが、まったく通じず、耳の彼方の奥深く…で、今もジーンジーンと絶え間なく鳴り続けています  

 

 

 

 

コメント (9)
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